2007年11月20日
アムロ 「サイド2からの攻撃はまだなのか?」
ラー・カイラムに帰投したアムロはノーマルスーツのバイザーを上げながら、戦闘ブリッジから出てきたブライト・ノアに声をかけた。
ブライト 「ああ、遅いな」
アムロ 「サイド1は、俺達ロンド・ベルの要請は聞けないのか」
ブライト 「コロニーの内乱を心配しているんだよ」
ブライトは憂鬱そうに言った。
クルーA 「来ました、熱源」
クルーB 「サイド2からのレーザー攻撃だ」
ブライト 「しかし、数が少ないな」
アムロ 「あれじゃ破壊できない」
クルーA 「依然、地球に降下中」
アムロ 「艦長、フィフス・ルナの落下勧告は出ているのか?」
ブライト 「チベットのラサにか?
情報を知っている連中は真っ先に逃げ出しているよ」
アムロ 「だからシャアにやられる訳だ。
だいたい、あのフィフス・ルナの推力に使っている核だって、
シャアはどっから手に入れたんだ?」
ブライト 「連邦政府からだろ」
ブライトは簡単に言った。バァ!っと間近で閃光がひろがった。
* * *
機長 「発進許可は出ましたが、参謀次官、
隕石と思われる物の近くを通過します」
アデナウアー「覚悟の上だ。時間通りにロンデニオンに到着すればいい」
シャトルのコックピットでアデナウアーはキャプテンに傲然と答えるとキャビンに戻っていった。巨大なブースターに背負われたシャトルは滑走を始めた。乗客センターからそれを見送るミライとチェーミンは、シャトルが夕闇の空に舞い上がり、斜めからの太陽の光を受けて、その機体をキラキラと輝かせ、噴煙の尾が風に曲がり始めるまで、黙って見送っていた。
クェス 「はっ!」
アデナウアー「どうした?」
クェス 「駄目だ、火の玉が」
ハサウェイ 「えっ?」
クェス 「キャプテン、もっと右に寄って」
その絶叫は唐突だった。ハサウェイにはその異常に引きつった、クェス・パラヤの横顔が見えた。
機長 「来たぞ」
副長 「意外と北に寄ってるな」
降下するフィフス・ルナの正面の真っ赤に燃える部分にも、ときおり減速用の核爆発の白い閃光が見えたが、その周囲には、フィフス・ルナから剥がれた小石が流星になってシャトルの左右に流れ、地球に向かった。
クェス 「キャプテン、もっと右」
ハサウェイ 「座って」
クェス 「あっ、ああっ」
ハサウェイ 「あっ…」
激震がキャビンを襲い、クェスの身体が舞って天井に当った。ハサウェイは腕を伸ばして、クェスを捕まえて引き寄せた。その隣のシートではアデナウアーが上体を前のシートの間に埋めて、両方の手で頭を抱くようにしていた。
アデナウアー「か、神様」
ハサウェイの膝の上に乗ったクェスは、キャビンの他の客たちの悲鳴の中に、その父の言葉をはっきりと聞いていた。クェスは、アデナウアーの背中に唾を吐きかけた。しかし、それは激震の中でクェスの身体を支えようとするハサウェイには見えなかった。
Posted at 2007/11/20 08:16:03 | |
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2007年11月19日
地球。
スペース・シャトルのレールは巨大な橋の上にあった。
ミライ 「だってこれ、正式の航空券ですよ?」
オフィサー 「ですがね」
シャトルの乗客センターのカウンターで押し問答しているのがブライト・ノアの妻子、ミライ・ヤシマと二人の子供、ハサウェイとチェーミンである。カウンターの別の一人がミライ親子の背後、ロビーの中央あたりで口論しているアデナウアー・パラヤ一家を見つめていた。
キャサリン 「嫌ですよ。この子と行くぐらいなら
地球で凍え死んだ方がましだわ」
