
今日は参議院議員選挙の投票日。
朝7時に母を連れて投票を済ませ、所要で立川へ出掛けました。
終了は10時30分。お昼に何を食べようかと考えたら、昨日訪れたばかりのスパゲティ屋青山さんのことが、真っ先に浮かびました。時間的にも行って行けない距離ではありませんが、さすがに2日連続はないだろう、と、あれこれ考えました。
すると、次に浮かんだのが、東池袋大勝軒の昭島店でした。
まだ、訪れたことはありません。
所沢大勝軒の記事で触れましたが、ボクはどうしても、山岸さんの味を忘れることが出来ません。
山岸さんの死後、東池袋の2代目を継いだ人物の方針を巡り「大勝軒のれん会」が分裂、訣別して「大勝軒味と心を守る会」が成立しました。
このお家騒動の仲裁に名乗りを上げたのは、山岸さんが若かりし頃に身を置いた「丸長」の兄弟子で、代々木上原大勝軒の坂口社長でした。ですが仲裁は暗礁に乗り上げ、挙句の果てに東池袋の2代目は山岸さんが籍を置いていた東池袋大勝軒の本家・丸長のれん会からも脱退してしまいます。しかも出向いて頭を下げることなく、電子メールで一方的に脱退の旨を送り付けたのだとか…。この報せを聞いた「守る会」の店主らのうち、数人が「山岸さんの原点はこちら、師匠の思いを継ぎたく、改めて加盟をお許し戴きたい」とお願いし、認められたそうです。
こちらの昭島店は、そのうちの一つです。
一方、飛び出した「守る会」が清廉潔白なのかと言えば、これまた疑問符が付きます。「守る会」は、表向きは御茶ノ水店の店長が代表役になっていますが、実際は旧東池袋で閉店まで事実上の店長を務めた某翁の「院政」。某翁は自らが2代目を襲名出来なかったことが、相当ショックだったようです。
当時、行列に最低でも一時間は並び、やっと食べることが出来ました。
それはそれは、至福のひと時でした。
そんなボクが某翁に今も懐疑的なのは、かなり前から始まっていた、行列客への「威圧」と「えこひいき」。知性の欠片も感じさせぬ、893的なダミ声と言い回しでおとなしく待つ行列客を威嚇、お気に入りの客を見つければ先に食べさせることも頻繁。
こうした彼の行為に山岸さんは不信を募らせ、遥かに若い現・2代目に全てを任せて亡くなったとの説もありますが、ボクには真偽の程はわかりません。ただ、接客業の原点を放り投げた、「食わせてやる」的な「士族の商法」でしたっけ…。今も自分の店で、あんな接客をしているのかなぁ…。一度見に行きたいと思っておりますが、ボクはあの翁の味ではなく、今も「山岸さんの味」を求めていますので、一度も訪れたことはありません。
閑話休題。
今となっては仕方のないことなのでしょうが、沢山のお弟子さんのお店がありますが、残念なお店が珍しくありません。そんな中、丸長のれん会に頭を下げて加盟された、こちらのお店へ行って参りました。
到着は10時55分。
まだ開店前、のれんは出ていません。
当時の東池袋「山岸」大勝軒の開店は11時。
こちらも、11時キッカリにのれんが出ました。
券売機です。
汁なし等、いろいろ付加メニューもあります。
山岸大勝軒は「つけ」ではなく「もり」。
もり750円、ねぎ150円、ゆでたまご50円を購入しました。
ボクが本日最初の客でした。
横長30畳ほどのお店は、居酒屋と共用になっています。
昼の開店直後のため酔客は不在でしたが、呑み屋で昼食を摂るような状況には、人並み以上の「のんべい」のボクですら、違和感を覚えました。
右隅の猫の額のようなスペースが「大勝軒」。
狭いけれど、製麺室がしっかりありました。
「おまちどうさまー」
女性のスタッフが持って来てくれました。
一見して思ったのは、オプションの「ねぎ」!
大きな鉢に山盛りです。
斜めに切った材料を水で少しさらし、ごま油でざっと撹拌したものです。
このまま「おつまみ」になるほど「おいしーーーい」!
麺は中太で腰があり、山岸さんの麺と比べ遥かに締まったもの。所沢の麺とよく似た食感です。
大勝軒系列以外で、ボクの印象で当時の山岸さんの麺に近いのは「銀座 いし井」。プリプリの食感は常に一定ですが、山岸さんの麺は「デロンデロン」だったり「ヤワヤワ」だったり、「お、今日はかたいナ」もありましたっけ。当時は二郎も家系もなく、醤油と味噌と一部九州トンコツが東京で営業していた時代。その日の茹で加減も味のうちでした。
この現代にあっては、この製麺と茹で加減は、山岸流で作る最大公約数のように思いました。
さて、スープです。
具は短冊状のチャーシュー、メンマ、ナルト、刻みねぎ、ゆで卵半分。東池袋の王道です。これだけで笑みがこぼれます。
味は「甘・辛・酸」の3拍子。若干、甘味が控えめに感じましたが、ボク個人の味覚によるもの、これで「ベスト」と思う方が居てもおかしくありません。 チャーシューは、大変柔らく煮込んだもの。仕込みに手間を掛けていらっしゃいます。
ゆで卵はデフォルトで半分入りますが、追加で半分にスライスしたものを2個、トッピングしました。個人的に、これが大好き!。スープが黄味に沁み込み、
「ウマーーー」!
ところが、小食のボクには「完走」は無理、35キロ地点でリタイアでした。
帰る時、お店の方に「ごめんなさい」をしました。
「いいですよ、うちは多いから、またお待ちしています」
いやー、おいしく戴きました。
また伺います。
東池袋大勝軒 昭島店
196-0015
東京都昭島市昭和町2丁目7−24
042-546-7717
11時00分~14時30分 / 17時00分~22時00分 日は17時00分~20時00分
火曜休み
【ボクのおすすめ度】※味の評価やランキングではありません
★★★★★ + ★☆
★一つ目のプラスは、正統な山岸流の味。
ボクには甘味がもう少し欲しかったけれど、元々、当時の山岸さんの味や茹で加減の「ブレ」からすれば、全く問題ナシ!大変おいしく戴きました。
★二つ目のプラスは、女性のスタッフも「白タオル鉢巻」「紺色シャツ」!
女性でこの東池袋の「正装」をされている方に、初めて接しました。
三社祭でみこしを担いでいる女性を彷彿しました。
勿論、男性お二人もでした。
☆一つマイナスなのは「呑み屋」的空間。
おそらく呑み屋さんを兼ねていらっしゃるのだと思いますが、これには大きな違和感がありました。
山岸さんは「量も味のうち」と仰いましたが、ボクは「大勝軒は雰囲気も味のうち」と思いました…。