
今回はちょっと変わったキットを作ってみました。(実は8/19には完成していたのですがUPが遅れてしまいましたw)ハセガワの1997年の限定キットですが、水上機に透明レジンの水面(とフロート)をセットに、一部レジン製のパーツを追加したものです。水のジオラマということで「アクアラマ」と称していますが、これがなかなか良く出来ていて大変楽しめました。(
ギャラリーもどうぞ)
さて、キットの話は置いて、肝心の機体の話しです・・・この機体は後の陸上機「
紫電」「
紫電21型(紫電改)」の大元になった川西の水上戦闘機「強風(N1K1)」です。そもそも、「水上戦闘機(N)」というカテゴリーは当時日本海軍だけにしかなかったのですが、15試水上戦闘機として開発が始まったこの機体、大きなフロートをぶら下げるハンデを(当時手に入った)最も大出力のエンジンを積むことで何とか戦闘機としての性能を持たせようとしたものです。
水上機(や飛行艇)に造詣の深かった川西ですし、先行していた高速水上偵察機の「
紫雲」の経験の活かしながらの開発でしたが、同時期に開発された局地戦の「
雷電」と同様、直径の大きなエンジンの抵抗を少なくするため、海軍技術廠での研究結果に基づいて胴体全体を紡錘型にまとめているのが一番大きな特徴です。また技術に対するチャレンジ精神旺盛なメーカーらしく、当初は二重反転プロペラを備え、主翼断面も層流翼という新しい技術を導入していました。(二重反転プロペラは不具合が多く量産機では普通の3枚プロペラに改められましたが)
さらに後の「紫電・紫電改」で威力を発揮した「自動空戦フラップ」もこの機体で試行錯誤が行われ、水銀柱による旋回中のGの検出とフラップの自動調整という画期的な機構の完成を見ました。これは「強風」の試作機と
二式水上戦闘機(「強風」の実戦配備が開戦に間に合わないため、急遽零戦11型を中島で水上機化した機体)との模擬空戦の結果、どうしても格闘戦(主に回転半径の小ささ)性能が劣っていたために講じられた対応策です。
制定と実戦配備は日本が守勢にまわった後のため、常に戦線の先端に配備された二式水戦に比べると「強風」の実戦でのエピソードは少なく、むしろ紫電、紫電改の母体となったという点で記憶される機体となりました。
大きなフロートを付けた水上機に陸上(艦上)戦闘機と同様の性能(実際の要求性能では速度は零戦以上)を求めたのは物理的に無理だったのですが、それに挑んだ川西の設計陣の挑戦には感服されます。
ライバルとでもいうべき二式水戦の同様な(いや、むしろより凝った)「アクアラマ」キットも手に入れてありますので、それもまたいつか作りたいと思っています。
2012/8/16 追記---------
この記事は、
三和模型、1/100、水上戦闘機 強風、にTBさせて頂きました。
ブログ一覧 |
◇プラモ-日本 | 趣味
Posted at
2007/08/28 23:16:45