
この日はディーラーに車を預け、作業を依頼しました。その間、デイズを代車としてお借りしたため、ディーラーと自宅の往復程度ですが、試乗を行いました。
その後のデイズ
前期型には、登場当初に試乗済みです。その際、アクセルペダルにほとんど反応しないエンジンなど、燃費の数値を上げるために、かなり無理をしていることがわかりました。同じ印象を持った人は多いようで、みんカラ内でも前期型の走行性能の悪さを指摘するものが散見されます。また、岡崎五朗氏が司会を務める「クルマで行こう」でも、高出力スポーツカーよりも実走行燃費が悪かったとのことです。
この車は、日産自動車と三菱自動車の合弁会社で生産されますが、主導は三菱自動車だったそうです。マイナーチェンジの際、届出燃費の数値(≒排出ガスの数値でもある)が届出値にならず、三菱自動車に問い合わせて発覚したそうです。
その後、販売休止期間を経て今の状態になりました。この車の登場時の燃費は、確か28.2km/リットルでした。スズキアルトやダイハツミライースは、既に30km/リットルを超えており、遥か遠くに行ってしまいました。その事があってか、無理に燃費の数値を追わず、走りやすさを狙った改変が行われていました。
エンジン
前期型と同一の、3B20型DOHC自然吸気エンジンが搭載されております。三菱iでデビューしたエンジンで、ダイハツKFエンジンと概ね同じ時期に登場したエンジンです。最新の考えに基づいたエンジンであり、可変バルブタイミング機構や電子制御スロットル機構、EGR機構などが搭載されております。
この時期の3気筒エンジンになると、振動が十分に抑制されています。同じ時期に試乗したダイハツEF-VEエンジンがアイドル時には大きな振動を発生し、その振動が車体やステアリングメンバーに伝わっていましたが、この車ではエンジンの振動を抑えることで、車体全体への波及を防止しています。
3気筒エンジンは、気筒ごとの吸排気が干渉しないのですが、クランクシャフトの回転アンバランスがあり、振動は避けられません。その振動がより強調される回転域があり、800回転程度や1500-2000回転程度の時に、その振動を強く感じます。このエンジンは、あとで説明するCVTの変速制御と強調し、振動がひどくなる回転域を避けて加速する制御にしています。
また、電子制御スロットルは、室内にモード切替スイッチ(POWER、NOMAL、ECOなど)はありませんが、アクセルペダルの踏み方や速度域により、自動で切り替えマップが用意されているようです。前期型は、アクセルペダル踏み込み量が浅い速度域ではいつでもECOモードを強要されているような印象でした。この後期型では、次のような制御で行っているようです。
発車時:POWERモードのような印象で、ほんの少しアクセルペダルを操作しただけでもエンジンの回転は俊敏に上下し、さもパワーあふれる活気あるエンジンのような性格を見せます。スロットルバルブを大きめに開くようです。
定速走行時:道路の制限速度は、40km/h~60km/hです。この速度域に到達するとアクセルペダル操作に対してエンジン回転の上下はほとんど起こらず、定速走行を促すようなモードになります。ECOモードで運転されているようです。
再加速時は、速度域によって変わり、低い車速では俊敏に、定速速度域では緩慢に反応します。なお、Nレンジでは空吹かしを抑制するためか、アクセルペダル操作に対して極めて緩慢に反応します。
このように、CVT故に変速段は存在しないものの、速度域によってアクセルペダルへの応答性が顕著に変わります。回転器具の法則として、低速時にはトルクが大きく、高速時にはトルクが減少する「出力一定」が使用しやすい、というものがあります。その法則に則っているとは言え、再加速時に俊敏に反応したり緩慢に反応したりで、運転士が予測してアクセルペダルを操作する必要が、有段A/T車以上にあります。
慣れれば自在に運転出来るような気もしますが、なんとなく運転しづらく感じました。しかし、エンジン出力の小ささを感じさせない性格で運転されますから、余裕こそ少ないものの、平坦路ではターボチャージャーの必要性を感じませんでした。
トランスミッション
CVTを採用しています。前述の通り、3気筒エンジンの振動が強まるエンジン回転域を避ける制御をしています。変速制御はアクセルペダル踏み込み量と速度で決定され、その結果から振動が強まる回転域を避けて最終決定されるために、CVTながら段があるかのような制御となっております。
