
本日世に問うのは、拙者の目出度き(はずの)2輪サーキットデビューの顛末記である。是非、ハンカチを手元に置いて読まれたい(爆)。
<<誘い>>
とある小春日和、導師より走行会への参加を誘われる。
サーキットデビューが“聖地鈴鹿”、しかも“フルコース”ということに驚き、「へっ?デビューはやっぱショートじゃないんスカ?」と尻込むと「オメーさあ、“closer to the edge”でマン島TT観たんだろ?だったらデビューこそ逝けるフルコースだろうが!」と言われ、更には「アクセル全開の意味を知るためにサーキットに行くのに、それこそなんでショートなんだ?」と、分かるような分からないような説得に押し切られる・・・。
<<雨予報>>
いよいよ赤紙が届く。
そして走行会前日、異例に早い梅雨入り宣言。初サーキットでフルコースなのにレイン・・・。逝けるなこりゃ。でも、どうせ逝くならアノ人も道連れにしてやる。
ネイキッド時代であればツーリング用途にレインウェアを持っていた時代もあったが、SSである今はレインコンディションで乗る気など起こらないから、レインウェアを持っていなかった。これまた即購入に向かうが、おそらく今回でもう出番はないだろう。
<<満身創痍で自走>>
フロントブレーキに軽いジャダーを抱えつつ、フロントタイヤは交換直後で皮むき中(不気味なテカリ具合・・・)
リヤタイヤはハイサイドを起こしたあのウェットグリップ激弱タイヤ。
こんなバイクで雨の中自走し聖地到着。
一方の導師はトランポでヌクヌク、タイヤは本気バリバリの前後レイン仕様でウォーマー完備。格差社会だー。
<<パドックにて>>
準備段階から目を見張る。
一定の工具類一式や装備類は勿論のこと、折りたたみ椅子やヘルメット吊り下げ保管用のS字フックなど、かゆい所に手が届くというか、小物だけれどもあると無いでは大違いな所持品をお借りでき、自走ライダーにはありえなくらい快適に過ごさせて頂いた。謝謝。
レンタルツナギ&ブーツを借り出しに行く時もなぜか付いて来て頂き、「なんでかな?また運営者に因縁でもつけるんかいな?」と戦々恐々だったが、「一人では持ち運びが大変だぜ~」とのことで、本当にそうだった。「ホントはこの人優しいんだ・・・」と思ったけど、僕の脱走防止のための監視だったかもしれない。
ガソリン携行缶も、ガス欠対策では無く、“軽量化のために常に最低限のガソリンだけ注入して走り、走行枠ごとに補充する”という凄みを目の当たりにさせて頂いた。
<<導師出走>>
導師はかねてから、「オメーと同組で走りたい~。初サーキットでハイサイドするオメーを真後ろから観察して嘲笑いたい~。ハイサイド起こさなければイン刺しして押し出してやりたい~」と申されていたが、辛くも別組になり導師が先に出走。 この時僕は、落雷を呼び起こす黒魔術をブツブツと唱えていました。
この隊列待機中に、先導講師がなにやら導師に近づき、一言二言交わしたあとビクッと後ずさりし、コメツキバッタ状態に。やっぱりバイク〇カ界では重鎮であるらしい。
<<拙者出走>>
私は「強・中・弱」ある組のうち、中クラスにエントリーし出走。導師、色々と撮影有難うございます。
<<rendez-vous>>
最後の走行枠に、導師が「おい、俺の走ってる強クラス、やっぱ全然ノロい。一緒に走りたいから上がってこいや」と・・・。なあなあ、逆でしょフツー。「一緒に走りたいから遅い方のキミのクラスに僕が降りていくよ」っていうのがマトモな考え。あーたレインタイヤで万全だけど、僕はスリックライクパターンタイヤだよぉ・・・。
そう嘆いたら「ああ、中クラスに降りてもいいよ」と言ってくれて、安心して運営者に申し入れに行く。するとすかさず導師は僕の口を塞ぎ、「彼、クラス上げたいらしいヨ」だって・・・。(泣)
さらにはその場で主催者より促されたガラガラ抽選会では僕はハズレ、導師は銀賞ゲット。ああ、サーキットには神様なんて居ないんだな・・・。この際も運営リーダーである元全日本有名ライダーともなんだか親密で、どうやらこの人のご威光は確かなもの。僕は虎の威を借るブタ。
たしかに、中クラスではちょっと物足りなさも感じていたけど、やはり強クラスは少しペースが上。立ち上がりで前後両方タコること数回。我ながら素晴らしい人間トラコンが機能し、後ろの導師の舌打ちが聞こえてきそう。
一番の懸念は、リヤタイヤのハイドロ。フロントは溝が多めのロッソコルサに換装ずみでやや安心だが、リヤは先述のとおりスリックライクパターンのスーパーコルサ。シーランド比4%であり、直立時の接地面に期待できるほどの溝がないためストレートでさえも全く気が抜けない、っていうか高速域になるのでむしろストレートの方が慎重を要する。
途中で付いていけなくなり、飽きたのか導師もどんどん先行していく。後方グループにも追い付かれて抜かれたが、コーナーで団子状態になりながらアウト側イン側関係無くバンバン抜かれて結構な恐怖を感じた。傍からだと僕はバンク角も浅く安全走行に見えるかもしれないが、そういうタイヤを履いているからいつスリップダウンアタックを喰らわせるか分からんでぇ~。
~サーキットにおけるバックミラーの必要性~
※文末に訂正あり
サーキットにおいてバックミラーは、破損時の飛散防止のため取外しまたはテーピングを命じられるが、上記“追い抜かれ体験”により、これには異を唱えたい。
“追い越してくる可能性のある後続車を把握する”ことは、接触事故を減らせる要因であり、そのためにバックミラーは活用されるべきである。ライダーはただでさえフルフェイスヘルメットにより視野と聴覚を遮られており、風切り音や自車エンジン音しか聞こえておらず、後続車の気配を察知できるのは稀である。
また、透明テープを使えば、飛散防止と後方視野確保の両方が得られる。
と考えていくと、“割れない・飛び散らないミラー”ぐらい開発出来そうなもので、GPマシンでも取り付けてみればどうだろうか。この場合は接触防止の意味合いは薄れて、ドッグファイトをより熱くという意味合いになるけれども。
4輪ではF1でもバックミラーがあるのに、なぜ2輪ではダメなのか?
