今回はヤマハさん。
優等生という称号はホンダのバイクに与えられがちですが、個人的にはヤマハのバイクにこそふさわしいと思います。ハンドリングのヤマハ、デザインのヤマハと称えられることも多いわけですが。

こんなのとか(新旧V-MAX)

こんなのとか(MT-01)
突然何かを思い出したかのようにトチ狂ったバイクを出すこともありますw。そんなヤマハさんが過去に出した125ccスクーターの問題作がありましてね、ちなみにソイツにつけられた通り名は
「スクーターのRZ」
【YAMAHA CZ125 TRACY】
「ヤマハ CZ125 トレーシー」です。
1983年のデビュー、このあたりから125~それより少し大きいスクーターが出始めたころでして、年代的にはそうH・Y戦争でバチバチに殴りあっていたころですかね。そんな時代に

CZ125トレーシーが誕生しました。
スペック
水冷2サイクル単気筒、排気量123cc、最高出力16馬力です。
スペックだけを見たら凡庸な感じですが・・・

こちらがそのトレーシーのエンジン回り、まあ、一般的なスクーターのスイングユニット式と呼ばれるモノです。ちなみに現在の4サイクル125ccスクーターのエンジン、最高出力は10~12馬力ほどです・・・16馬力で2サイクルでしかも水冷って何?、もうこの時点で漂うただ者ではない感じw。それもそのはずで

こちらのRZ125のエンジンからピストンなどを流用しております。いや、ちょっと待てスクーターだよ?、スクーターにピュアスポーツな2サイクルのピストンをブチこんだのかよw。もうこの時点で色々とおかしいんですが。

こちらのDT125のピストンという説もありますが、でもDT125は14馬力なんですよね・・・やっぱりおかしいやろw。

足回りは正立フォークに10インチのホイールとこの当時としてはよくある組み合わせ、ブレーキはドラム式とスクーターとしては普通、でもねこのブレーキ実は・・・後程。
リヤは上記したスイングユニット式、つまりスイングアームとエンジンが一体化したヤツで、サスペンションは両側の2本サスを装着。

こちらが純正ホイール、結構変わったデザインなのがわかります。

フロント側、80年代の近未来感なカクカクとしたスタイル。

黒い部分はダクトになっていて中には水冷なのでラジエーターが入っています。

サイドビュー、これまたカクカクなスタイルです。ちなみにリヤブレーキはペダル式なので足元にブレーキペダルがあり、上記のフロントビューを見るとわかりますがブレーキレバーは右側のみです。

リヤビュー(ボックスは本来ありません)、リヤフェンダーの上に横長にランプ類が配置されています。このデザインは悪くないかと、さすがデザインのヤマハ。

メーター回り、右側タコメーター左側スピードメーターの配置、各スイッチ類は大きめでグローブをしていても操作しやすいとか。

車体色は黒赤もあります。やはり10インチだとタイヤが小さく見えますね、いかにも80年代の近未来感なカクカクデザイン、今見ると一周回って新鮮味があります。
さて、その走りは?
実は3000rpm以下では案外眠たい感じで、トルクは1.7kgとそれなりにあるほうなのに低い回転域では発進も苦労するほど。しかし、回転数が4000rpmあたりを越えるとまさに豹変するそうで、そこからバキーンと加速というか急激にパワーが立ち上がりフロントがポンポン浮いてしまうとか。つまり突発性竿立ちウィリースクーターなのです・・・怖っ!。3000回転以下が眠たくてそれを越えたらバキーンって、誰がスクーターで2サイクルのレーサーレプリカを造れと言ったんだよ?w。つまりパワーバンドが4000回転あたりから6000回転あたりなんだとか。125ccなので当然2ケツ可能ですよね、だから2ケツで不用意に飛ばすぜベイベー!しっかり捕まってな!とか言ってスロットルをワイドオープンなんてやった日には・・・

2ケツの後ろの人の上に前の人が重なり、さらにその上にスクーターが降ってくるというキン肉バスター、いや、マッスルドッキングが完成します(無い無いw)。まあしかし、それに近い事態は発生するそうです・・・何だよそれw。ただでさえスクーターって重心が後ろ側になりがちですからあり得なくも無いかも。
そして後程と書いたブレーキなんですが、実はこれ当時のヤマハの50ccスクーターの流用部品なんです、つまり50ccスクーター用のドラムブレーキがそんなじゃじゃ馬な125ccスクーターに前後ともそのままでついているんですよ・・・何故そんな大事な所をケチるんだヤマハさん!優等生はどこへ行った?w、なので当然

