元来せっかちな大阪人は、歳をとると一段とせっかちになります。
ああでもない、こうでもない、と「あがりの車」のことを考え出すと、仕事中もそのことで頭がいっぱいになります。
そこで、やむを得ず?、試乗を開始してみることにしました。
試乗記や試乗動画を見ても、そんなものは当てになりません。
自動車評論家のは、提灯記事が多いですから。
さて、どの車から始めるべきか?
ちょっと悩みましたが、今一番気になっている車、シトロエンC3から開始することにしました。
金曜日に電話したところ、日曜日の朝一番に試乗ができるとのこと。
それならちょうど道路も空いているので好都合です。
さて本日の朝、大阪市内から大阪生駒線を東進して阪奈道路へと進んでいきましたが、さすがに混雑もなく順調。
この道を通るのは信貴生駒スカイラインへと向かうときだけなので、曲がらずにまっすぐ奈良へ向かうのは初めて。
やがて道路沿いに、目的地 シトロエン奈良を発見。
到着してアンケートを記入し、冷やかしではないことをお伝えし、早速試乗です。
試乗車は、上級グレードのSHINE。
車体色がブランバンキーズ、ルーフがエメラルド。
内装も、上級のエメラルドインテリアになります。
これはカタログの表紙を飾る配色で、なかなかすっきりとした色合い。
買うならこの配色だと思いました。
1、ドライビングポジション
試乗で一番確認したかったのが、このドライブングポジション。
テレスコピックを目一杯手前に引き、シートをほぼ一杯まで下げてみました。
小型車は往々にして手長猿スタイルになるのですが、これはまあなんとか許容できる範囲です。
ちなみに、試乗後にシートを上げてアップライト的なポジションにしてみたのですが、どうもこちらの方がしっくりきそうで、次回に試乗する時は、このポジションを試そうと思いました。
スポンジ厚を2mmから15mmへと厚くしたアドバンストコンフォートシートは各者の試乗記で絶賛されていましたが、パッと座った時には特に感動は感じません。
しかし、後述するように、試乗後にその素晴らしさを実感しました。
ペダルオフセットを確認し忘れたのですが、特に違和感を覚えた記憶がないので、おそらく問題は無かったのでしょう。
2、内装の設え
中央に大きなタッチパネルがあり、ここでエアコンやオーディオなどの設定をします。
文字も大きくてわかりやすく、音場の設定なども簡単にでき、シトロエンもここまでやるか!と思いました。
ダッシュボードトップは流石にソフトスキンですが、その他は大衆車らしくハードなプラスチック。
ただし、デザインでカバーするフランス車らしく、エメラルド色のトリムやドアのハンドルがお洒落ですね。
3、インパネ
フル液晶のインパネが幅を効かす昨今、実に古典的な、なんと言いますか、安心できるメーター周りです。
フォントはあまり格好良くないですが、まあこれは好みでしょう。
4、乗り心地
さあ、いよいよ試乗です。
ディーラーの前の阪奈道路の交通量が多いせいでしょうか、最初はセールス氏が運転し、助手席に座ります。
阪奈道路を東進し、ムノ峯上池(矢田丘陵遊歩道)のところで停止し、運転を交代。
Uターンして阪奈道路を西進し、大阪へと向かいます。
久ぶりに握ったシトロエンのハンドル。
ああっ、シトロエンに戻ってきたんだ!
そんな感慨に浸りました。
いかにも軽い物体がフワフワゆらゆらと走っている感じで、記憶にあるC5よりもサスペンションが柔らかいのではないか、そんな気がします。
とても軽いステアリングが、それを助長しているのかもしれません。
タイヤは205/55R16で、いかにもバネ下重量が軽い感じがし、これもこの乗り心地に貢献しているでしょう。
やがて長い坂を登り切ったところで左折し、信貴生駒スカイラインへと試乗コースは進みます。
聖天口料金所の手前、灯篭ゲート広場のところで本線の下を潜ってUターン。
そこから元来た道を引き返すのですが、距離も長いし、ちょっとした山坂道も走れますし、荒れた路面も試せるし、これは本当に素晴らしい試乗コースです。
ポルシェの試乗コースは阪神高速でしたが、その次に素晴らしい。
ハイドロのC5とはもちろん乗り味が異なるのですが、金属バネのシトロエンはほとんど乗ったことがなく、記憶の底にあるプジョーの各車と比較すると、やっぱりこちらの方がフワフワして浮遊感が強い。
遠慮してペースを上げなかったのであまりロールさせていませんが、ステアリングは軽いくせにあまり不安感はありませんでした。
5、動力性能
1,199ccの3気筒ターボ、110psは、車重が1,160kgと軽いこともあって、動力性能は充分。
力強い加速をしてくれます。
3気筒の振動も感じませんし、6速ATもスムーズ。
ただし、振動の強いロードスターに身体が慣れているからかもしれませんし、ATのスムーズさは渋滞路では印象が異なるかも。
ブレーキはとても良く効き、最初はカックンとしてしまいました。
さて、試乗を終え、ディーラーへ戻って車内の確認です。
6、後席
全長が3,995mmですから、後席はミニマム。
私に合わせた前席の位置ですと、足がぎりぎり入るくらいのスペースですが、後席に乗るのは家内、娘、孫くらいなので、これで充分です。
7、トランク
ロードスターを見慣れている身にとっては、これはもう広大のひとこと。
何も言うことはございません。
8、総評
この円安ですから、秋にも再度値上げするそうですが、アクティブセーフティブレーキなどの安全装備を満載したこのフレンチが、車両本体価格(税込)で300万円以下(多分)なのは、やはりお買い得だと思います。
ただし、御多分に洩れず、問題は納期で、どうもフランス本国での舟積み次第とのこと。
色やグレードにもよるそうですが、売り物がなかなか入手できないなんて、セールスの方も大変だと思いました。
9、補足
さて、試乗後にアイス珈琲を頂き、カタログも頂戴して帰宅の途についたのですが、我が愛車ロードスターに乗ってまず感じたのは、シートが窮屈なこと。
左右からガッチリと挟まれ、身動き取れませんし、太腿の裏も圧迫感があり、とにかく窮屈です。
その為のレカロなのですから当たり前なのですが、C3のシートが如何に安楽であったのかを痛感しました。
まさにリビングのソファーに座っているような、なんのストレスも感じないシートでした。
ただし、自宅に帰り着く頃にはすっかり窮屈さは消えていましたので、何事も慣れの問題でしょうね。
また、ステアリングはロードスターの方が圧倒的に重く、やはりこっちの方が安心感がありました。