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澤 圭太のブログ一覧

2024年03月06日 イイね!

練習の仕方を上手にすると、、、

練習の仕方を上手にすると、、、昨日はFerrari Challenge Evoで鈴鹿でのトレーニングコーチの1日でした。

来月のF-1GP鈴鹿ラウンドのサポートレースで開催される同レースに参戦予定の方です。

鈴鹿自体は2回目で昨年の初回の時にも同車両で走行したけどドライだったこと、そしてあまりしっかりタイムを追い求めて走らないコンセプトの走行枠だったのでコース走行経験としてちゃんとタイムを意識して走るのは初、そして何よりこの低温の季節のWETコンディションという事で色々と難しい環境下である事は走行前に明白でした。

しかも今回のサポートレースにはレース自体が初めて、鈴鹿が初めて、車両が初めてという「色々な初めて」の方々も他に多く存在し、しかもトータルで30台以上のエントリーという、何かあったらF-1の時間は全世界放送があるので変えられない、つまりサポートレースのPORSCHEやFERRARIは容赦なく各セッションはケツカッチン状態。

レースWEEKは練習走行45分もちゃんと取れるか分からないし、予選だってちゃんと予定されている時間があるかもわからない、レースだって何かあったらSCランのみで終わる可能性だってある、という賭けのようなタイスケが用意されています。

なので今日は鈴鹿を走れる貴重な占有時間なのでとにかくマイレージを確保する事、残念ながらWETですがその中で出来る事をしっかりやる事が命題。

まずは中古タイヤで私が同乗走行を実施し徐々にペースを上げて3Lap目に2分34秒台(とりあえずトップタイム)、どうやら用意していた1set目のWETタイヤは古いうえにドライで少し走ってしまっていてゴムの硬化と排水性に必要なブロック山が少ないようで全然食わない、、、(ドライタイムの約25秒落ちだから、ロードカーのPORSCHE GT3系が装着しているラジアルスポーツタイヤで鈴鹿を走った時くらいのタイム落ち度、レーシングWETならドライからせいぜい10~15秒落ちのはず)きっと5秒はタイヤで損してますよ、っていう状態からスタート。

タイヤがタイヤなのでまずは安全に留意して、でも新品WETいきなり履くのも使い切れないのでもったいないから、しかしまずは御本人もWETの鈴鹿のリスクを確認してまずは今の自分で出来る範囲で走ってみて、と送り出して最初の3Lap、慎重に3分11秒、3分3秒、そして3分00秒のタイムのところで赤旗が出て終了となりました。

午後に沢山走れる時間があるので、最初はこれで全然問題なく、データと映像を見て、コース幅の使い方、鈴鹿でハイパワー車特有の(特にWETの時は難しいDunlop先デグナーまでとヘアピン先の松ちゃん)難しさを体感した様で、曰く『今の感じじゃ2分55秒くらいしか出ないよ~』という泣き言を最初の走行後は漏らしてました(苦笑)

午後はタイヤを新品に変えて、私が再度同乗してまずは第一目標の40秒位の走りを見て貰って、タイヤにしっかり熱入れて渡しますから午後が勝負ですよ!というランチしながらのミーティングを実施。

午後は当初ALLクラスで3時間のぶっ通しセッションの予定でしたがWETなので速度差が多い車両が走行は危険と判断されたか?2クラス分け30分セッションが3回づつとなって、まずは澤同乗2回目、新品WETのアウトラップから計測1Lapでやるべき事を見せ『1分40秒くらい、次のLapに30秒位の世界を』という具合に進めて、さっきのタイヤは頑張って34秒だったけど、この新品はこんなに余裕を持っても30秒台、じゃあある程度頑張っていくとどうなるか?はタイヤに熱が入った状態で直ぐに乗って貰いたいのでPit-inラップに見せて、データで見る限り25秒位のイメージでした。(その時点でトップ3台レベルのタイム)

いよいよ御本人2回目の走行でしたが、最初から42秒台で2Lap走行し、赤旗が出てしまったのでこのセッションは終了。
でも本人はタイヤが良いとこんなに違うのか!!と驚愕されていて、チャレンジのタイヤはドライもWETもタイヤのコンディションによるタイム差が大きいレースだから、値段は高いけどレースに出る為の練習ならそこは仕方ないので良いタイヤを使うのが必須、、、と説きました。

