こんばんは。朝晩ぐっと冷え込むようになりましたね。クリスマスシーズンの今、街はイルミネーションやクリスマスの飾りで華やいでいます。そうそう、17日(金)は、カービューの忘年会でした。ほとんど初めてお会いする方ばかりでしたが、「あ、松本さんですよね。ブログ見てますよ。」と声をかけていただいたり、楽しい時間を過ごさせていただきました。初対面のみんカラの編集部の方も何人かいらっしゃったので、ご挨拶させていただきました。うっかりその時の写真は一枚も撮らなかったんですよね。残念・・・。
さて、先月下旬に訪れた宮古島。一番の目的は、宮古島で進むバイオエタノールプロジェクトを見学することでした。写真で綴ってご紹介しますね。
宮古島バイオエタノールプロジェクトは、内閣府、経済産業省、農林水産省、環境省、国土交通省、消防庁のあわせて1府5省の連携事業で、E3の実証実験も2007年から行われています。
このE3の実証実験は、2011年度までの予定です。E3専用ローリーには、 ”糖蜜からのエタノール燃料は、地球環境と宮古島のサトウキビを守ります!”の文字。
E3というのは、プラントで製造されたバイオエタノールをガソリンに3%混入させた燃料のことです。宮古島では、さとうきびから砂糖を生産した後に残る糖蜜を原料にしてバイオエタノールを生産しています。このプラントでのバイオエタノールの生産能力は、年間90日稼働して、一日あたり1トン。年間生産量は6000Lです。
地産地消で、地球温暖化防止にもつなげる事業として注目されていますが、宮古島のさとうきび農業の基盤の強化と増産をはかることも大きな目的です。エタノールを製造する際に発生する残留残さ液や醗酵残さ酵母も、肥料や飼料として使うといった技術も開発され、バガス(さとうきび搾汁後の残渣)は燃料利用にと、バイオマスの利活用がくまなく進められています。
この宮古島でのバイオエタノールプロジェクトを遂行している事業者は、株式会社りゅうせきです。このプロジェクトの責任者の新崎さんにレクチャーを受けて、設備を案内していただき、説明していただきました。原料の糖蜜タンクです。年間24トンの糖蜜を使用しています。
下の写真は、膜脱水設備(ゼオライト膜)です。これで99.5%以上の無水エタノールが製造されます。最先端のナノテクノロジーを活用し、分子のレベルでエタノールと水を分離することができます。これで大幅な省エネが図れたそうです。
できたバイオエタノールはこちらのタンクで貯蔵。
タンクローリーで、バイオエタノールをE3製造所へと運びます。
E3製造所(E3燃料ブレンダ―)は、ここから20分離れたところにあるそうですが、今回は時間の都合で見学できず残念でした。作られたE3燃料ですが、E3・E10の専用給油設備で販売されています。宮古島では4か所のE3の給油所があります。
E10も製造されていますが、実際に走行しているのはE3燃料車がほとんどです。現在レンタカーを含め約1000台の車がE3燃料で島内を走っています。
E3についてもう少し説明すると、ETBE方式のバイオガソリンとは違うものです。日本でのバイオエタノールの自動車燃料としての使用は、E3とバイオガソリンの両方が並行して進められています。世界では、ETBE方式はフランスやスペイン、ドイツなども採用していますが、E3などの直接混合方式のほうが主流となっています。
ちなみにブラジルでは、E100の車も走っています。フレキシブル燃料車のFFVが販売されてから、市場がさらに伸びているようです。 当面日本では、E3とバイオETBEの両方の施策が並行して行われると思いますが、政府がバイオエタノール燃料を本気で普及させていく姿勢を明確に打ち出すならば、事業が黒字化するのを支援するためにも補助金を何らかの形で継続させる、または燃料税の軽減などの税制優遇措置といったインセンティブも必要になるのではないでしょうか。
宮古島の基幹産業であるさとうきびの廃糖蜜からエタノール燃料を生産し、E3燃料を製造供給し、宮古島で消費するという持続可能な社会循環システム、これからどのように発展していくのか楽しみです。
12月2日に訪れた北海道清水町のバイオエタノールプロジェクトは、ETBE製造に使用されるバイオエタノールを生産しています。このプロジェクトについては、次回書きますね。
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バイオマス | 日記
Posted at
2010/12/19 22:34:59