気がつけばもうすっかり暖かくなりましたね。
日差しはちょうどいい塩梅で日が暮れるのも随分遅くなってきました。
ただ・・・未だに花見を済ませてないのに、ここ数日の雨模様でみるみる桜が散ってゆくのを少々恨めしい思いで眺めているまっこりマンゴーです。
みなさんこんばんは。
最近も色々新型車が登場していますが、中でも個人的にお気に入りなのがVWの新型「ビートル」。
先代よりも全体的に初代に似てきた感じですね。
フロントからの眺めは何となく最近のVW顔になってきたような。。。
けど、「ビートルだ」と言われればやっぱりソレ以外には見えない。
リアから見ると何となく911のようにも見えてきます。
先代に比べてルーフラインがなだらかにつながるように変わったので、余計にそう感じるんでしょう。
ダックテールスポイラーがいい雰囲気。
どうでもいいんですが、インパネ周りでこれ見よがしにボディー同色の樹脂パネルを配置するのは、正直言ってダサイです。
クルマの価格帯にもよると思いますけど、こういう「遊び心」が許されるのはせいぜい一般大衆車まで。
ある程度のグレード車ならばそれなりの内装でないと辻褄が合わないように思えます。
詳しい内容は
コチラにありますが、この際パワートレイン等はどっちでもいい。
どうせ現行Ⅵ型もしくは先代Ⅴ型ゴルフがベースなんでしょうから、それからのキャリーオーバーだというのは少し考えれば予想のつく事。
注目すべきはそのスリーサイズ。
全長4278(+152)×全幅1808(+84)×全高1486(-12)mm、ホイールベース2537mmと長さと幅を拡大しつつ、ルーフ高を抑えている(括弧内は先代との比較値)。
何とまあ肥大しきったその巨体。
現行Ⅵ型ゴルフも結構大柄サイズですが、新型ビートルは更にひと回り大きくなってしまった。
全体的にボリューム感を出しつつふくよかなラインでつなごうとすると、ある程度の寸法が必要になるのは理解出来ますが、それでも・・・サイズだけ見てるとビートルに見えませんね。
気がつけば、世に出て来るいわゆる「新型車」は、その殆どが車体の肥大化を伴うのが常識になってきました。
衝突安全基準を満たす為という大義名分もあるのでしょうが、その大部分は「車内居住性の向上」・「エクステリア・インテリアのデザイン力の向上」といった商品価値を高める為もあると思います。
しかし、「他社が大型化するから、ウチも大型化する」といった理由にならない部分もあるでしょう。
それら全てひっくるめて、誰も制限を設けないまま思いつくように肥大化を繰り返していくとどうなるか。
シビックはいつしかクラウンサイズとなり、レクサスLSは「装甲車のように巨大」と揶揄されたW140型Sクラスと肩を並べるまでに至りました。
BMWの現行3シリーズは先々代5シリーズ、現行5シリーズは先代7シリーズとほぼ変わらないサイズ。
いいかげん肥大化し過ぎて次にメーカーが取る措置は穴埋め用の新しいグレード車をつくる事。
1と3の間に2シリーズ、3と5の間に4シリーズといった具合。
しかし、果たしてこれが正しいやり方なのか?
このやり方だと際限なく車種が増えるばかりで、メーカーも大変なのでは?
以前にも書いた事がありますが、いいかげん車体の大型化には歯止めを掛ける必要があるのでは?と感じます。
海外メーカーでは大型化しても軽量素材を多用して先代よりも軽量化された車種もありますが、まだまだ小型車には波及しきれてないのが現状。
それに、大型化を食い止めるには自分達ユーザーの認識も改めなければならないと思います。
同じ動力・燃費性能ならば少しでも大きなクルマを選ぼうとするから、各メーカーも少しでも大きなクルマを作ろうとするのです。
「この程度のサイズがあれば、もうそれ以上は不要」という考え方に各々が改めなければ、やはりメーカーも利益を上げなければなりませんから、今までの流れを変えるのは難しいかと。
サイズの肥大化と共に、ここ数年欧州車で顕著になっている現象に
・ ルーフを少しでも低く
・ 前後オーバーハングを大きく
といったデザイン上の変化です。
それまでは駆動方式に関係なく、前後オーバーハングは短め・居住性を優先してルーフは高めになっていたのが、どこかの国でいつしか見たようなクルマが増えてきました。
どこで見かけたのか・・・すぐ近くに最近までうようよ走ってたような?
