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2018年05月05日

昭和40年代自動車雑誌で、当時の事情を知る

 この日は、つくばサーキットで開催されたモータースポーツイベントに行きました。暑い上にイベント本体は出走者が楽しいもので、イベント本体よりも出店しているお店に関心が向いていきました。

お店の中には、自動車専門古書店がありました。カーグラフィックやモーターファンのほか、現在ではすでに廃刊になった本もありました。当時の世相を知るうえで、非常に良い参考になりました。自動車の歴史がある中で、昭和50-53年の排出ガス規制と、昭和48年の石油危機は大きな節目になっており、それ以前のことはあまり伝わってきません。また、昔は今のように細かいことにこだわったり保管したりすることは、「偏執狂」と呼ばれたために、当時の記録はあまり残っていません。ただし、今回読んだ本は3500円と非常に高額な値段がつけられていたために、買うには至りませんでした。今回は、その中に書かれていたことを紹介します。

1.日本石油主催ドライバーズクラブ(昭和45年頃)
 石油元売りの日本石油は、オーナードライバーの増加とレジャーとしてのドライブの一般化から、ドライバーのクラブを主宰していました。さらなるドライブの普及と、制度を利用してどんどんガソリンを消費してほしいというもののようです。

内容は、1万円/年の会費を払うことで、クラブ提携宿泊施設が使い放題というものらしいです。一見、非常にお得な内容に感じられますが、当時の情勢を考えると「?」な部分があります。

何しろ、多くの勤務先では日曜・祝日のみが休日で、土曜日は良くて午後半日休みでした。長期休暇は旧盆の時期3日と、年末年始4日間程度でしょうか。もちろん、「レジャーに行くので何日間か休みます」というのは、認められなかったようです。

高速道路は、東名・名神高速道路と中央自動車道の一部、都市高速道路のみで、関東では関越自動車道も東北自動車道は開通していませんでした。ドライブでは、当然ながら一般国道を使用します。生活道路となった現在の国道とは異なり、信号機の数こそ少なかったでしょうが、平均速度もあまり上がらなかったと考えられます。そのため、週休1日か1.5日では、関東からですと那須あたりまでが精いっぱいではないでしょうか?

そのため、各地の観光宿泊施設利用し放題でも、実際に利用可能な施設に限りがあるということです。また、何度も同じところに行くこともあるでしょうが、たいていの場合にはその都度行く場所を変えたいものです。結局、登録してもあまり利用されず、利益が出やすいか加入者が少ないサービスだったのかもしれません。

2.モータースポーツは駐車場や河原で!
 モータースポーツ指南本も多く発売されていました。日本アルペンラリーが開催されたことからも、当時の「モータースポーツをしてみたい」欲は高かったと推察されます。手軽に始められるモータースポーツとして、ジムカーナが勧められていました。ジムカーナの練習や仲間との競技会などを「「大きな駐車場」や「河原」でしてみよう!」と呼びかける内容になっていました。

現代では、車を乗りつけて集会を開いていたり、エンジンの回転を上げて走っていたりすると、場所管理者が飛んできて追い払われたり、警察に通報されたりするものです。民家がない場所では、他人に迷惑をかけない範囲でいろいろ出来た、緩い時代の雰囲気をうかがわせる記事でした。

3.モータースポーツ入門車
 今も昔も、モータースポーツの入門に適当な車も不適当な車もあります。当時はセダンやクーペ、バンばかりでしたが、高級車やバンは除かれます。また、多くの人が買い、後付けパーツの販売量が増えそうな車種が適当とされていました。その車種は、
カローラ(E10、20系)
多くの人が最初に購入する車として適当で、膨大な数の車が売れていました。スタンダードやデラックスのようなグレードに加えて、スポーティーさを加味したSLグレードが設定されていたこともその理由だと思います。トヨタにはもっと安価でSLグレードもあったパブリカもありましたが、こちらは紹介程度でした。

ブルーバード(510)
昭和45年では、410型はもう「古くてモータースポーツ用には勧められない」とされていました。510型はパワーも当時としては高めでシャシーの能力も高く、ラリーイメージも強かったために、おすすめの車種にされていました。

サニー(B10系)
カローラ同様、販売台数が多かったために、適当な車とされていたようです。5速M/TのGXグレードが登場するのは次のモデルで、本モデルではそれほどスポーティーなイメージはありません。販売台数が重要だったようです。

コルト、コルトギャラン
こちらもブルーバードと同様、ラリーイメージが高い車でした。リヤサスペンションがリーフ/リジッドアクスルながら操縦性が高く、エンジンも出力が高かったために、おすすめの車とされていたのでしょう。

おまけ
ブルーバードと同程度販売されていたコロナ、FWDのスバル1000などは、おすすめ車両にはされていませんでした。また、DOHCエンジンを搭載したセリカは発売されて間もない時期で、能力は不明とされていました。

4.たくさんある「スピードショップ」
 現在は数を減らしてしまった「チューニングショップ」ですが、この頃は雨後の筍のように出てきたようです。まだオートバックスやイエローハットなどのカー用品店も大規模ではなく、自動車整備工場と自動車販売店しかない時期でしたので、ちょっとした部品取り付けの需要があったのでしょう。都内、都下、神奈川県内がその中心で、いろいろ腕自慢のお店があったようです。

また、自動車メーカーないしは大規模ディーラーには、現在のGRガレージに似た形態の「スポーツコーナー」があり、ここに相談することができたようです。まだ排出ガス規制がなかった時期ですから、ソレックスやウエーバーといった高性能キャブレター、排気系部品、サスペンションなどもいろいろ融通をきかせてくれたようです。

まとめ
 当時は、東京オリンピック以後、短期間の不景気を経て訪れた、景気拡大期間でした。給与水準は高くありませんでしたが、お年寄りが少なく生産年齢人口が多かったため、各種社会保険料は安かったそうです。子供も養育費をあまりかけない時代でしたし、家を買ったら車、という雰囲気だったようです。

当然、スマートフォンやテレビゲーム、パソコンもない時代ですから、飲食を除くと大人の娯楽は限られていました。そんな中で、車を買うだけでなく、ドライブをしたり、モータースポーツをしたりと、いろいろ車を使った遊びがもてはやされたのでしょうね。

残念ながら、オイルショックを通じて車遊びが厳しくなり、一部の人がラリーを楽しむか暴走族になった、昭和50年代初期を迎えるのでした。

ちょっとした本の立ち読みでしたが、オイルショック以前の好景気の雰囲気を垣間見たのでした。
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Posted at 2019/09/30 00:01:11

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