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イイね!
2010年06月18日

「生物多様性を考える」

「生物多様性を考える」 こんばんは。このところぐっと蒸し暑くなりましたね。お元気ですか?さて、メキシコ湾の原油流出事故から、アメリカではこのところトヨタ問題からBPへとトップニュースがシフトしていますね。BPのヘイワードCEOが米下院の公聴会で、安全よりコスト優先で無責任だと多くの議員らから厳しく批判されました。真相の解明はこれからだと思いますが、長期的な環境汚染が心配され、生態系への影響も懸念されています。私も今とても気になっているニュースのひとつです。

ちょうど今週14日(月)は、「生物多様性を考える」をテーマに大学主催の講演会があり、積水化学工業株式会社代表取締役会長で経団連の自然保護協議会会長の大久保尚武氏をお迎えしました。経済界の生物多様性への取り組みについてのお話は興味深く、講演会の司会をつとめたこともあり合間にお話しを少し伺うこともできましたので、きょうはこのことについて書きたいと思います。 生物多様性について書くのは初めてなので、少々長めになりますが、おつきあいくださいね。



今年10月には名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催される予定で、このところ「生物多様性」という言葉をメディアでもよく見聞きする機会が増えてきましたよね。でも、なんとなくわかったようなわからないような、この「生物多様性」という言葉。私も最近勉強会などに参加して勉強しているところです。

「生物多様性」とは、生物の多様性に関する条約の定義によると、すべての生物(陸上生態系、海洋その他の水界生態系、これらが複合した生態系その他生息又は生育の場のいかんを問わない。)の間の変異性をいうものとし、種内の多様性、種間の多様性及び生態系の多様性を含むとしています。「遺伝的多様性」「種の多様性」「生態系の多様性」という3つの階層で多様性を捉え、それぞれ保全が必要だとしています。(このあたりですでに難しい・・・とため息が出そうになりますね)

生物多様性の危機を招く原因として、開発や乱獲による種の減少・絶滅、生息・生育地の減少や自然利用の放棄による自然の質の低下、外来種などによる生態系のかく乱などがあり、また新たな脅威として地球温暖化問題が加わったといわれています。

今、何が問題とされているのかというと、国連のミレニアム生態系評価によると、生物の化石などから推測される種の絶滅のスピードが現代は10~100倍の速度で進行していて、近未来にはさらに10倍もの速度で種の絶滅が進むことが懸念されています。つまり生物の絶滅速度が過去の100~1000倍になるだろうというのです。



2002年のオランダ・ハーグで開催された生物多様性条約第6回締約国会議(COP6)では、2010年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させるという、いわゆる生物多様性の「2010年目標」が採択され、世界各国に対して目標の達成に向けた取り組みを促しています。

大久保会長は、パームヤシのプランテーション開発による熱帯雨林破壊や砂漠化、エビの養殖池での過剰な栄養や薬品を投与された有様など、地球規模で進む生物多様性の破壊現場を長い年月をかけて見て回ったそうです。しかし、開発と自然保護を、どうすればいいのかその答えがなかなか出せなかったそうです。

砂漠化したところには人間の手を入れて植林活動をするなど保全活動に乗り出し、さまざまな活動をする中で、欧米と日本の自然観の違いにも気づいたとのこと。たとえばカナダ奥地の木材をみな伐採したとしても120年で再生すればいいと、「再生する(オフセット)」の考えが欧米では浸透していて、人間は自然の一部分で自然と一体となって生きるとする日本の精神文化とはだいぶ違うと感じているそうです。

日本は先進国で唯一、400年間森林面積が減っておらず(知りませんでした。びっくり!)、それは土地の神や木の神を敬う精神があるからではないか。日本的な生物多様性の保全活動のあるべき姿を模索していきたいそうです。自然を畏れ敬う日本らしい精神文化を育て、それが世界を変えると信じているというメッセージが心に残りました。

とても難しいテーマですが、私たちの生活は、生物多様性に大きく依存しています。経済社会の中で生物多様性に配慮していく仕組み作りが大切なんだなと改めて感じています。
ブログ一覧 | 生物多様性 | 日記
Posted at 2010/06/18 18:12:00

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この記事へのコメント

2010年6月19日 2:36
温暖化対策とか、目の前のことでしか興味が湧きませんが、自然を畏れると言いつつも手つかず状態でどうやって行くかというところは考えが及ばないのが現実では(-_-;)
日本の自然の大元の大森林も林業の後継者不足でだんだんと蝕まれているのが・・・。