自然な反応を重視するのか、3気筒の振動を避けるのか、現在は後者を優先しているようですが、私もその方が快適に乗れると考えています。
ステアリング
電動パワーステアリングを採用しています。路面の状態はあまり伝えませんが、決して悪い感じはしません。
ブレーキ
ブレーキペダルの踏み応えは良く、ペダル踏力で減速度を容易く調整できます。特に、CVT故にトルクコンバーターの変速比が小さいため、減速時にエンジン動力が制動を阻害せず、容易く停車できます。トルクコンバーターのストールトルク比(トルク増大の係数)が大きいと、発車時には力強く発車できますが、減速時にもアイドリングで発生している力が増大されてしまい、よりブレーキペダルを強く踏まなければなりません。CVTではトルクコンバーターを小さくしてもCVTでの変速が可能であるために、ストールトルク比が小さくなります。そのために、停車しやすくなっています。
サスペンション
低速時にはしっかりした減衰力を発揮するために、しっかりした乗り心地となります。背の高さも感じさせません。しかし、大きなうねりなど、少しでもサスペンションが速く伸縮されるような路面を通過すると、完全に減衰力が不足します。このことから、曲がり角などでは十分な減衰力であるものの、山道などの曲がり続けるような道路では、大きくロールすると推察されます。
もう少しショックアブソーバーの減衰力を高めるか、スタビライザーを強化するか、リバウンドスプリング内蔵ショックアブソーバーを使用しませんと、乗員は車酔いをすることが予想されます。ハイウェイスターグレードはノーマルグレードに対して乗り心地を固めにされてはいかがでしょうか。
ボデー
この車は、スズキワゴンRやダイハツムーヴに近い性格を持っております。競争相手の車がこの車登場時から1回フルモデルチェンジをしていますので、若干古くなっています。特にデザインの上で派手さが不足しています。(私の好みでは十分です。)せいぜい、大きいなメッキグリルが特徴となっていますので、若い人に対する訴求が足りないかもしれません。
車の性能としては十分で、日産が販売する軽自動車という性格上、いわゆる「DQN需要」には対応していないようです。この点からも、飽きずに長く乗れるスタイル、内装になっていると感じています。
ボデー剛性の点では、十分に高くなっていると感じます。サスペンションの設定ゆえ、入力が小さくなっていることも影響していると思いますが、登録車の小型車、いわゆる小型乗用車よりも出来が良く感じられます。
まとめ
久しぶりに軽自動車に乗り、一段と出来が向上していることを感じました。特に3気筒の振動を抑制内氏は回避させる制御が秀逸で、3気筒らしさをほとんど感じません。現行の日産マーチが発売された時期とは大違いです。自動車メーカーは、売れているジャンルには開発費を十分に投入していることがわかります。これでは、登録車の小型車が売れなくなるのも仕方がありません。
とはいえ、ボデーが小型であるゆえに、後部に衝突された場合の後部乗員の安全性、横からぶつけられた場合の安全性、横風への安定性は、ほとんど考えられていないと言っても良いと思います。ボデーの大きさは、衝突時に効いてきます。滅多にないか、車の生涯の上では全く使わないかもしれない衝突安全性ですが、こればかりはわかりません。
しかしながら、丁寧に作られた飽きのこない車で、前期型のような無理した低燃費性能もなくなり、リーズナブルな車になったと言えます。
日産
デイズ(ハイウェイスター前期モデル)
デイズルークス
ルークス
ホンダ
N ONE(ターボエンジン)
ビート
ダイハツ
ミライース(旧型)
ムーヴ(旧型)
ムーヴ(L900S,L902S比較試乗)
スズキ
ワゴンR(旧型ターボエンジン、初期型)
アルト(現行初期型自然吸気エンジン搭載車)
ワゴンR(旧型の初期型、自然吸気エンジン、乗車のみ)
VW
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試乗 | クルマ
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2017/08/15 20:11:39