こんばんは。早いもので、明日は大晦日ですね。今年はみんカラでブログを始めさせていただき、皆さんからコメントをいただいたり、新しい出会いにも恵まれることができました。本当にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします!
さて、12月初旬に訪ねた北海道上川郡清水町。目的は国内最大規模のバイオエタノールプロジェクトを見学することでした。少し遅れましたが、やはり年内に情報アップておきたいと思います。プロジェクトを請け負っているのは、北海道バイオエタノール株式会社で、平成21年4月から操業を開始しています。農林水産省補助事業バイオ燃料地域利用モデル実証事業(バイオエタノール混合ガソリン事業)です。
ホクレン製糖工場内にこのバイオエタノール製造工場があるのですが、敷地面積が広くて、私のカメラではとても全景は撮れないほどです。
この北海道バイオエタノールプロジェクトは、JAグループ北海道が中心となり、北海道の経済界や経済団体も協力したオール北海道体制の大規模なものです。このプロジェクトには、石油連盟も協力していますが、ここでできるバイオエタノールは、首都圏を中心にすでに販売が開始されているバイオガソリン(ETBE混合ガソリン)製造に使われています。
原料は、余剰農作物。具体的には、交付金対象外のてん菜(ビート)と規格外の小麦を使っています。 日産50キロリットル、年間300日操業で1万5000キロリットルのバイオエタノールを製造することができます。 ちなみに平成20年度は、余剰てん菜5000トン、規格外小麦が1500トンがバイオエタノール製造に使われました。
これが原料となるてん菜です。皆さん、ご存じでしたか?てん菜がこんなに大きいなんて!私は初めて見て、びっくりしました。重さは1個あたり800グラム前後でしょうか。宮古島では、さとうきびを原料に砂糖を製造していますが、北海道ではてん菜を原料に砂糖をつくっています。ちなみにてん菜もさとうきびも精製して結晶化させると白砂糖になります。
今回、バイオエタノール製造施設の他に製糖工場内も見学させていただいたのですが、こんな風にてん菜がコンベアーで運ばれていました。
下も製糖工場内の様子です。てん菜から砂糖を作るために、熱をかけて、いくつものプロセスを経て結晶化していくんですね。お店で買う砂糖がとてもありがたいものに感じます。
バイオエタノール製造のプロセスの流れです。
①原料受入設備(1日に200トンの小麦の受け入れ可能)
②粉砕設備(ハンマーミルで液化しやすいように全粒粉砕)
③液化設備(粉砕した原料を温水と混合し、酵素を添加し液化)
④発酵設備(液化した原料を33度で発酵)
⑤蒸留設備(発酵液をエタノール濃度約95%まで濃縮し、さらにゼオライト膜脱水装置により約99.5%以上の製品にする)
⑥副産物処理棟(蒸留後の残さを処理し、飼料製品にする)
⑦排水処理設備(排水を嫌気的に処理を行いバイオガスを回収、ボイラー燃料として使用)
これは、まだ蒸留途中の発酵液です。色がついていますね。
蒸留して最後には、透明の濃度99.5%以上のバイオエタノールになります。 まわりにも甘いお酒のようなエタノールの香りが漂っていました。
この工場で作られたバイオエタノールは、タンクローリーで苫小牧まで陸送され、苫小牧のバイオ燃料貯蔵出荷施設を中継して、タンカー船で横浜の根岸の製油所に搬入されます。そこで、バイオエタノールとイソブテンによりETBEを製造し、さらにガソリンを混合してバイオガソリンが製造されています。
石油連盟のHPによるとバイオガソリンを販売しているSSの数は、2010年12月10日時点で約1710箇所だそうです。レギュラーガソリンは、すでにバイオガソリンになっているSSも増えているようです。
このプロジェクトは、北海道で広く行われている輪作を守る、また農村の振興を図ることも大きな目的です。国産バイオ燃料を利活用し、ひいては基幹産業である農業の基盤強化につながればという地元の強い思いがあります。まだ製造コストは、安価なブラジル産のバイオエタノールには及びませんが、将来的には、1リットル当たり100円以下を目指して、補助金なしでも自立できる事業化をめざしています。製造コストや原料の安定調達等、いくつもの課題はありますが、課題をひとつひとつ乗り越えて、頑張ってほしいと思います。
最後に、ホクレン製糖工場の皆さんといっしょに。大変お世話になりました!
十勝はすっかり雪景色なんでしょうね(*^_^*)
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バイオマス | 日記
Posted at
2010/12/30 18:56:57