クェス 「そうしなよ」
キャサリン 「…あっ」
キャサリンの手がクェスの頬に飛んだが、クェスはそれを奇麗に避けた。
キャサリン 「…嫌よ、こんなの」
キャサリンは自分のスーツケースのベルトを掴んで、アデナウアーに背を向けた。
アデナウアー「キャシー」
クェス 「行こ、宇宙に」
アデナウアー「ああ」
アデナウアーがキャサリンを追いかけようとするのを、クェスが引き戻した。
ミライ 「これが、地球連邦政府の推薦状で…」
アデナウアー「君、二枚でいい」
ミライの話が終わる前にアデナウアーが割り込んで、航空券を差し出しながら言った。係の男はコンピューターのターミナルを叩いて、ボーディング・チケットを取り出してアデナウアーに渡した。
アデナウアー「君」
オフィサー 「はい」
チケットを受けとるとアデナウアーは係の男をミライから引き離すようにして、彼の耳元に囁いた。
オフィサー 「あのお客様の推薦状ですか?」
アデナウアー「ああ」
オフィサー 「連邦政府のジョン・バウアー様からです」
アデナウアー「んん、一人乗せてやれ」
オフィサー 「あ、はい?」
アデナウアー「こちらが政治特権で割り込んだんだ。バウアーには借りもあったしな」
アデナウアーは一人言うと、カウンターを離れて先に行ったクェスを追った。
オフィサー 「政治屋ってこれだ」
係の男は肩をすくめながら、ミライの方を向いて言った。
オフィサー 「あ、奥さん、お一人乗れます。次の便でお二人ってどうです?」
ミライ 「でも、次の便はわからないんでしょ?」
オフィサー 「ええ、戦争になったってニュースですからね」
ミライ 「この子が行きます」
オフィサー 「ハサウェイ・ノア。寄留先はロンデニオンね」
ミライ 「はい、父親がいるんです」
ミライは一枚の航空券を係の男に示して、ハサウェイを呼んだ。
ミライ 「ハサウェイ」
オフィサー 「はい。シャトルはすぐに出ますよ」
ハサウェイ 「でも」
ミライ 「あなたは男の子よ。宇宙を体験するのは遅いぐらい」
ハサウェイ 「ママとチェーミンは?」
ミライ 「大丈夫、今度の戦争は長くはないわ。
すぐに追いかけられるってここの人も言っているでしょ」
ハサウェイ 「本当だね?」
ミライ 「ええ」
係の男が愛想笑いをしながら、ハサウェイにボーディング・チケットを差し出した。
Posted at 2007/11/19 07:36:44 | |
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2007年11月18日
アムロ 「このフィフスを、地球に落ちるのを阻止できなかったとは」
フィフス・ルナのせまい岩場でアムロ・レイの操縦するリ・ガズィは一機のモビルスーツと攻防を展開していた。モビルスーツの性能の差は初めから承知していた。リ・ガズィではあきらかに力不足だ。しかし、それでもこの一機のモビルスーツを突破できない自分の腕に焦りも感じていた。
アムロ 「まだ援護がいた? シャアか! 」
アムロは、その赤いモビルスーツの生理的なプレッシャーが、まちがいなくシャアだとわかった。アムロはリ・ガズィにダミーを放出させると後退をかけた。リ・ガズィで対抗できる相手ではない。
ギュネイのヤクト・ドーガは後退するアムロのリ・ガズィを追って飛び出し、リ・ガズィの放出したダミーの一つに触れた。そのダミーに内蔵された機雷が爆発してヤクト・ドーガの機体が跳ね飛び、フィフス・ルナによろめいた。
ギュネイ 「機雷が仕掛けてあった?ミノフスキー粒子が薄くなっている」
シャアのサザビーがその圧倒的な性能でアムロのリ・ガズィに対峙していた。
アムロ 「なんでこんな物を地球に落とす?
