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「迂回して、避けられないの？」

前方に浮かぶ謎の物体がガミラスの宇宙要塞なら、進路を変えれば良い。雪はそう考えた。

「それが、ダメなんだ。９時の方向へ１０キロほど流してみたが、着いて来ている」

島が答えた。謎の物体はヤマトを追いかけてきているのだ。

「処理は、真田君に任せる」

沖田が椅子から立ち上がって、そう告げた。

「はっ、真田工場長、敵、宇宙要塞を爆破に向います。すでに工場では継ぎ目のないシームレス戦闘機を造りあげました」
「艦長、是非僕も行かせて下さい」
「俺だけじゃ、不足だというのか？」

古代の申し出に、真田が不服そうに言った。

「いや、違うんだよ、真田さん。俺は偵察機で部下を亡くしてるんだ。あなたを二人目にはしたくない」

古代の決意は固かった。

「いや～さすがだなぁ、真田工場長。こいつをもうちょっと早く造って欲しかったぜ。・・・どうしたんだい、真田さん？」

シームレス戦闘機からは爆発した偵察機Ｋ６２の残骸が見えた。真田は元気がない。古代の言葉に、前の操縦席に座った真田からの返事はなかった。

「形は扁平な楕円形。長さ約１キロ。厚さ３００メートル。まるで宇宙に浮かぶ巨大な軽石と言った感じです。全島に渡って無数の穴があいています。マグネトロンウェーブの発射口かと思われます。どうぞ」

シームレス戦闘機はマグネトロンウェーブの中でも何とか飛行を続けられていた。

「わかった。ヤマトにも若干だがマグネトロンウェーブの影響が出始めた。君たちも用心しろ」
「了解」
「古代、要塞が射程距離に入った。レーザーガンで、あの発射口を攻撃してみてくれ」
「了解！」

照準を合わせて古代はスイッチを押した。

「何だい？蓋が閉まったぜ！」

シームレス戦闘機から放たれたレーザーガンは狙ったマグネトロンウェーブの発射口にまっすぐ延びたが、攻撃の寸前で発射口の自動シャッターに阻まれた。

「思った通りだ・・・。あの発射口は爆発のような衝撃にすぐ反応する自動シャッターで守られている。外からの攻撃に対する要塞の守りは万全だということだ。つまり、要塞を爆破するには、あの中に潜り込む以外に手はないという事になる」
「ん～」

内部からの攻撃のためには宇宙要塞に侵入しなければならない。

「古代、真田、これよりシームレス機を出て、宇宙要塞に侵入します。しばらく通信を停止します。どうぞ」
「よし、二人とも充分に注意して行動するように。以上！」

要塞に近付いたシームレス戦闘機のキャノピーが開く。マグネトロンウェーブの波動が伝わってくる。

「大丈夫か？」
「大丈夫！」
「よし！」

二人はシームレス戦闘機を係留すると、宇宙要塞に侵入した。