2回目の走行は不慣れなドライバーが多いクラスより、上級者が多い枠を選択して『後ろはよく見てほしいけど、抜かれたら頑張って付いて行って盗んで!』という戦法、そしてさっきは同乗後に直ぐ走ったのでタイヤがしっかり熱が入っていたけど今回は休憩時間を挟んで一旦冷えたタイヤを自分で最初から熱を入れていくようにする事、そして路面は雨が小康状態になってきっと好転していくと思うからちょっとづつタイムを削っていく積み上げ方式で5Lapから10Lap連続で走行してみましょう!目標は35秒台(その時点でトップが20秒くらい、ドライから15秒落ちくらいだったので、約5秒分はコンディションが良くなっていると想定)ですからね!と伝えて、データと車載を見ての走行ラインで気を付ける事、ブレーキポイントで気を付ける事など注意点を2つだけ伝えてコースへと送り出しました。

アウトラップを経ての1Lap目は48秒台から(前のセッションの自己ベスト42秒台の6秒落ちとは、鈴鹿の冬のWETにしたら上出来の1Lap目)、次にもう43秒台、次に40秒台、39秒台、、、としっかり各セクターのタイムを削って行って計測7Lap目には36秒1まで出して自分の判断でピットインをしてきました。

車から降りて開口一番『こうやって走ればいい!っていうのが良く分かった!』と体から蒸気を発しながら笑顔で!
私は『凄くいいタイムの削り方でしたよ!もう今日はこれで終わりにしたっていいくらいでは?』と、、、本人凄くふっきれた様子でした。

今回のトレーニングは沢山走るのが命題といいつつ、レースカーに限らず質のいい練習をする、沢山走るのが練習ではない!というのがモットーなので
特にWETの場合はリスクもあるので集中力が途切れてしまう連続過多走行は避けたいですね。
(今回がもしDryだったらもう少し走り込みしたかったけど)

ここからはコースの雨量は少なくなってきているけど気温が更に下がって来ているし、タイヤも新品から15Lap位使ってるのでグリップダウンが更にあるだろう
そうするとせっかく良い走りをしているのにタイムが上がらない、それで無理をし出してせっかく良い走りをしているのが崩れたり、無駄なリスクを背負って何かあっても来週の走行や本戦に影響出てはいけないし、何よりスポーツなので『良い形や良いイメージで終えるのが次の走行に向けて大事』という話を改めてさせていただき、自分で納得した形でピットインをしたって事はこれで終了で良いよね、最後に予定されている模擬レースは雨の中では不慣れなドライバーが多く固まって走るだろうから経験値を得られるプラスとWETの中で不慣れな人たちもいる集団での走行によるマイナスを天秤にかけて『レースでしか得られない経験を得られる少ないチャンス』とは言い辛い環境と判断しスキップ。

まだあと1本30分セッションと模擬レースセッションが残ってましたが、気持ちよく先上がりをして次の来週14日の再度鈴鹿での走行がドライで走れることを祈りつつ、ドライセットに変更の作業だけメカさんにして貰う為のセットアップ変更点と私の新品WETタイヤでのセカンドベストになる30秒台が次のオーナーさんのWET走行時の目標になるので、30秒澤データと36秒の本人の本日ベストをデータ比較しつつ、ポイント解説しつつ、次回ドライになる事想定してどんなシムトレをしておくべきか?目標タイム設定はどうするか?レースWEEKには練習走行時間を最大限確保する為のやるべき準備のメニュー(ブレーキ関係の焼入れなどのスケジュール)も確認して終了となりました。

ご本人ももしここで更にブラッシュアップしてもう1回新品WETを装着したら30秒くらいから路面の雨量や路温の分でプラマイ2秒位かな~と良い感覚の目標設定をされていたし、その位で走るのがDryだったらトップが新品で2分5-6秒、中古で7-8秒とすると2分15秒を切る位のイメージだから、Dryでもその位の目標設定から始めましょうね!と。

