今日は、コロナの車検のため埼玉に帰省しました。車を車検に出したあとは出来上がった連絡を待つだけなので、ひとまず帰宅、昼寝をした後、試乗に行きました。
このデミオ、マイナーチェンジながら非常に力が入っています。外観はあまり変わりませんが、エンジンは新型直噴ガソリンエンジン、CVTはプログラム変更、車体は一部強化などです。
エンジン
直噴エンジンは、燃料噴射圧力が高くなることなどから、どうしてもジリジリザラザラといった砂を噛むような音が聞こえます。このエンジンもその例に漏れず、車外ではこの音が聞こえます。しかし、車内ではほとんど聞こえません。コンパクトカーであり、エンジンと車内が近いうえにコストもかけられないはずなのに、この遮音性は褒められます。
このエンジンはトルコン式CVTと組み合わされるため、エンジン単体でのパワー感は味わえませんが、1300ccとして過不足ない加速感です。「圧縮比14:1」は事実ですが、これは「比」です。ミラーサイクルを採用するエンジンとオットーサイクルのエンジンとで、圧縮比を比較してはいけません。吸気の一部を吸気管に戻すため、実際の圧縮圧力はあまり上がりません。
走り出した時の力強さは、概ね並みです。上記のように吸気の一部を戻しているため、言ってみれば排気量を落としたか、スロットル開度を絞っていることと同じになるためです。スロットルモード切り替えスイッチは存在しませんが、他社のECOモードスイッチをオンにしたのとノーマルモードの中間くらいの加速性です。過不足はありませんが、余裕の走りという感じはしません。
アクセルペダル全開時の加速性能も、1300ccエンジン車として不足はありませんが、スポーティーな加速というほどでもありません。ごく普通の1300cc車と言えます。しかし、全開加速時の音の鈴鹿さは特筆ものです。1300ccエンジン車と言えば、ちょっと加速したり山道に行ったりすると、エンジンが頻繁にうなり音を上げ、いかにも余裕がない感が強いものですが、この車は静かです。1800cc車並みの遮音性と言えます。また、
前期型で聞こえた、「ウニョー」音は、全く聞こえません。四気筒エンジンらしいビートが聞こえます。
アイドルストップについて
待望のアイドルストップがこの車にも展開されています。エアコンの温度設定とも連動するとのことで、アイドルストップを体感するために、エアコンの設定温度は25℃にされました。ハイブリッド車を除くアイドルストップ車で、他社に対して一日の長があるマツダのこと、停止も再始動もなめらかそのもので、アクセルペダルをブレーキからアクセルへと踏み替えるのに、ようやく間に合うようなことはありませんでした。アイドルストップ付きであることすら、忘れさせるものです。
トランスミッションについて
アイシン製トルクコンバーター付きCVTです。実はマツダのCVT車に乗るのは初めてです。営業マンが言うには、「前期型はアクセルを踏むとエンジンの回転だけが先に上がっていた」とのことですが、後期型はアクセル操作に対してエンジンの回転が徐々に上がるような感じにされたとのことです。日産のものほどではありませんが、エンジン回転と車速が連動する感じが強く、好ましいものです。
また、ロックアップも低い車速から行われ、解除も低い車速で行っているようで、特に減速時は燃料カット領域が広い印象があります。
ステアリングについて
前期型では、「乗って数時間は気持ちが良く、8時間程度経過すると鋭すぎて疲れる」印象でしたが、中央領域が意識的に鈍くされた印象があり、自然で疲れない感じがします。この性能ばかりは何時間も乗らないと分からないことですが、ちょっと乗った感じは明らかに変わっています。
「鈍い」と書きましたが、遊びが大きいとか車が反応しないということではなく、中央領域がやや重く、直進性が増した印象があり、なおかつステアリングを操作しただけ車が反応する、という意味になります。
ブレーキ
プレマシーで感じた、ブレーキペダル操作量と減速感が一体化した印象がそのままあります。現代の車としては若干重く感じますが、オーバーサーボ気味のブルーバードシルフィより減速時の踏力調整がしやすいです。
サスペンション
前期型では、身軽な姿勢変化の一方で、明らかに硬さを感じました。しかし後期型ではしなやかさが増し、マンホール蓋乗り越え時どころか、うねり乗り越え時に身構える必要がなくなりました。特に前期型では後輪の突き上げが強かったのですが、これが全くなくなりました。突き上げがなくなっても安定性がなくなっては元も子もありませんが、この車ではしなやかでいてしたたかなのです。
これまでいくつものコンパクトカーに乗っていますが、この乗り心地は
フィットハイブリッドと良い勝負です。これなら長時間のドライブでも疲れることはないでしょう。
ボデー
前期型でも「ボデーのかたまり感が強いところがすばらしい」と褒めちぎったものですが、このかたまり感がより一層強化された印象です。前述の乗り心地のよさもボデーの強化から来ているようで、営業マンの話によると「サスペンション取り付け部に強化板を増設した」とのことです。
他社の同クラスの車両が、「ボデーがブルブルする」や「
サスペンションが突っ張っている」印象の中、コンパクトカーを選んでもサイズが小さいだけで中身は変わらない、という考えが見て取れます。
一方、内装は若干改善された印象があります。特に試乗したグレードはシート生地の一部にカフェラテ色が選ばれており、車内が明るい感じがします。マツダ車はメーター照明を赤くするので、車内が黒だと非常に暗い雰囲気になるのですが、これなら気分が華やぎます。
内装素材は、まあガマンできるレベルです。他のマツダ車より若干コストをかけるようになった感じです。少なくとも、トヨタ車の内装よりははるかにしっかりしています。
外装色は、前期型に多かった「ビタミンカラー」が減り、メタリック調が増えているのは残念ですね。特に前期のオレンジ色は今のフィットRSに通じるものがあったので、ぜひ明るい色を増やして欲しいです。
まとめ
この車、乗用車型コンパクトカーではベストな選択といえます。ヴィッツも悪くはないのですが、若干乗り心地が悪く感じます。ノートは大バーゲン中ですが、さすがに基本が古いです。
フィットはハイブリッドなら良いですが、サスペンションの硬さに対してボデーが負けている印象が強いです。
かつてKP61型スターレットが、「運転の基本を学ぶ車」と評価されたものですが、このデミオには運転の楽しさを味わえる素質があります。もう発売されて3年を経過しますが、他社のコンパクトカーがコストダウンを図る中、非常にお金がかかっている車と言えます。前期型の評価と同じ評価を今下せるのですから、マツダの実力の高さと他社の進化のなさを感じてしまいます。
気になる点としては、このデミオ、SKYAKTIV技術を全て投入しているわけではないということです。エンジンの4-2-1マニホールドは不採用、ボデーもトランスミッションも前期型の改良、SKYAKTIVが本格的に採用されたらどんなに楽しくなるのだろう、と考えてしまうと、どうしても車を買うのを先送りしたくなってしまいます。
楽しい車がないとお嘆きの方、ぜひデミオに乗ってみてください。ステアリングから手が離れなくなりますよ!
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試乗 | クルマ
Posted at
2011/07/22 21:07:22