2009年04月24日
「第1空母着陸態勢に入ります。速度006。005」
緑色をした第1空母がガミラス星に到着した。隊長はゲットーだ。
「着陸だ。久しぶりに故郷の土が踏めるぞ」
隊長のバーガーがそう指示を与えた紫色の第2空母が第1空母に引き続いて着陸態勢に入った。
「第1空母、第2空母、着陸いたしました」
青い色をした第3空母隊長のクロイツは、航海士に着陸の指示を出した。
「よし、我が第3空母はポイント3に着陸」
3機の空母がガミラスに着陸していた。
「第1、第2、第3空母が仲良く並んでるのは壮観な眺めだわい。我が戦闘空母もあの端っこに着陸だ」
「はい」
赤い機体に白いラインが入った戦闘空母の隊長ハイデルンは悠々と、嬉しそうに着陸に向った。
「こいつは久しぶりに、でっかい戦闘のようだ」
ドメルのもとに、連絡が入った。
「ドメル司令。各戦線から選抜された空挺団が到着しました」
「そうか」
ドメルは各空母の隊長が集まる部屋に入ると4人の隊長の顔を見渡しながら歓迎の笑顔を向けた。
「やぁ、みんな!良く集まってくれた」
ドメルの言葉に続いて、各隊長の挨拶が始まった。
「ルビー戦線からまいりました、ゲットーであります」
「サファイヤ戦線からまいりました、バーガーです」
「ダイヤ戦線からまいりました、クロイツです」
「オメガ戦線からまいりました、ハイデルンです」
自己紹介が終わるとドメルは全員を見回すようにねぎらいの言葉をかけた。
「本当にご苦労だった。出撃は明朝だ。今夜はゆっくり休んでくれたまえ」
「ハッ!」
隊長らは手を挙げて、それに応えた。
Posted at 2009/04/24 07:38:39 | |
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2009年04月23日
「翻訳セット完了」
「よし」
沖田の声が響いた。
「スイッチオン」
翻訳が始まり、ドメルの声がスピーカーから流れ始めた。
「ヤマトの艦長に告ぐ。そろそろお互いに雌雄を決するときが来たようだ。
諸君がイスカンダルへ行こうとするのと同じように、我々は地球を欲している。
もしどうしてもイスカンダルへ行こうというのであれば、
諸君は我が軍を正面から打ち破る必要がある。
本日より7日後、七色星団において艦隊戦力の決戦を申し入れる。
太陽系方面作戦司令長官ドメル。ヤマト艦長殿」
沖田が目を見開いた。
「艦長、当然受けるでしょうね?」
古代が進み出て、沖田に尋ねた。
「しかし古代、まだ我々はガミラスのすべてをつかんでいない」
沖田が発言する前に真田が古代に言った。
「真田さん、それはどういう意味ですか?」
「こうしてあからさまに正面切って戦うのは不利だということだ」
「じゃあ、こんな挑戦状を突きつけられても、尻尾を巻いて逃げ回れというんですか?」
古代が真田に食って掛かる。
「古代、もう日程的に余裕はなくなっている。航海班の立場から言わせてもらえば、戦闘によるロスは極力避けてもらいたい」
島が古代を制しながら言った。
「島、それじゃ艦長代理として言わせてもらう。決戦というのはな、勝つか負けるか二つに一つだ。負ければ全てが終わる。しかし、勝てばいっさいの道が開かれるんだぞ」
意見は分かれている。それぞれが間違ってはいない。
「みんな、今はとにかく艦長がいらっしゃるんだ、裁断を下していただこうじゃないか」
徳川がその場を収めるために声をかけた。みんなが決断を待つように沖田を見つめた。
「挑戦を受ける。一度は通らなければならない我々の試練なのだ。必ず勝ってイスカンダルへたどり着かなければならない」
第一艦橋に決意の沈黙が流れた。
Posted at 2009/04/23 07:40:59 | |
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2009年04月22日
「ここがガルマリウスの三つ子星団です」
「だめだ、あそこは放射能嵐が強すぎる」
モニターの資料を映しながらドメルはヤマトとの決戦の場を捜していた。
「それではポジ星系の重力星団はどうでしょう?」
「ここには我が艦隊の隠れるところがない」
「これは?」
切り替わったモニターには幾つもの星が連なって映し出されていた。
「七色混成発光星域、通称七色星団です。それぞれ違った習性に基づく6つの星と、ガス状の暗黒星雲とからなる、混成星団だ」
「よぉし、決まったぞゲール。七色星団を決戦の場に選ぶ。ヤツを迎え撃つには絶好の場所だ」
ゲールにそう言ったドメルは、もう一度モニターに向き直った。
「ゲール」
「はっ?」
「俺の挑戦状をヤマトへ送れ」
「しかし、ドメル司令。ヤマトに勝つ手だては?」
「心配するな。すでに兵器開発部で計画は進行中だ」
ドメルは開発中の新兵器についてゲールに話し始めた。
「新しく開発した瞬間物質移送機だ」
「瞬間物質移送機?」
「そうだ、俺はこの構想を長いこと練ってきた。これで物質移送空間を作り、環状機でヤマトに急襲をかける」
「しかしヤマトには波動砲という決定的な武器があります」
波動砲の威力はゲールにとっても思い出したくないものだった。
「ハハハハ。それも計算済みだ。あれを見ろ」
「これは?」
「ドリルミサイルだ」
巨大なミサイルがそこにそびえ立っていた。まさに巨大なドリルのようだ。
「これをヤマトの波動砲の発射口へ打ち込み、とどめを刺す」
ドメルはゲールに向き直って命令した。