次の課題は、今日得られたもの、今まで何となくわかっていたけど出来そうでできない自分がいた、今日の難しいコンディション下で出来る自分の法則を発見できたから、FSW行ってもそれが出来るのか?が重要、そしてこれをDryの中で鈴鹿走るイメージへと繋げる事と、今日は慎重に7Lapかけて48秒から36秒まで12秒アップしたのは与えられた環境下では良い走りだったけど次はその半分の時間でブラッシュアップをしていけるように、、、

レースWEEKって占有走行でたっぷり時間があると思われますが意外とやるべき事が多いので、練習走行に費やせる時間は少ないものです。
自分が速く走る成る為の練習はレースWEEKには出来ないと思っていた方が良い、それは事前にしておいて、レースWEEKは自分のパフォーマンスがちゃんと想定通り出ているか?クルマを仕上げたり準備したりする練習→テストにしていかないと、、、特に今回の様に鈴鹿の走行時間確保の難しさやF-1サポートだからこその時間の制限などもあるので、レースWeekにはになるべくブレーキ焼入れなどの余計な事はしたくないし、鈴鹿は元々FSWなどに比べてもブレーキの依存度が少ないのでそれも加味してマイレージ計算をした上での戦略。

そうやってドライバーの不安を取り除き、気持ちを奮い立たせ、気持ちよく走れるお膳立てをして、出来る自分に自信を持ってもらって、次の目標を見せつつ、車側のテクニカルな部分もエンジニア的視点でメカさんと進めるのがチャレンジのレースなどで必要とされるコーチの役割ですから、それを10年以上やってきている身としては、理路整然テキパキと決め打ちで先読みしながら『ダラダラと沢山走るのが練習』にならないように、効果と質の高い練習走行ができる様にしていくのが本流です。

フェラーリチャレンジに車両の様にタイヤの美味しい部分が少なかったりブレーキ周りの消耗品がひあっく的効果だったりする車両でのレースは無駄にマイレージを重ねるのはコスパも悪いし、悪い状態で走っても自信を失ったり、無理をしてリスクが高まるだけ(特に鈴鹿でWETだと顕著)、なので使える時間はあってもやるべき事が出来たと判断したら早上がり上等なわけです。

そうやって効率よく進める事が出来ればリスク回避も無駄なコストも抑えられるから、私のギャラや移動交通費分はすぐ挽回できるうえに上手く成れる!というのが私の存在意義(笑)
コストがどうしても嵩んでしまうGTカー系のレースは特にその辺が重要です。

さあ、次の鈴鹿(14日)はドライになれ、ドライでも今日の様に質を求めた2時間の走行が出来れば4月のレースWEEK、精神的にすごく優位だし余裕を持って臨めるはずです。

そういう目先のことの大切さと中長期の練習計画も視野に入れてのコーチングはやはり単日のコーチとは違って難しさもあるけどやりがいもあるし、ドライバーだけでなくメンテサイドの皆さんとも協力共有が必要で調整事や段取り仕事も多いけど、そうやってオーナーさんが今日の帰り際の様に『今日は凄く良かっためっちゃ助かったわ!』って言ってくれるのが私はすごくうれしいんですよね!

ドライなら少なくとも30Lapはしたかったんですが、今日は私の同乗2回のin-out含めての10Lap除いて本人は20Lap弱の走行、でも昨年タイムに拘らない走りでドライの鈴鹿を30Lap近くした時よりは効果は凄く大きかったはずです。トップから10秒以内で全体30台の中で上の1/3に入れるかどうか?の領域が今日のWETだけど、ドライになって皆さんが慣熟して来たら下がどんどん底上げになるので、10秒以内では足りなく、目標は常にトップの5-6秒以内、まずはそこの領域まで早く行く事と、そこからラップタイムとしたら2分10秒台に向けてどうやって削っていくか?今日のWETの走りの中での発見をどうドライの中で反映してAduptしていくか?のイメトレをここからして貰うべく、またここから10日間の準備に私も取り掛かっていくのですね。
Posted at 2024/03/06 08:35:12 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
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