我がライツ号2と同世代にこの世に出た毎日カメラムック「カメラこだわり読本」を通してライカブームを俯瞰する投稿をしてきましたが、その続きを…
このムック本がライカ一色に染まった95年版を、私は初めてリアルで、つまり新刊本を書店で購入したのですが、ライカM4を分解する特集ページに鼻血が出そうになりましたよ。
空冷911のエンジンをオーバーホールする本に通じるものがありますね。
…と言うことで、これまで自分の中のライカブーム元年の95年版から時代を遡ってきましたが、今回は時代を進めてみます。
はい、これが95年版の次号となる96~97年版です。
定価二千円もするのですが、これもリアルで買いました。
表紙の写真はライカではなくて、オイルに浸かったニコンS2のマリネ…
火災現場から救出された、ギャゼットケースに入った状態で高熱に晒され、水を被り、現場検証の終わるまでの半年間放置されていたものを復活させようと、錆取り剤に漬け込んでいるのだと…
戦場で銃弾が貫通したライカなどと比べるとややショボい感じがしなくもないし、自分だったら絶対にやらないところですが、他人がやるのを見るのは面白いもので…
ははは、ポルシェのエンジンのオーバーホールと一緒ですね(笑)
これが目次…
ライカ専門誌ではないからライカばかりを連続して特集するわけにもいかないのか、それでも膨大なページをライカに割きつつ、巻頭にローライフレックスを持ってくるなど、編集の苦労の跡が窺えますね。
ローライフレックスって、ライカ、コンタックスと並ぶドイツを代表するカメラメーカーで、クルマならメルセデスとBMWとアウディみたいなものですかねぇ。
ローライフレックスだけがミディアムフォーマットで、これがミディアムなのにフルサイズフォーマットより大きいと言う、何とも紛らわしいことになっているのですが、要は6センチ×6センチと、普通の35ミリフイルムよりもフォーマットが大きいのですよ。
ライカのようにレンズは交換できないものの、縦に二つ並ぶレンズは、水平対向6気筒エンジンに対するV12気筒エンジンのようなもので、とにかくガタイが大きいので迫力が違うってもんです。
部品点数も、ローライの方が圧倒的に多いらしく、ナローのコンパクトなボディがとか精密なエンジンがとか言っても、メルセデスの300SEL6.3が隣に並んでいるようなもので、それもライカに比べたら値段もお値打ちとなれば、ライカは増車できなくてもローライなら増車できるだろうと…
そうやって回り道ばかりしていたから、いつまで経ってもライカが増車できなかったのね(笑)
んで、おそらくこのローライのオーバーホール記事にすっかり参ってしまい、嬉しいことに、いや困ったことに私もローライフレックスに手を出してしまったのでした。
ライカはデジタル化されましたが、ローライフレックスはデジタル化されていないので、全モデル空冷エンジンのようなものですね。
新しいモデルは電子化されてフォルムも洗練されましたが、基本的なスタイルは不変…
ああ、クルマのことを書いているのかカメラのことを書いているのか分からなくなってきました。
幸いなことにローライの場合は、911とは違って、基本的に新しいモデルと古いモデルの価格の逆転現象が起きないので、予算に余裕のある方は、より完成度の高いツァイス・プラナーの着いた2.8Fを買われているようで…
どのモデルを買おうかと思案した結果、納車したのが画像のD型です。
レンズはプラナーではなくシュナイダーのクセノタールですが、描写に孫色はありません。
貼り革も合成皮革ではなく本革で、本革はオーバーホールの際に剥離するのが大変だそうです。
私の買った個体は、ローライのメンテナンスで有名な修理屋さんがオーバーホールしたものらしく、書く部の動作は滑らかでした。
カメラでもクルマでも、メンテのされた個体を選ぶのが肝ですね(笑)
ローライフレックスのレンズ繰り出しノブのところに露出計が組み込まれるようになったのがE型で、F型になると露出計がシャッタースピードと連動するようになります。
そりゃ、撮影の利便性を考えると最新のF型が最善であることに疑いの余地はないのですが、このセレンの露出計が経年劣化で壊れてくる個体が多い…
もちろん、露出計やエアコンが壊れようと、本来の機能に何ら影響はないのですが、あるものが正常に機能しないと心配で夜も眠れなくなっちゃうのが世の常であって、そういう人っていますよね(笑)
んなら、露出計もエアコンも、そもそも最初から付いていなければ壊れることもないのであって…
そんな心配から解放されるのがD型…
964のRSのような感じですかねぇ、エアコンもティプトロニックも電動サンルーフも電動シートも、最初からないのだから、絶対に壊れない…
アクセサリーはライカほど充実していないのですが、ローライフレックスはネックストラップの取り付け部が独特なので、普通の汎用ストラップでは合わないのですよこれが。
F型の取り付け金具は通称カニ爪と言われる特殊なもので、こっちは結構出回っているのですか、D型には取り付けられない…
銀座松屋の中古カメラ市で、「D型用」の革製ネックストラップを見つけた時は嬉しかったですねぇ。
今まで全く見たこともなかったですから、さすが銀座のカメラ市だと思いましたよ。
このストラップを取り付けて首に下げたローライフレックスはあまりにも重くて、同じローライでも世界最小の35ミリカメラであるローライ35と比べたら、漬物石でもぶら下げているような感じです。
その後、実際に外に持ち出す機会はほとんどないのですが、空冷911と同じく、過去からの授かりものですから、どこかで未来に託すのだと思います。
とにかく、この号を手にしなかったら、ローライフレックスなんぞに手を出すことはなかったわけで…
バカヤロ~
じゃなくて
ありがと~