こんばんは。このところぐっと蒸し暑くなりましたね。お元気ですか?さて、メキシコ湾の原油流出事故から、アメリカではこのところトヨタ問題からBPへとトップニュースがシフトしていますね。BPのヘイワードCEOが米下院の公聴会で、安全よりコスト優先で無責任だと多くの議員らから厳しく批判されました。真相の解明はこれからだと思いますが、長期的な環境汚染が心配され、生態系への影響も懸念されています。私も今とても気になっているニュースのひとつです。
ちょうど今週14日(月)は、「生物多様性を考える」をテーマに大学主催の講演会があり、積水化学工業株式会社代表取締役会長で経団連の自然保護協議会会長の大久保尚武氏をお迎えしました。経済界の生物多様性への取り組みについてのお話は興味深く、講演会の司会をつとめたこともあり合間にお話しを少し伺うこともできましたので、きょうはこのことについて書きたいと思います。 生物多様性について書くのは初めてなので、少々長めになりますが、おつきあいくださいね。
今年10月には名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催される予定で、このところ「生物多様性」という言葉をメディアでもよく見聞きする機会が増えてきましたよね。でも、なんとなくわかったようなわからないような、この「生物多様性」という言葉。私も最近勉強会などに参加して勉強しているところです。
「生物多様性」とは、生物の多様性に関する条約の定義によると、すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない。)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含むとしています。「遺伝的多様性」「種の多様性」「生態系の多様性」という3つの階層で多様性を捉え、それぞれ保全が必要だとしています。(このあたりですでに難しい・・・とため息が出そうになりますね)
生物多様性の危機を招く原因として、開発や乱獲による種の減少・絶滅、生息・生育地の減少や自然利用の放棄による自然の質の低下、外来種などによる生態系のかく乱などがあり、また新たな脅威として地球温暖化問題が加わったといわれています。
今、何が問題とされているのかというと、国連のミレニアム生態系評価によると、生物の化石などから推測される種の絶滅のスピードが現代は10~100倍の速度で進行していて、近未来にはさらに10倍もの速度で種の絶滅が進むことが懸念されています。つまり生物の絶滅速度が過去の100~1000倍になるだろうというのです。
2002年のオランダ・ハーグで開催された生物多様性条約第6回締約国会議(COP6)では、2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという、いわゆる生物多様性の「2010年目標」が採択され、世界各国に対して目標の達成に向けた取り組みを促しています。
大久保会長は、パームヤシのプランテーション開発による熱帯雨林破壊や砂漠化、エビの養殖池での過剰な栄養や薬品を投与された有様など、地球規模で進む生物多様性の破壊現場を長い年月をかけて見て回ったそうです。しかし、開発と自然保護を、どうすればいいのかその答えがなかなか出せなかったそうです。
砂漠化したところには人間の手を入れて植林活動をするなど保全活動に乗り出し、さまざまな活動をする中で、欧米と日本の自然観の違いにも気づいたとのこと。たとえばカナダ奥地の木材をみな伐採したとしても120年で再生すればいいと、「再生する(オフセット)」の考えが欧米では浸透していて、人間は自然の一部分で自然と一体となって生きるとする日本の精神文化とはだいぶ違うと感じているそうです。
日本は先進国で唯一、400年間森林面積が減っておらず(知りませんでした。びっくり!)、それは土地の神や木の神を敬う精神があるからではないか。日本的な生物多様性の保全活動のあるべき姿を模索していきたいそうです。自然を畏れ敬う日本らしい精神文化を育て、それが世界を変えると信じているというメッセージが心に残りました。
とても難しいテーマですが、私たちの生活は、生物多様性に大きく依存しています。経済社会の中で生物多様性に配慮していく仕組み作りが大切なんだなと改めて感じています。
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生物多様性 | 日記
Posted at
2010/06/18 18:12:00