“良いクルマ”ってなんでしょう?
“好きな車”っていうのは、オーナーそれぞれの趣味嗜好で異なってくるのです。走るのが好きな人にとってはスポーツカーだったり、大勢で出かけるのが好きな人にとってはミニバンだったり、アウトドア大好きな人ならSUVだったりワゴンだったり。
しかし、運転してみて「あ、運転しやすいな」って思うクルマには共通点が有るのです。
それは、“ドライバーに必要な情報を伝え、その意思を過不足無く反映する”クルマ。
それを求めていくと、やはりドイツ車に行き着くのです。
さて、またもや最近更新が止まってしまいましたが、今度こそしっかり更新していきたいと思います。
いつもこんなこと言ってますが…(笑)、「開発の現場で学んだクルマ」について広めていかねば。
実は先日にスキー帰りに横っ腹に突っ込まれまして、あえなく代車生活です。
それで現在乗っているのがトップ画の車。
(注:Skyactiveの前でであり現在は異なります)
さすがZOOM ZOOMしてて小気味良く走ってくれる車です。エクステリアもインテリアもデザイン良いし、同クラスの他の車と比べて造り手の想いが詰まってて良いなーと感じます。さすがだね、○ツダ。
ですが、それでもやはり今の日本車に共通している「ユーザーの声を聞き過ぎたがための間違い」を感じてしまいます。それは、“レスポンス”でなく“ゲイン”を上げてごまかし、結果として“リニアリティ”が損なわれているということ。
なんやそれ?という事で、下のグラフを見てみて下さい。
これはアクセル開度=踏量に対する実際のエンジンのトルクの出方=スロットル開度を表しています。他にもブレーキ、ステアリングなど基本の操作系に全て言えることです。
ドイツ車は操作系全てが、“操作≒入力した分だけクルマが動いてくれる”のに対し、
日本車は“最初は動きづらいくせに、急にグイっと動き始め、あとはあまり変化しない”のです。
これ、細かい微妙な操作をしようとするとどちらの方が運転しやすいと思いますか?
当然ドイツ車の直線タイプの方ですよね?
さらに厄介なのは、戻りの曲線が別のラインを描くヒステリシス曲線で有る事。
踏み過ぎた分だけペダルを戻しても、加速が止まらんのです。それは絶対におかしい。
今の代車に乗って感じたのは、
“アクセルをちょっと踏んだだけで勝手にクルマが飛び出して危ない!”
“ステアリング軽くゲインも高く、曲がりすぎて怖い!しかも手応えが無い!”
ということ。これは318との相対評価でなく、世界的な車の標準値に対する絶対評価です。
1.5トンもの重量物を高速で走らせることは、言うまでもなく危険なことです。
もしそれがドライバーの意図した以上の動きをしてしまったら、それは走る凶器になります。
“安全に”車を走らせるためには、“ドライバーの意思に忠実に”動かなくてはなりません。
ではなぜ日本車はこんな特性なのか?
それは大いに、「本当は元気無い=エンジンのトルクが無いのを“元気さ”を演出するため」という造り手の都合だったり、「加速しづらい」「なんだか止まらない」「ハンドルが回すのが辛い」というユーザーのリクエストに、良くも悪くも真摯に応えたため。
そこには、
“クルマは本質的にどうあるべきか?”という哲学が希薄なのです。
確かにカスタマーインの製品は大事。
しかしユーザーのリクエストをそのまま採り入れては、その製品の方向性は発散してしまいます。
大事なのは、それを咀嚼し、「それってどういうコトなんだ?」と熟慮に熟慮を重ね、「クルマとはかく有るべきだ!!」というメーカーとしての哲学・ポリシーを磨き上げプロダクトアウトすること。それができていないメーカーの製品としての車は、触れてみて一発で分かります。軽薄です。そこが優秀なのはやはりドイツ車なのです。
よく、“日本社会のクルマに対するインテリジェンスは低い”と指摘を受けます。
それは、国民性だったり自らが生み出した製品ではないなどといった背景は有るにせよ、上に述べた様な原因も有ると思うのです。哲学・思想の無い車が氾濫し、スペックとしての数字は優秀で、ユーザーも造り手自身も「それってどういうコトなんだっけ?」という問いをやめてしまったんでは無いか、と。
小手先の便利さに人間は惹かれ、結果として怠惰になり文化的に後退するものです。
これはクルマに限らず全てのモノづくりに言えると考えています。
特にコモディティ化した分野の工業において、日本に斜陽の影が見えてきているのはそこが原因だろうと思うのです。
“本質はなんだ?”
変化する時代に合わせながら、その問いを常に投げかける事が大事です。
※ちょっと発散してしまいましたが…、もちろん日本車にも素晴らしい点は沢山有ります。
次回は代車の○ツダの○テンザを例にしてそんな事を書いてみます。
ちなみに今回の代車、最新のSKYACTIVEでは有りません。
それには大いに期待しているので、この車の正式な最新の評価は、いつかSKYACTIVEに乗った時に…
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Posted at 2012/03/16 03:36:38 | |
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