あ、これひと昔前の日本車だ(笑)
80年代末~90年代初頭のいわゆる「バブル期」に筍の如く誕生した新型車は、皆一様に「低ルーフ」・「異様に長い前後オーバーハング」の持ち主でした。
最近の欧州車はこの頃の(既に全滅したはずの)デザインを新たに纏って現れてきた訳です。
自分はこの現象がすごく不思議に思いました。
当時のいわゆる「バブルカー」は海外メーカーからさんざんせせら笑いされ、既に過去の遺物になっていたはず。
常識的に考えれば車体の縦・横サイズが決まっていれば、居住性を少しでも大きくとれるようにホイールベースを長くとる。
ホイールベースが長くなれば必然的に前後オーバーハングは短くなる。
その中でうまくパワートレインを収めてトランクスペースも確保していく。
パワートレインでいえば、最近の日本のFF用エンジンは以前の後方吸気・前方排気から前方吸気・後方排気に切り替わってきました。
目に見えるメリットでいうと
・ エンジンの低重心化(前方排気だとエンジン下に排気管を通すため搭載位置が上がる為)
・ 排気管が短ければ触媒位置も近づけられる為、排ガス浄化で有利
・ エンジンを後方に傾斜搭載できるので、エンジンルームを小さく設計可能
というのが挙げられると思いますが、自分は初代ミニが誕生して以来FF車を真面目に作ってきたVW等は、とにかく車内スペースの確保に躍起になっていたのだと思います。
本田宗一郎氏の言葉ですが、「メカミニマム・マンマキシマム」というのがFF車の真骨頂だと思うので。
そうなると、後方吸気・前方排気だと色々スペース的に制約が多すぎる為、自然と前方吸気・後方排気エンジンへとなっていったのではないかな?と。
上記のようなメリットはその結果生まれた偶然の産物のように感じます。
ハナシが横にそれました。
ともかく、居住性・操縦性等理想に近いデザインだったはずの欧州車が、何故今更。。。
ある方の本によると・・・
90年代に欧州はEU統合・東欧解放等の経済・社会政策で今までより更に市場が拡大して一種の「バブル」状態になった。
中身の完成度云々よりも見た目の商品力・訴求力が求められるようになり、その結果クルマ作りが根本的に変わってしまった。
おそらくこれが正解なんでしょうね。
面白いのはそうなってくると、日本人もヨーロッパ人も作るクルマのデザイン力は大して変わらなかったりする事実。
もちろん年月は経っているのでそれなりに洗練・追及もされていますが、基本的に
・ 低ルーフ
・ 無駄に長い前後オーバーハング
・ 何故かサッシュレスのドアに格下げ
この3点セットが揃っていると、どのメーカーのクルマを見ても魅力的に感じなくなってしまうのは果たして自分だけでしょうか。
対照的なのはここ十年ほどの日本車で、一生懸命欧州車を横目で睨みつつ勉強してきた成果をここぞとばかりに新型車開発に投入し、(外観デザインに関しては好みの問題もあるのであえて触れません)先に触れた前方吸気・後方排気エンジンに始まり居住性の確保・前後オーバーハング短縮による慣性モーメントの削減等々、ひと頃とは比べ物にならないマジメなクルマ作りに変化しました。
ただ、惜しむらくは市場の変化によってそれらの技術がミニバン等に集中して投入される結果となり、手軽に乗れるスポーツカーが日本市場から駆逐されてしまったのは残念な事です。
しかし・・・「盛者必衰の理をあらはす」ということわざにもあるとおり、栄華は永遠に続かないもの。
日本・アメリカのバブルもわずか数年で崩壊してしまいました。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの中国経済も、いつまでこの上り調子が続くかは分かりません。
そして、それらの空前好景気が崩壊したその時、世の中がクルマに求めるモノは、基本に忠実でマジメに作られたかつての欧州車のような存在に違いないと思います。
近年の日本車はハイブリッドばかりが持てはやされる傾向にありますが、もっと基本的なポイントを抑えたベーシックなクルマを是非作ってもらいたいと願います。
そういったクルマは自然と理にかなったデザインとなりますが、結局そういうデザインが実は一番飽きずに乗り続けられるカタチなのだという事だと自分は思います。