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「艦長・・・」

沖田は医務室のベッドに横たわっていた。いくつかの器具が忙しく動いている。沖田を見守る佐渡の目も不安な色は隠せない。

「もうええぞ」
「はい！」

オシロスコープの波形を確認したところで、佐渡は雪に向かって言った。

「艦長」
「ん・・・」

沖田が辛そうに目を開き、佐渡を見上げた。

「かなり進んどるぞ、あんた・・・残念じゃがな・・・」

佐渡は沖田の顔を見ているのが辛かったのだろう、沖田に背を向けて話し始めた。

「手術をせねば、遠からずあんたは死ぬ！手術をしても１００パーセント助かるという保証はできん！」
「・・・そうか・・・」

佐渡の言葉に沖田は目を閉じた。雪も心配そうに見守っている。

「もしかりに１パーセントでも可能性があるなら手術をして、今少しだけ儂を働けるような体にしてくれ」

沖田は佐渡の手首をつかむと、力を振り絞るように目を見開き、佐渡に向かって言った。

「男の頼みだ！」

沖田の気持ちは佐渡に伝わった。

「儂も男じゃ！森君、手術の用意だ！急ぎんしゃい！」
「はい！」
「先生、万一のことがあったら、儂の机に今後の航海の指示を書き留めたファイルがある・・・」

佐渡は雪に手術着の背中のボタンを止めてもらいながら、沖田の言葉を遮るようにして言った。

「わかったよ。じゃが儂はあんたを死なせやせんよ！そう簡単に死なれてたまるかいな！」

沖田は目を閉じて、この言葉を聞いていた。意識もハッキリとしていないはずだ。

「アナライザー、手伝って！」
「ハイ！」

雪の声にアナライザーは手術の準備を急ピッチで始めた。

「マスイ　オーケー　サンソキュウニュウ　リンゲル　オーケー　ゼンブ　オーケー」
「レーザーメス！」
「はい！」

手術が始まった。

「ケツアツ　テイカ　コキュウ　ミダレテイマス」
「カンフル！」

ロボットアームが沖田に延びる。

「艦長・・・」

ヤマト艦内の重い空気の中、医務室を見渡せる廊下には古代らが心配そうに沖田の様子を伺っていた。