自分の職場の目の前が某パソナのビルでビルの前面が花に覆われています。
都会の屋上が庭園風のところも増えています。
コツコツと身近から(^_-)-☆
コメントへの返答
2010年6月19日 23:14
nyanta21さん、こんばんは。

そうですね、自然を前にどうやっていけばいいのか想像するだけでも本当に難しいです。
たしかに林業の後継者不足の問題もありますね。

職場のビルの全面が花で覆われているんですか。いいですね、素敵!
身近にできることからが第一歩ですね。
2010年6月19日 5:04
日本は緑が減っていないと聞いて心が痛くなりました。
日本ほどティッシュを使う国は無いと聞きますし割り箸だって平気でつかいます。結局他国の森林資源を安く買い自国の利便性向上に猪突猛進しただけではないかと。結果絶滅する種を増やしていった。
折角残った自国の緑を守るだけではなく地球規模で資源や生物多様性を考える事が重要なわけですね!そして個人レベルでも貢献出来る事が多くありそうです。
コメントへの返答
2010年6月19日 23:24
気軽にお出かけさん、こんばんは。

コメントありがとうございます。
そうですね、そうした面も否めないかもしれませんね。先進国が自らの国の開発のために途上国の資源を使っていることについてのジレンマについても講演で話がありました。
個人レベルから社会、国境を越えて、さまざまな形での貢献を考えなきゃいけませんね。
2010年6月19日 10:45
地球温暖化を防ぐには身近な所から、(車のアイドリングストップや無駄な照明を消すなど)を実践していく事が大切ですね。
またビルの屋上を緑化してCO2削減に取り組んでいる企業もあるので、これからそういった環境対策をどんどん増やしていって欲しいです

自分の住んでいる福島は山に囲まれているので緑が多くて気持ち良いですよ
コメントへの返答
2010年6月19日 23:29
BHレガシィさん、こんばんは。

身近なちょっとしたことでも、積み重ねるとけっこうなCO2の排出も防げますね。ビルの屋上緑化など企業の環境対策もいろいろあって「へー、すごい」と感心することもありますね。

福島は自然環境に恵まれたところでいいですね!私も昨年は3度訪ねましたが、空気がおいしかったです。
2010年6月19日 11:00
絶滅速度が加速している、というのも「センセーショナルな報道」の類いの可能性もありますよ。ちょっと継続的に注意が必要かも知れません。
http://minkara.carview.co.jp/userid/257830/blog/18554728/
また現在の種の絶滅の要因は温暖化と言うより開墾や水利開発ですから、対応策は善意ベースのものではなく、政策ベースである必要が高いでしょう。

日本の森林が減っていないと言うのも、戦国時代に禿げ山が多くなって水害が増えたため安定政権となった江戸初期に各藩が協力な伐採制限を掛けた事が要因です。必ずしも「土地の神や木の神を敬う精神があるから」では無い様です。ヨーロッパの森林については、シュバルツヴァルドも含め多くが再生林ですから、そのような考えになっても不思議では有りません。
コメントへの返答
2010年6月19日 23:34
jawayさん、こんばんは。

絶滅速度については、直接お話できた研究者の方にも「ちょっとオーバーな予測のようにも思うが」とおっしゃっている方もいました。地球温暖化問題もしかり、科学の不確実性から、研究者によりさまざまな見解があるようですね。

情報提供いただいたリンク先も拝見します。いつも多方面からのご意見、ありがとうございます。参考にさせていただきます。
2010年6月19日 14:57
こんにちは。

先程、犬を散歩に連れて歩いていると無人店舗(おカネを入れて購入する)に虫の付いた無農薬野菜と重油からできた(肥料?)野菜どちらを食べますかと書いてあり、少し考えたところにこの話題。

テーマが大きくてとっつきにくいことから今回はプロローグとして、これから勉強させてもらいます。
コメントへの返答
2010年6月19日 23:40
てぃあももさん、こんばんは。

そうなんですか、そんな無人店舗があったんですね。野菜を販売している無人店舗はありますが、ある意味正直でいいですね!
うーん、どっちがいいかなぁと思わず考えちゃいますね。私もわからないことだらけですが、生物多様性についていっしょに勉強しましょう♪
2010年6月20日 0:37
生物多様性ですか・・・ 私はフィリピンに住んでいますが、釣りが好きで毎週行きますが、漁師の乱獲のすごさに最初ビックリしました。湖に行くと、岸辺は刺し網が入り、おっさんが水中眼鏡とシュノーケルで、水中銃で魚捕ってるし、当然釣りもしてるし、しかも、捕れたら全部食べるので、リリースとかもしません。私が釣った魚を、リリースしようとしたら、あなたは何を考えているんだ、もったいないと・・・ なので、日本とは、まったく違う湖の状態で、最初はビックリしましたね。 エコとか、環境とかは、何も考えていないみたいな感じです・・・ 考えている人や企業もありますが、全体的にと言う意味です。難しい問題ですね。
コメントへの返答
2010年6月21日 0:06
kuwanoさん、こんばんは。

