8/10(金)-21:30-千歳市
雨の中をがむしゃらに走った。
そしてたどり着いた千歳市。ここに、本日の宿「ちとせライダーハウス」がある。
夜遅くにびしょぬれでたどり着いた男ひとり。
しかし、オーナーのおばちゃんは気さくに迎え入れてくれた。
そして、今日の天気から逃れるように集ったライダーたちも。
年齢、経験、性別、出身地、全てが不ぞろいな人たち。
しかし、バイクという共通項だけでいつまででも語らえる。
地図を囲めば覚えきれないほどの見所、グルメ情報が飛び出す。
そして、酒を持ち寄れば旅の体験談に花が咲く。
北海道デビューで距離感が分からず、目的地をガッツリ通り越しちゃった人。
北海道には7回来ていて、未踏の地は今回でなくなるという人。
青いバイクに青いウェアでキメて来たら、青キップを貰って気分はブルーって人。
一ヶ月前は屋久島ツーリングしていたって人。
色々なドラマに、夢が膨らむ。
明日からの旅にはどんなドラマが待つだろう?
いつまでも語らっていたいが、やはりみな旅人。
日付が変わる前には大半の人が眠りについていた。
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8/11(土)-7:30
窓から吹き込む冷たい風に目を覚ます。
寝袋の上に乗って寝付いたはずだったのに、気がつけばスッポリ寝袋に包まっていた。
そうだ、これが北海道の気候だった。
窓の下には出発の支度を整えるライダーたち。
自分ものんびりしていられない。
寝袋を手こずりながらも畳み、しーちゃんへ荷物を載せてゆく。
今日の天気は全道的に曇り。
メインデッシュの宗谷岬方面に行けば雨に打たれることはないが、晴れもしないだろう。
ライダーたちに聞いてみるとみな一様に「曇りの宗谷に行ってもねぇ…」とのこと。
ここは週後半の天気の回復に賭けて、まずは実家へ戻ることに決定した。
やがて出発のとき。
昨日出合ったばかりのライダーたちからの、「お互い気をつけて!いつかまた会おう!」の言葉。
そうだ、走り続けていればきっとまた何処かで会える。サヨナラじゃないんだ。
そう考えると別れの名残惜しさは、この先何処かでの再会を期待するワクワクに変わった。
さて、この旅の出発時はあまりにドタバタしていて真っ直ぐフェリーに乗ってきたものだから、しーちゃんもすっかり空腹だった。
ここ千歳にあるホクレンで給油を済ませ、同時に名物のフラッグを入手する。
![](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/photo/000/003/237/307/3237307/p6.jpg?ct=475d3f830809)
ミーハーかもしれないが、これも旅の気分を高めるアイテムのひとつ。
これをはためかせているだけで、誰が見ても北海道を旅するライダー!
地域ごとに違う種類の旗を配るとかマジ商売上手ねホクレンさん。
そして北海道とバイクといえばもうひとつ、忘れてはいけないもの。
それはピースサイン。ライダー同士がすれ違いざまに交し合う挨拶。
端的に行ってしまえは登山のときの「おはようございますー」なのだけども、これを交わしていると孤独感が吹っ飛んでゆく。
独りじゃない。今まで出合った全てのライダーが仲間だ。
そんな感覚が心強くて、空は曇っていたけれど心の中は晴れ晴れとしていた。
11時頃、夕張の道の駅で休憩することにした。
ここまでの道中があまりに新鮮で楽しすぎて、心ははふわふわ上の空。
何気なくバイクを停めようようとしたその場所は…左足下がりの傾斜。
左足を着いたときにはしーちゃんはだいぶ傾いていた。
これは…まずい…非常にまずい。
立て直せる可能性は限りなくゼロ。
しかたなく、出来る限り優しくしーちゃんを横倒しにする。
カシュンと安全装置によって力なく息を止めるエンジン。
ザリッと聞きたくない音を上げたパニアケース。
カランコロンと飛んでいったウインカーレンズ。
俗に言う「立ちゴケ」というヤツだ。まさか北海道に来て体験することになろうとは。
一呼吸置いて落ち着いてから、渾身の力でしーちゃんを起こす。
そして、立ちゴケの恥ずかしさと、直視できない現実から目をそらすようにそそくさと車両を離れた。
先ほどまでは孤独じゃない!と思っていたが、今はどうか一人にさせてほしい。
-快晴だった心の中は一転、ゲリラ豪雨に襲われたようだった…。
現在地:夕張市
この回での走行距離:約95km
総走行距離:約200km
#4に続く!
Posted at 2012/09/04 23:27:14 | |
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