というか止まらないw、死ぬ気てレバーを握ってペダルも踏まない止まりません・・・いや、それは死ぬってw。そして、ホイールは10インチと来てるので安定感にも欠けます。
さらにトドメ、16馬力?非力じゃんと思うかと、でもこのトレーシー乾燥重量が92kgしかありません、装備重量で101kg。比較として上記したRZ125は最高出力20~22馬力(年式によって違います)、乾燥重量で98kg、装備重量で111kgです・・・トレーシー軽すぎだろ。なので峠の下りならパワーバンドに入れておけばRZ125に食いついて行けるそうで、ただし止まらないんですけどねw。尚、最高速はメーターを振り切って120km/hを越えるとか・・・嘘やろ、ひょっとしてCZって名前はCrazy(クレイジー)の略か?w。さらにさらにガソリンタンク容量は6リットルほど、それで燃費はリッター20kmほど(公称)、実際は飛ばすと15kmぐらいに落ちるらしいw。長距離なんて走ろうものなら常にガソスタの位置の把握が必要ですね。メットイン?そんなもんありません!、シートを開けたら燃料タンクやオイルタンクがこんにちは、その下にエンジンが見える仕様、フロントのスペースに小物入れ?

あるのはラジエーターとかラジエーターリザーバーとか・・・
つまり、お前、走るのにそんな物が必要なのか?俺に物を積もうなんて考えるなよ、走りに余計な物なんていらないよね?とトレーシーさんから怒られますw。見た目からは想像がつかない、なんて硬派なスクーターなんでしょうか、「スクーターのRZ」の通り名は伊達じゃないのです。一部のユーザーからはチューンドロータリーのようなエンジン特性のスクーターだったなんて言われていたり・・・それでブレーキが50ccスクーターレベルのドラム式って怖すぎやろw。流石にヤマハも出してから危険だと気づいたのかw、実質の生産期間は1年ちょっとと短く、結構レアな125ccスクーターとなっております。
さて、中古市場
下は16万あたり、上は30万あたりが相場のようです。程度が良い物ほど高額と常識的な流通をしております。ただ、古いので部品は探すことになりますかね。

キャッチコピーは「フルフェイスがお似合いだ」・・・でしょうね、危ないもんw 。
優等生のヤマハはどこへ行った?と問いたくなる問題作w、125cc2サイクルスポーツの強心臓を与えられ最初は眠たいけど回転が上がるにつれ二段階のロケット加速、乾燥重量100kg以下でフロントがポンポン持ち上がるほどの凶暴なパワー、下手をすれば一人バックドロップ二人ならマッスルドッキングの共同作業をする羽目にw、「危ない」のでとても短命だったスクーター、見た目はおとなしい感じなのにH・Yハイパワー戦争真っ只中の頃に生まれたまさに走りのためのスクーター、ならちゃんとブレーキも強化しなさいよと問いただしたくなるヤマハの問題作、それがヤマハCZ125トレーシーです。つまり車名はCZ(クレイジー)な125ccのTRACY(とってもレーシー)ってことか?w。
所有するなら?、とりあえず命が危ないのでなんとかしてブレーキ強化からかなw、他社流用でなんとかならないものやら。チャンバーをつけてあえて低速を太らせてデチューンという手も(パワーアップのためではないw)

これはワンオフ物らしいんですが、装着することで逆におとなしくなったとかw。リヤサスもピギーバックタイプの2本サスに交換したいかな。リヤのスイングアームを少し延長するのも良いかも知れません、竿立ち対策としてね。
一応スロットルを開けなければ、普通に乗れるスクーターなんですよ、しかしひとたびガバッとスロットルをワイドオープンにするとロケット加速・・・いや、これは面白そうなスクーターだな、一度乗ってみたいものです。保険はしっかりかけてからねw。
余談
上記でRZやDT125のピストンと書きましたが、実はもうひとつの説がありまして。ピストンの提供元(ドナー)は実は・・・

これ、1983年モデルのYZ125なんですが、コレのピストンだよというお話もあります。いや、待て、すると何か?、レーシングオフローダーのピストンをスクーターにブチこんだのか?w、あくまで一説ですがこんな話もあるんですわ。いや、何をトチ狂ってるんだよヤマハさんw。
そして、このトレーシーには拡大版が居ましてね。

CZ150トレーシーR・・・
排気量的に高速道路も走れちゃいますと・・・なんかRがついていますがw。ご心配なく、パワーは1馬力アップの17馬力、出力特性は125より【ほんの少しだけ】マイルドになっているそうです。ただ、足回りとかは結局125と変わらないというね。これで高速道路は走りたく無いなぁw。
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2025/04/18 16:59:35