とても興味深くコメント読ませていただきました。
そうなんですか・・・・
捕った魚はぜんぶ食べて、捨てているわけではないことがとりあえず救われますが。
乱獲というと、日本もマグロの問題なども抱えていますし、なんとも難しい問題ですね。
うーん。
2010年6月20日 1:15
生物多様性…

環境破壊は勿論ですが、人為的な所作によって脅かされる例も少なくありません。

例えば、観光客を集客する為に養殖、河川に放流するイワナ、交配を重ねて、各地域で特有のDNAを有する固有種は絶滅の危機とか。
コメントへの返答
2010年6月21日 0:09
くわもんたさん、こんばんは。

観光のためにイワナなども影響が出ているんですが・・・

人が自然に手を加える際は、できるだけ環境への負荷を減らす努力をしていかなきゃいけないんですね。
2010年6月20日 10:39
お返事有難うございます

福島市 今日は最高30℃になるそうで朝から暑くてエアコン稼働中です
それでは、お体に気をつけて大学のお仕事頑張って下さいね
コメントへの返答
2010年6月21日 0:10
BHレガシィさん、こんばんは。

福島もきょうはずいぶん暑かったようですね!
東京も雲は出ていましたが、暑かったです。

お気遣いありがとうございます!BHレガシィさんも夏バテしないように、体調を整えてお仕事がんばってくださいね。
2010年6月20日 15:14
> 身近にできることから

そこが「エコ」と生態学(ecology)の違いだと思うのですが、生物多様性の観点からはそういう考え方はしないように思います。大部分の生物多様性が破壊されることを防ぐことは絶望的で、だから「損失速度を減少させる」という表現になるのですが、生態学者たちは熱帯雨林などからピックアップして固有度の高い地域を保全していこうと考えていると思います。身近なところではなく固有度の高い地域の保全が重要です。

CO2の懐疑論者やjaway氏のような方がたくさんいるのも分かるのですが、環境破壊の不可逆性と社会的関心のバランスを考えるならば100%の偽善であったとしてもゴア以降の流れは評価されなくてはならないでしょう。また、

> 善意ベースのものではなく、政策ベースで

偽善なり善意を抜きにした環境保全政策というのもありえません。現実として途上国政府が経済発展より環境保全を優先させる理由がほとんどありませんから。(人間活動サイド以外からのインセンティブは善意以外にありえません。人権のように自然の権利を認めるなら別ですが)
コメントへの返答
2010年6月21日 0:17
Issrtさん、こんばんは。

コメントありがとうございます。
なるほど・・・と、読ませていただきました。
ゴア以降の流れは確かに評価すべきだと私も思います。

途上国が環境保全より経済発展を優先する流れはなかなか変えられないそうもないですね。講演の中でもそうしたお話がありました。

ご意見参考にさせていただきます。
2010年6月20日 17:14
Issrtさん

>環境破壊の不可逆性と社会的関心のバランス

完全保護を為すべきか、有る程度の絶滅は許容されるべきか、などの議論も必要でしょう。
今の生活レベルを極端に落とさないままの種の保護は、絶対にありえないのですから。

>人間活動サイド以外からのインセンティブは善意以外にありえません。

人間活動ではない善意ってのが存在するのか、など文脈が意味不明なので、続きは私のトラバ先でどうぞ。
http://minkara.carview.co.jp/userid/257830/blog/18572759/
2010年6月21日 12:30
> 人間活動サイド以外からのインセンティブ

漁業資源を管理するために海洋生態系を保全する、材木供給を管理するために森林を保全する、観光資源を守るためにうわべの環境を保全する、といったような形の保全は人間活動サイドからのインセンティブがあります。つまり漁師・林業者・観光業者が保全を訴えますので、そのような場合は「政策ベース」で保全が可能なのです。

しかし生物多様性会議が目指しているような、純粋に種の多様性を守るための保全を目指す場合はそのような訴えをする人間がいないことがほとんどです。このような場合に「政策ベース」の保全を考え良識を否定することは極めてナンセンスということです。


> 有る程度の絶滅は許容されるべきか

されるべきかというか、ほとんど諦められているのですけどね。絶望的なくらいに。

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