<<無事終了>>
無事全走行を終え、開放感に浸りつつ片づけをし、トランポとしてはちっちゃいバネオにリッターバイクが吸い込まれていく様子も拝見。旅行カバンにすっぽりと収まっていくサーカスの軟体人間を連想しつつ聖地を後にする。
<<反省会での指摘事項>>
反省会ではジャンジャン焼きをつつきながら、導師に撮影頂いた走行動画を眺め、けちょんけちょんに。
①全ての動作が急すぎる(だから不安定。だから綺麗なRを描けない)
②ラインマネジメント(いかにモーション変動を少なくするか)
③乗車姿勢(湾曲するタイヤのトレッド面、荷重をかけるべきポイントはバンク角によって移動するため、ライダーの重心もそれに沿って移動するべき)
同乗走行できる4輪と違って、バイクは指導頂ける機会が少ない。自分が悩んでいた項目に対して視点の違うアプローチも頂けたり、全くもっての理論の履き違いも諭して頂き、目から鱗が何十枚も。この足ですぐにサーキットに戻って、もう一度走りたいと思ったぐらい!
<<理想と現実の差>>
自身の予定では、バイクリターンもあと2~3年遅く、導師との初対面も快晴のFSWあたりで、「おっ、3気筒でも結構やるじゃん!」みたいなランデブーをして、「いや~、バイクって素晴らしいですよね!この出会いに感謝っ!(富士山をバックにがっちりhug!)」みたいな爽やかセーシュンドラマを妄想していたのだが、導師のバイク〇カ度をどうも甘く見くびっていたようで、その結果が本日の有り様。
ジャンジャン焼きの味噌と油にまみれて雨に打たれながら、寝落ち寸前の鬼導師を前に、僕の目出度きサーキットデビューは幕を閉じるのであった・・・。
fin...
↓この先はエンドロールみたいなもん・・・
<<一応・・・(笑)>>
悪天候、関東から事前事後宿泊なしの徹夜行軍、メインイベントも先導付きレインコンディションにより楽しめず、極めつけは目を覆いたくなる出来そこないの下部構成員。そのような幾重苦に苛まれながらも、聖地への憧れだけを原動力に遠路お越し頂いた導師には深く感謝申し上げます。
波乱万丈も「ネタに尽きない」ということであり、ある意味“我々らしい”一日だったと、回想して笑みがこぼれます!
お陰さまで自分史上忘れることのできない素晴らしいサーキットデビューを飾ることができました!誠に有難うございます!
<<サーキットへの姿勢~「タイム追求型」と「操作習熟型」>> ※文末に訂正あり
僕は現在大変レベルが低く、“SSではどんな入力をすればどういうRを描くのか”、全く体得できていません。結果としてバイクが描く軌跡は不安定で不正確。小回りし過ぎたり大回りし過ぎたりしており、当然一般公道では危険極まりない。
レコードラインの外にも内にも大きな余白があって(道路幅が広い)、ミスしたときでもなんら問題が発生しない環境、という位置づけでサーキットを見ています。つまり、タイム追求型であればアウトインアウトのラインを追求しますが、僕の場合は、“ミドル-ミドル-ミドル”をレコードラインとし、進入-クリップ-脱出のどの局面においてもミスしていいという設定のもと、バイクを正確に操れるようになりたい。(大きな)定常円旋回という練習も有効かもしれません。
「複合コーナーは一つのコーナーとして処理する」というのも、タイム追求型であり、できるだけ沢山コーナーを練習したいと思う自分のタイプからすると、複合コーナーは分けて走りたい。
正確な操作のもと、綺麗なRを描けるようになった先に、タイムへの欲求が出てくるのかもしれません。
そんな風なスタンスで、サーキットでバイクと悶絶したいと思っています! ツナギ貯金開始!
※導師より間違いをご指摘頂きましたので、以下の通り訂正します。
サーキットではレコードラインに沿って走ることが基本事項となっており、追い抜きの際は先行車はレコードラインを走り、後続車がレコードラインを外して追い抜きするのがルールである。よって、「ミドル-ミドル-ミドルのラインで走る」という自分の願望は、後続車からするとライン交錯が多くなりかつ予想外の動きとなるので、大変危険であり禁止事項となる。
バックミラーの必要性についても、上述の通り先行車はレコードラインを遵守さえしていれば、後続車への配慮をする必要が無いので、不要。体や頭が固定される4輪と違い、ミラーを見るという動作そのものが危険なアクションとなるので、安全上の理由でも不要である。
以上、貴重なご指摘を賜りまして誠に有難うございました!