
太平洋戦争の直前に中島飛行機が開発した世界水準の近代戦闘機、
キ-43「隼1型」。アルミの地肌も美しく、無駄なものを全て削り取った洗練と繊細、近代化と軽量化の極み、という機体でした。速度、機動性、どれをとっても優秀でしたが、構造にやや余裕が無く超高速になる急降下などでは主翼表面にシワがよることもあったとか。唯一の明確な問題は武装の弱さ・・・後に頑丈な米軍機と渡り合う事になるとその弱点が露呈しました。
「隼」の後継機は
キ-84「疾風」です。大型化し強力になったエンジンを積み、機体自体も少し大きく骨太な印象になりました。この機体でも軽量化は考慮されたのですが、隼より厚みのある外皮材を使うことで、総合的に構造強度を得る設計になりました。弱点だった武装も強化され、(エンジンの調子が良ければ)同時代の米軍機に充分対応出来る機体でした。事実、終戦後良質なガソリンでテストした米軍は日本最良の戦闘機と評価したそうです。
BRアウトバックがやってきて3か月。走行距離も3000㎞を超えてきました。
その間先代のBP9アウトバック(B型)とBRM(E型)を比較するいい言葉をずっと探して来ました・・・で、持ち出したのが上の2機。(え?かえって分かりにくい?)
ストイックなまでに軽量、繊細(同時にやや神経質)な「隼」・・・日本的な美意識に裏打ちされたBP9アウトバックは正に「隼」のイメージです。
それに比べやや大きく、全てに余裕があり侮れない実力の「疾風」・・・合理的に機能や拘りにプライオリティーを付け、取捨選択の結果高い総合力をもつことになったBRMアウトバックは米国で(に)勝つための「疾風」そのものです。
実際BRMアウトバックは総合的にBP9を大きく凌駕しています(10年近い時間が経っているので当然なのですが)。その中で特筆すべき点は大きく分けると3つ。
一つ目は、エンジンのトルク感や乗り心地の印象として、大雑把に言うとBP9に比べ神経質なところが(繊細さが)払拭され(失われ)、ほとんどの場面で余裕が感じられる点です。
 同じ2.5LのNAエンジンですがCVTとの組み合わせによるトルク感は全く別物。シフトをいじる必要もなく、実用領域では常にリニアな加速感が楽しめます。また、絶対的なサスペンションの接地性能ではなく、不安の無い範囲で可能な限り丸められた乗り心地も余裕感につながっています。
二つ目はEyeSightを筆頭にした自動制御の充実です。電磁パーキングブレーキ、オートライト、オートワイパー、ドアの施開錠等々、乗れば乗るだけ、際立って「楽だ」という感じがしてきます。
納車以来、ライトもワイパーも「オート」入れたままですし、この年末年始で1000㎞以上走りましたがその8割以上はEyeSightにアクセルを預けてしまいました。
また、鍵をポケットに入れて近づくとアウトバックがルームライトを自分で点けて歓迎してくれたりもします。(BP9もリモコンキーを操作すればルームライトを点けてくれましたが、BRMは近づくだけです。)
三つ目は、(全く個人的な意見ですが)シート(ポジション)の良さ、です。ついに腰の痛くならないスバル車に巡り合えました(笑) 欲を言えばあと3cmハンドルが手前にきてくれると完璧かなぁと思いますが、今回550km/6時間の往復でも一度も腰に負担を感じることはありませんでした。
以上の3つをまとめるとBRMアウトバックは・・・
ボウコウがもつ限り休まず走れる、世界で最も安全なグランドツアラー、だと言わせて頂こうと思います(レヴォーグが出たら、きっとそっちが世界で一番安全なGTになっちゃうから、早く書いておかないとw)
逆にいまだにBP9がBRMを越えてもつ美点を3つあげると・・・
一つ目は高速域での接地感・・・BP9は速度を上げれば上げるほど地面に張り付くような感覚がありました。これはくせになる快感だったのですが、残念ながらBRMにはそれがありません。決して浮つく事はなく安定しているのですが、これといった気持ちよさはありません。
二つ目は拘りの多さ。アルミを多用している、軽い、etc・・・こういう拘りが嬉しかったのですが。
三つ目は絶対的なデザインのクオリティーの高さ、です。BPレガシィはBPレガシィにしか似ていない個性を、どこから見ても破綻のないバランスのとれた造形で表現していました。無駄を削ぎ落とし、緊張感のある張りによって、密度のあるカタマリとなっています・・・個人的には日本のワゴンのベストデザインだと思います。
と長い駄文を書いてしまいましたが、これで、BP9からBRMへの乗り換えは完了、ということにいたします。
  Posted at 2014/01/07 00:50:14 |  | 
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