2009年05月21日
「いいか、これがイスカンダル星だ。中心の太陽からの推定距離、3億キロ。第8番目の惑星で、大きさはおよそ地球の1.3倍・・・」
モニターを指しながら、島が説明を始めた。
「それはもう分かったよ。要するに何が言いたいんだ?それとも地球で作ったこの宇宙地図に間違いがあるとでも言うのか?」
「そうだ」
「島!イスカンダルからの誘導電波は切れたんだ。もっと手短かに言ってくれ!」
古代は話の核心が聞きたかった。いったい何を言いたいんだ。
「第8惑星イスカンダルが、二つ現れたんだ」
「何?」
「ええっ?」
そこにいるもの全員が耳を疑った。イスカンダルが二つ?
「太田、レーダーを大パネルに投影しろ」
「はい」
レーダーはしだいにその影をはっきり映し出そうとしていた。
「おお・・・」
「あ・・・」
モニターには二つ並んだ、イスカンダルと思われる星が映し出されている。
「なるほど、二つだ」
「いわゆる、双子星。イスカンダルは二重惑星だったと解釈するしかない」
「二重惑星?というと、こう二つ星があって、互いにぐるぐる回りながら太陽の周りを回るというヤツか?」
古代が身振り手振りを交えて、島に聞いた。
「そうなんだ」
「いいじゃないか。少ないよりは多い方が」
「あっ、消えた!」
突然モニターがブラックアウトした。双子星は消えていた。
「妨害電波だろう。誘導電波が切れたのもそのせいかもしれん」
「前方12時の方向からミサイル!数、およそ60。距離200キロ」
太田が叫んでいた。
「12時の方向って・・・。おい、太田!そっちはイスカンダルだぜ!」
「とにかく攻撃してきたんだ。古代、処置は?」
古代は椅子にかけると、艦内放送のマイクに向かって叫んだ。
「艦首砲塔開け!迎撃用意!」
「迎撃用意!」
「方位SP22RP40」
「照準スコープ、オープン!」
「第1砲、スタンバイ!」
「第2砲、スタンバイ!」
モニターの中の無数の発光体が四方に分かれ始めた。
「敵ミサイル、四方向に分かれました。ヤマトを上下左右から包んで、攻撃して来るものと思われます」
「全砲塔開け!非戦闘員及び偵察機退避!」
雪は沖田が休む艦長室の防御シャッターを降ろした。
「儂はここで良い」
安全な場所へ非難させようとする雪を沖田の言葉が遮った。
Posted at 2009/05/21 07:52:29 | |
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2009年05月20日
西暦2199年。
地球は宇宙の謎の星ガミラスから遊星爆弾の攻撃を受け、その放射能汚染によって人類絶滅まであと1年と迫った。
放射能を除去する装置は、14万8千光年を隔てたイスカンダル星にある。
地球で最初の高速を突破した宇宙戦艦ヤマトは、放射能除去装置を獲得するために、イスカンダルへの旅についたのだった。
地球を出て、198日。想像を絶する苦しみの航海を経て、今ヤマトは目指すイスカンダル星へ、マゼラン星雲へと近付いていく。
「よぉし、いいか?今度はセルフタイマーだぞ。ん~と、よし!」
デッキで古代と雪が写真を撮っている。
「さささ」
「うん!」
雪の肩に馴れ馴れしく手をかける古代の右手を雪は払いのけるようにパチンと叩いた。
「おっ、痛て!」
ポラロイドカメラには、その時の様子がしっかりと記録された。
「ひでぇなぁ・・・」
「フフフ、良いじゃないの、子どもたちにパパとママの青春を語る時の思い出になってよ!」
「え?あぁ、それもそうだな」
「じゃ!あたしは仕事があるから。古代君、ありがとう」
「うん。じゃあな!女の子ってのは、発想がませてやがんなぁ。子どもたちにパパとママの青春を語る時だとよ・・・」
古代はカメラを片づけながらふと考えた。
「パパとママ?誰のことだ・・・」
雪の姿はもうデッキには見えなかった。
「ハハハハ~。ええなぁ、若いもんは!」
その時、デッキの隅から笑い声が聞こえた。佐渡だ。相変わらず一升瓶を抱え、顔を赤くしている。
「あれ?先生。そんなところで見てたんですか?」
「しかし油断はするなよ。昔の人が言っておる。百里の道を行く時は九十九里をもって半ばとせよ、とな。例えば100キロの旅をするとして、99キロまで行った時、ようやく半分来たと思え、ちゅうんだ。今の我々にあてはまる言葉じゃないか。この船の誰一人、イスカンダルを見た者はおらんのだ。そこに何があるのか、何が起こるのか、終わってみなくちゃわからんのよぉ!」
そう言うと佐渡はコップについだ酒を美味しそうにあおった。
「ありがとうございます。先生」
佐渡の言葉に古代は頷いた。
「どうしたんだ?」
「ああ、通信班長。お呼び出てしてすいません。イスカンダルの誘導電波が・・・」
「何?切れたのか?」
当番員に呼ばれた相原はイヤな予感がした。
「操作を第一艦橋に切り替えろ。艦長代理に報告する」
Posted at 2009/05/20 07:36:44 | |
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2009年05月19日
「ヤマト科学班長として断言する。これは故障じゃない」
ヤマトの前には広大な宇宙が広がっていた。
前方に見えるマゼラン星雲こそ近付いて来てはいたが、まだまだ目的地のイスカンダル星がどこなのかもわからなかった。
「でも、現に針はヤマトの飛んでいる方向を指していないのよ・・・」
雪が言うように、モニターに映る羅針盤の針は、今のヤマトの進行方向を指し示してはいないのだ。