これでは、地球が寒くなって人が住めなくなる。
核の冬が来るぞ 」
シャア 「地球に住む者は自分達の事しか考えていない、
だから抹殺すると宣言した」
こう言いながらも、シャアはアムロのリ・ガズィに、ビーム・ライフルを向けた。一瞬後には二機のモビルスーツはフィフス・ルナの反対側に回り込んでギュネイ・ガスから見えなくなった。ギュネイ・ガスが再び正面ディスプレーに二機のモビルスーツを捕えた時、二機のモビルスーツはビーム・サーベルを合わせて激しい鍔迫り合いを演じていた。
アムロ 「 人が人に罰を与えるなどと 」
シャア 「 私、シャア・アズナブルが
粛清しようというのだ、アムロ 」
アムロ 「 エゴだよ、それは 」
シャア 「 地球が持たん時が来ているのだ 」
ビーム・サーベルの干渉波が爆発的に四方に飛んだ。サザビーがビーム・サーベルを払うとアムロは後退した。シャアのサザビーはさらにアムロのリ・ガズィに迫る。
シャア 「 そんな物では 」
ギュネイが息を呑んだのは、そのサザビーの激しい攻撃を、敵のモビルスーツが避けたことだった。
ギュネイ 「大佐、なんでファンネルを使わないんです?」
ギュネイは思わず絶叫して、ヤクト・ドーガを飛び出させると敵に向けてライフルを撃った。しかしその動きは所詮シャアやアムロのレベルではない。リ・ガズィが正面にシャアのサザビーを置きながらも、ギュネイにビーム攻撃の反撃を見せた。それはギュネイには神業に見えた。
ギュネイ 「大佐、自分に構わずに!」
ビームの粒子が機体に直撃する衝撃を感じながらギュネイは叫んだ。ヤクト・ドーガはもう動かない。シャアもそれ以上アムロを追わない。シャアもまた機体の性能の差を分かっていたのだ。
シャア 「ギュネイ、帰艦するぞ」
ギュネイ 「一人で行けますから」
シャア 「無理だ、外から見るとわかる。
よくフィフス・ルナの核ノズルを守ってくれた」
サザビーのモノ・アイはすでに消えて、獰猛な感じはなくなっていた。シャアのサザビーはギュネイのヤクト・ドーガを抱くように撤退した。
Posted at 2007/11/18 09:26:14 | |
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2007年11月17日
クルー 「5、4、3、2、1、点火」
地球の夜の面の側、地球の静止軌道近くの空域には、隕石らしいものを中心にして、いくつもの閃光が開いていた。一機のジェガンが前方の闇の中にあるように見えるフィフス・ルナに迫った時、フィフス・ルナが突然輝きを発した。フィフス・ルナの核パルス・エンジンが稼働したのだ。
ジェガン 「アムロ大尉、フィフスが地球に向けて加速しました」
その核パルス・エンジンの巨大な閃光の中に、シャア・アズナブルの乗るグワジン級戦艦レウルーラが、その赤い三角のシルエットを浮かび上がらせていた。
クルー 「フィフス、進入角度良好、速度良好」
ナナイ 「シャア大佐はモビルスーツ・デッキだな?」
クルー 「は、サザビーです」
ナナイ 「大佐、ギュネイ・ガスの空域が膠着状態です。
援護の必要を認めますが?」
シャア 「フィフス・ルナの投入は終わったのだ。
総員引き上げのサインを出せ」
ナナイ 「出しましたが、モビルスーツの後退の為に、
ミノフスキー粒子を散布して電波攪乱をすることができません」
モビルスーツ・デッキのサザビー。その機体のコックピット・コアに黄色のノーマルスーツが流れて、コックピットに滑り込んだ。
シャア 「その分ギュネイが危険か…。よし」
シャアは何か手元に気になるようなことがあるようで、ディスプレーのナナイの方を見ようとはしなかった。
シャア 「ギュネイのヤクト・ドーガを援護、回収する」
クルー 「サザビー出ます、サザビー発進」
サザビーの赤い機体がカタパルト・デッキに滑り出し、カタパルト・デッキの上に浮いた。拘束していたエネルギー・チューブを切り放すようにテール・ノズルが光を吹き出すと、その重厚な機体はフィフス・ルナに向かって一気に直進した。
Posted at 2007/11/17 17:33:32 | |
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2007年11月17日
上の息子が大学受験、下の息子が高校受験ということで、今年は家族全員でインフルエンザの予防接種です。
他の家族は済んだんですが、私は今まで時間がとれず、これから行ってきます。
この歳になっても注射はイヤですね。


Posted at 2007/11/17 09:40:37 | |
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