「ゲール、直ちにヤマトへ挑戦状を送り、各戦線に決戦のゲキを伝えろ」
「なんだ、雪君も呼び出しかい?」
「えぇ、そうなの」
ヤマトでは緊急招集がかけられていた。
「何が起こったんだ、古代?」
真田の質問に古代が立ち上がって答えた。
「聞けよ、ガミラスから挑戦状が送られてきたんだよ」
「挑戦状だと・・・?」
徳川が驚いて思わず声を発した。
Posted at 2009/04/22 08:08:17 | |
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2009年04月21日
「ヒス。私の回答だ!」
デスラーは手にした書類を、ヒスの前で握りつぶしてみせた。
「あ・・・」
ヒスが呆然と立ち尽くす前で、デスラーはその書類を丸めて捨てた。
「総統・・・」
「彼がやったことは許しがたいことだ。しかし今ドメルを処刑してしまったら、一体誰がヤマトを潰せるのだ?」
目をつぶって話をしていたデスラーは目を開け、ヒスを見ながら続けた。
「彼にはそれなりの覚悟があったはずだ。失敗したからといって、そのまま引き下がるとも思えん」
「それでは総統は・・・」
「そうだ」
デスラーは立ち上がった。
「ドメルに最後の決戦を挑ませるのだ」
ドメルのもとにデスラーからの使者が訪れた。ヒス副総統だ。
「ドメル。デスラー総統によって罪は許された」
「えっ?許された?」
ヒスの言葉を聞いたドメルは、座っていた椅子から立ち上がった。
「あらためてデスラー総統からの命令を伝える。大マゼラン雲に入る手前でヤマトを撃破せよ」
「ヒス副総統、望むところです。私のすべてを懸けて戦いましょう」
ドメルはヒス副総統に向って力強く宣言した。
そのころ宇宙戦艦ヤマトでは、バラン星で得たガミラスの様々な資料が分析されていた。
「ねぇ、真田さん。ガミラスがどこからどうやって来るかだけど、何かその手がかりでもつかめましたか?」
モニターを見上げていた真田のところに古代が来て訪ねた。
「古代、これはあくまでも俺の推論だが、ガミラス人は地球への移住を考えているんじゃないだろうか」
「えっ?」
「この資料を見てみたまえ。奴らが地球の汚染度の変化を本国へ報告していたらしい形跡があるんだ」
真田は分析されたデータを拡げて古代に言った。
「ん?もし彼等の目的が本当に地球への移住にあるとしたら、バラン星は重要な拠点になっていたはずですね」
「そこを奪われ破壊されたんだ。当然黙ってはいないだろう」
「そうですね・・・」
真田の推論は古代にも正しく思えた。ガミラスは必死だ。古代にもわかっていたことだった。
Posted at 2009/04/21 08:13:08 | |
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2009年04月20日
西暦2200年。
宇宙戦艦ヤマトは太陽圏を遥か7万8千光年の宇宙空間を航行していた。
イスカンダルへの中間点バラン星は、ヤマトにとって灯台のような役目を果たしていたが、実はそのバラン星こそ、
ガミラスの地球攻略作戦の補給基地であった。
太陽系方面作戦司令長官ドメルは、ここをヤマトの墓場とすべく、大謀略戦術を挑んできた。
しかしヤマトは危機一髪でドメルの野望を砕き去ったのであった。
地球攻略の重要拠点である基地を、自らの手で破壊するに至ったガミラスは苦境に立った。
当然、この作戦を指揮したドメルに批判の声が集まっていた。
「何度も申し上げているように、私の作戦に狂いはなかった。作戦が引き起こした重大な結果は全て副官のゲールのつまらぬ密告によるものだ」
軍法会議の席でドメルはゲールを指差して非難した。
「ドメル司令!私はデスラー総統への忠誠心から連絡したのです。それが何故・・・」
ゲールも立ち上がって反論した。
「ゲール。そのいらぬ忠誠心が、あの作戦を失敗させてしまったのだ。たとえ基地を潰してもヤマトを葬ってしまえば、我々の狙いはほとんど達成されたようなものだった」
「ドメル司令。君は作戦に万一の失敗があることを考慮していなかった」
議長はドメルに言ったが、ドメルは発言をかぶせた。
「私の作戦に失敗はない!あの時デスラー総統から電話さえなかったら・・・」
ドメルの作戦は間違いだったという考えがほとんどだ。非難はドメルに集中する。
「思い上がりもいい加減にしたまえ!現実にバランの基地は失われてしまった。これは我々の手足をもがれてしまったのも同然なのだ」
「問答無用だ!死刑を要求する!」
「死刑だ!」
「私も死刑だ」
「死刑だ」
「死刑」
「死刑に賛成する」
ドメルは会議場中央に立っていたが、周りからの声はしだいに大きくなっていた。
「表決するまでもない。当軍法会議は太陽系方面作戦司令長官ドメルを死刑に処することを決定する」
議長が立ち上がって、判決を下した。
「・・・」
ドメルは唇を噛み締め無言のまま、立ち尽くしていた。
「なんだね、ヒス?」
「はい。軍法会議の結果を報告にまいりました」
ヒスが会議の報告にデスラーのもとを訪ねた。
「報告しろ」
振り向いたデスラーが言った。
「全員一致であります」
「一致?」
デスラーのもとに、一通の書類が運ばれてきた。
「死刑であります。どうぞ書類にご署名下さい」
Posted at 2009/04/20 07:40:46 | |
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