「そうだ、この針はヤマトの飛んでいる方向を指しているんじゃない。これから我々が行くべき方向を示しているんだ」
島の答えに古代が聞き返した。
「誰が・・・?問題は誰がそんな操作を宇宙の彼方からしてくるのかってことだよ」
「ガミラスか!」
真田が言った。
「イスカンダルってことも・・・」
雪の声に、古代が振り返った。
「相原!発信源はまだ分からんのか?」
相原は忙しそうに計器を操作しているが、詳しいことまではハッキリしない。
「とにかく、今ヤマトが向っているマゼラン星雲の中から来ていることは確かだ」
相原の前にあるモニターにみんなの目が集まっていた。
「おい、相原!これは音声信号だ」
モニターの中に光が点滅している。相原が解析を始めた。
「・・・スターシァ。こちらイスカンダルのスターシァ。・・・」
「あぁ!やっぱりそうだわ!スターシァよ!」
「間違いありません。電波は宇宙位置、1836Mからのものです。そこにイスカンダル星があるんでしょう」
スターシァの声はしだいにはっきりと聞こえるようになった。
「こちらイスカンダルのスターシァ。ヤマトの皆さん、聞こえますか?あなた方はとうとう私のイスカンダル星へやってきたのです。イスカンダルはマゼラン雲の太陽を巡る第8番めの惑星。あなた方の位置からは0.8光年。そこから、どうぞ私どもの誘導電波に従っておいで下さい」
「おい、島!」
「古代!」
島と古代はガッチリと握手を交わした。
「ハハハハハ・・・良かった」
「ハハハハハ・・・良かったなぁ」
イスカンダルは目の前だ。
第一艦橋に希望の笑い声が響いていた。
Posted at 2009/05/19 07:47:35 | |
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2009年05月18日
「ガミラスの円盤はどっか行っちまったらしいな」
「ひょっとしたら、ヤツはヤマトを見失ったんじゃないのか?」
「いや、ガミラス艦は我々をはっきりつかんでいる」
沖田は分かっていた、ドメルが最後の攻撃を仕掛けるタイミングを計っていることを。
「レーダー、修理完了」
「ああっ・・・。真下にガミラス艦が!」
レーダーに光が灯る。雪がガミラス艦の機影を見つけ叫び声をあげた。
「あっ?スクリーンに何か反応しています」
ドメルのガミラス艦はヤマトの艦底にアンカーを打ち込み、固定した。
「ん?」
ヤマト第一艦橋のメインスクリーンにはドメルの顔が映し出されていた。
「沖田艦長、私が太陽系方面作戦司令長官ドメル」
沖田が立ち上がって応える。
「ドメル司令、私が宇宙戦艦ヤマト艦長沖田十三だ」
二人の間に時が流れた。ドメルが口を開く。
「あなたの勇気と決断と知恵に、心から敬意を表します」
「ドメル司令、我々はお互いそれぞれの星のために戦ってきた。しかし、もうこれ以上犠牲を出すことは望まん。我々をイスカンダルへ行かせてくれ」
ドメルからの返事はなかった。ドメルは目を閉じ、何かを考えているようだった。
「それはできん!」
「・・・」
ドメルにも意地がある。予想された答えだったが、沖田は唇を噛み締めた。
「沖田艦長、あなたが地球を救うために戦っているのと同じように、私の戦いにもガミラスの命運を懸けているのだ。私は命を捨てても、ヤマトをイスカンダルへは行かせん!」
「しかし、ドメル司令・・・」
「あなたのような勇士に会えて、光栄に思っている。ガミラス星並びに偉大なる地球に栄光あれ!」
ドメルが何かのスイッチを押すのが見え、モニターからその姿は消えた。
「ドメルの船は自爆するつもりだ!艦底の乗組員は上部へ非難せよ、急げ!」
沖田は艦内通信用のマイクを握ると声を限りに叫んだ。
「上下隔壁、第6、第7、第8閉鎖!放射線防御壁注水!」
爆発。
艦底のほとんどの乗組員は間に合わなかった。
ヤマトは大きな爆発に包まれたが、かろうじてその機体を残していた。
ドメルの乗るガミラス艦は粉々に砕け散り、ヤマトの艦底には大きな穴があいた。
「地球のために命をかけた、全ての勇士に送る。君たちの心は、我々の心に蘇って、明日の地球の力となるだろう。我々は君たちを決して忘れはしない」
「敬礼!」
ヤマトの犠牲者の宇宙葬が行われた。
ヤマトは突き落とされた谷底から、再び立ち上がってきた。もうイスカンダルは間近だ。
急げヤマトよ。地球は君たちの帰りを待っている。
Posted at 2009/05/18 07:40:54 | |
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2009年05月15日
以前から使っている iBook も、いよいよくたびれて来てしまいました。今日電源を入れたら起動している間に寝そうになってしまいました。
さすがに PowerPC 500MHz ですから、仕方ないんですけどね。
狙い目はズバリ MacBook White です。
アルミニウムユニボディの MacBook にはない、ファイヤーワイヤーポートがあって、手持ちのファイヤーワイヤーのハードディスクとかが使えるんですよ。
おまけに114,800円とお値打ち価格。 iBook の代わりなので出先でも使いたいし、不意な停電にも対応できますしね。
Macの次期OS「Snow Leopard」も一部では6月に発売するんじゃないかという情報もあるようで、そうなったらますます物欲が・・・
貯金しないと。
Posted at 2009/05/15 22:02:59 | |
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