
昨年の奄美大島や加計呂麻島での様子を綴ったフォトギャラリーの
奄美大島・2014 (19/25) で、私はこう書いた。
(タイトル画像は2014年、加計呂麻島にて。撮影している私も潜っている。)
最近のボートシュノーケルとかのツアーへの参加だと、日本では全員フローティングベスト着用だったり、シュノーケリングとスキンダイビングは別物のように再定義され、まず潜らせてもらえないですが、この日は潜りたい放題。
もちろん、シュノーケリングはフローティングベスト着用での水面浮遊でも十分楽しめるものですが、技量があって、訓練・経験を積んでいる人であっても一律「潜らせない」は、やはりストレスになります。
ツアーを履行する側だって、参加者全員のレベルを履行前に正確に把握出来る訳でも無いし、経験豊富なベテランだって時に溺れて死にます。過去に悲惨な事故が多発して現在の様な状況になったのも理解しています。
今回のツアーでもベストは用意されていますし、それを着けずに潜るということは、すべて自己責任による行為ですから、「万が一」があっても(ツアー参加時に誓約書に署名した通りに)損害賠償の請求などしないようにして下さい。こういう楽しいツアーも無くなってしまうから…。
そして、今年8月10日の死亡事故のニュースを聞いた。
報道によると「子ども2人が海に潜れないからとライフジャケットを外したところ、娘が流され、助けようとした大人2人も流されたとみられています。」とのことらしい。
場所はどこか。
海水浴家族3人死亡、沖縄・伊良部島 : 最新ニュース : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
> 10日午後4時5分頃、沖縄県宮古島市・伊良部島の海水浴場「渡口の浜」で「家族連れがおぼれている」と消防に通報があった。消防隊員らが現場に急行したところ、シュノーケリング中の兵庫県明石市、会社員亀井繁和さん(47)ら家族4人が波に流されており、うち3人の死亡が確認さ…
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> 沖縄県警によると、4人は当初、ライフジャケットを着けて泳いでいたが、麟太郎君と長女が海に潜る際に脱いで流され、助けようとした亀井さんと家入さんも流されたらしい。引き揚げられたときは、4人ともライフジャケットを着用していなかった。
場所は「渡口の浜」とのこと。
沖縄宮古島で観光&シュノーケリング:宮古島讃歌[宮古島のビーチ]
なぜ、この一行は、サンゴもなければ、魚も少なくて、決してシュノーケリング向きとは言えない「渡口の浜」でシュノーケリングをしていたのか。
穏やかな日であれば、透明度の高さに助けられ、何かしら見て楽しむ対象物に遭遇できることもあったとしても、当日の、台風13号の影響で荒れ、うねって波の高さが2m以上あった様な状況では透明度も期待出来無いし、仮にそんな状態で海中に潜っても細かな砂で出来ているこのビーチの海中は舞い上げられたパウダーサンドでぐじゃぐじゃ。とてもではないけれど、海中を見て楽しむような状況ではない。
これはやはり、第一には大人の責任が大きいと思う。ポイント選び、当日の海の状況把握がダメ、こんな状況で海に入るべきでない。
それでも海に入り、子供たちが潜らないと何も見えないとライフジャケットを外して潜ると言い出したとしても、それを制止出来ず、では、自殺行為以外の何物でもないと思う。
最初にライフジャケットを外した(おそらく潜ろうとした)娘をはじめ、助けを求めた母親、亡くなっってしまった長男・父親・義父、それぞれの体力、泳力、海の経験、荒れた海での処し方の知識や経験、シュノーケルやダイビングの経験・本数、救急救命手技の経験、当日の体調など、様々な要素がどうだったのかも気になる。
また装備はどうだったのだろう。ウェットスーツ着用か、水着か。ウェイトの装着は? 事故当時、4人全員がライフジャケットをつけていない状態だった、とあるので3mm、5mmのウェットスーツは着用していなく、それより薄いウエット素材のものか、または単なる水着(+ラッシュガード程度)だったのではないだろうか。
シュノーケルクリアやマスククリア等の最低限必要なスキルは習得していたのか? 海中に潜ろうとするなら、耳抜きやジャックナイフなどのスキルはどうだったのか? 釣り人や漁師さんも来るような場所なら、海中の網やテグスに体や装備品が引っ掛かって浮上出来無い場合等の緊急時での処し方の知識や装備は? 海底地形や海流の基礎知識は?
今回このようなことになってしまったのが、彼らは全く訳もわからず無謀に行なったのか、多少なりの経験があって、それにより慢心したのか。スイミングスクール等でのトレーニングで泳ぎには自信があったのか。まぁ、シュノーケリングのポイントとして選んだ場所の選択からして、余り今までの経験は無かったのではないか、とは思う。
以下は、第十一管区海上保安本部 (管轄するエリアは、沖縄県の区域及びその沿岸水域) の
ホームページ より。
> ダイビング、シュノーケリングによる事故者の65%は観光客です。
>
> 遊泳中の事故の内、最も多いのがシュノーケリング中の事故で17人
> (死亡・行方不明8人)を占めており、内15名がライフジャケットを着用
> していませんでした。ライフジャケットを着用しましょう。
>
> シュノーケルの使い方を誤って海水を飲んで溺れる事故が多いこと
> から、事前の練習、スキルチェックを行い、使用方法に注意して楽しみ
> ましょう。インストラクターの指導を受けることをお勧めします。
>
> 中高齢者の体調不良によるダイビング中、シュノーケリング中の事
> 故が多発しています。体調に十分注意し、持病のある方は必ず医師に
> 相談してください。
海岸で家族4人が沖に流され、12歳少年ら3人死亡 沖縄・伊良部島(15/08/11) - YouTube
海のレジャーに注意を 沖縄 シュノーケリング事故で14人死亡
> 県内で相次ぐシュノーケリング事故を受けて中城海上保安部は12日、うるま市の海中道路で観光客らにライフジャケット着用での遊泳やシュノーケリング器具の注意点などを呼び掛けた。第11管区海上保安本部によると、8月13日現在、シュノーケリングの事故は22件。そのうち約6割にあたる14人が死亡している。
>
> 呼び掛けには同保安部の職員9人が参加。沖縄の海域に発生しやすい強い流れ「リーフカレント」に遭遇した際の回避方法や、シュノーケリング器具の正しい使用方法などを観光客らに丁寧に説明した。
シュノーケリングはとても楽しいけれど、必要な知識を得、適切な装備とスキルの向上に向けた鍛錬を欠かさず、冷静な判断力をいつも失わないようにしたいと思うし、二度と再び悲惨な事故が起きないことを願う。