先日のtak3さんのKTM納車お祝いツーリングで、「あー、やっぱ公道ツーリングもいいなあ~…。最近色々と特徴のあるバイクが百花繚乱、面白そうだな~」と感じ、試乗行脚してきました。
お祝いツーリングでレンタルしたYAMAHA
トレーサー900、ツアラーでありながら機敏さとエキサイトメントが同居していて大変愉しかった。他のレンタル経験としてはスズキの
V-Stromとか川崎重工(って漢字で書きたいw)の
Z900RS、HONDAの
CB1100RSなどありましたが、いずれもツアラーど真ん中だったり、長時間乗車はキツくなるネイキッドだったりして、ちょっと違う。今回は「ツアラースポーツ」「GT」というキーワードでGO。
<KTM-790DUKE>
街中で見かけたときに「あれ?DUKE390、デザインがちょっと変わったのかな?」と、その華奢さに誤解していたのですが、
「外科医用メス」のキャッチコピーを頷かせる究極のライトウェイトミドルでした。パラツインでも優しさよりも鼓動感を強調したタイプで、二次曲線的な加速感はならではなんですが、アクセルオフのピッチングが強くて結構ダイブするフロントダンパーと相まって、ツアラー要素がかなり低い。フロントの切れ込みの軽さといったら、「チャリンコか?」と思うほどで、キャッチコピーは的を得ています。
<KTM-SuperDUKE1290GT>
数年前にSuperDUKE1200を試乗したときに、かなり過激で「やっぱり公道でリッター超えはありえないな…」と思わされたので、恐る恐る乗りましたが、かなりマイルドに落ち着いていました。重量からくるそれなりの安定感があり、パンチの強いLツインを電子制御サスで受け止める、グランドツアラー然としたバイク。モード切替や電制ダンパーにかなり変化幅があって、いろんな表情を愉しめるところが最大の美点。ただ、それらセッティングは僕にとっては「走行シーンによって変える」本来的な楽しみ方には繋がらず、「自分の乗り方に合わせたらそれで乗り続ける」という、もったいない使い方にしかならないと思いました。マイルドになったとはいえ、やっぱり過剰パワー。
KTM共通評価として、オートシフターのダウンシフト対応はとても良いですね。アップよりもダウンの方が高揚感があります。
<BMW-R1250R>
一見すると今回のテーマにビシャッとハマる感じですが、ダメでした。
自動車部門はその機械としての精密さが大変素晴らしいプロダクトなのに、どうしてかそこがダルい。ボクサーツインの強い振動を“味”として評価してもらうために、マウントを緩めたのではないかと感じます。
<BMW-R1250GS>
King of Adventureですね。ポジションだったり車格からは想像だにできないほどの扱いやすさは本当に驚きでした。そしてやはりテレレバーは至高。ロングツーリングではピッチングは少ない方が披露軽減につながります。サーキットライダーでリヤブレーキをほぼ使わないことに慣れてしまった人にも高評価を得られるシステムではないでしょうか。
とにかく、ツアラー要素だけで選ぶなら満点なのですが、今回はパスです。
BMW共通評価としては、オートシフターがお話にならないぐらい酷い!アップ時の変速ショックが酷すぎて、使う気が起こりませんでした。
<Ducati-Scrumbler800>
試乗したことがあったのですが、下駄バイクとしての良い印象が強かったので、再確認として。
本当に1~2時間だけ、車庫からサラッと出してきて近場をくるっと回ってくる。そういう使い方ならかなり楽しいとは思いますが、テーマに合わず。
<Ducati-PanigaleV4-S>
すいません、完全に番外です(笑)
伝統のLツインからまさかのV4ですから、そこに興味があって乗らせて頂きました。
とにかく凄い。「凄い」と書いておけばそれでいいんだと思います(笑)
タンクに密着する直線姿勢を取ると異様にフィットしていて、そこがまた恐ろしい…。加速中も「底が知れない」という形容しか思いつかないパワー回転。
<Triumph-Tiger800> 同門の3気筒ツアラー。何気に色々とフル装備で、面白い選択かもしれません。ただ、DAYTONAとこれの2台持ちというのは流石にキモチ悪い…(笑)
まあとにかく、やっぱりツアラー色が濃すぎるのでパス。
<YAMAHA-MT09-SP>
初期型に試乗したときに、これまた過激すぎて印象良くありませんでした。でも「かなりマイルドに改良されている」というインプレを多く見ましたので、念のため確認。
結果から言うと落選したのですが、トレーサーと比較したうえで様々な学びを得られた教材でした。
加速に備えて前傾姿勢を取っているのに、出力モードはmaxではないのに、ワイドオープンでフロントが浮いたのには驚きました。トレーサー比ではショートホイールベースでやや前荷重のポジション、でもなぜかキャスター角は1度寝ていて、エンジンスペックは同じながらマッピングを変えられている様子。
初期型の過激さ、というか粗削り感はなくなっているものの、これまた過剰。
ただ、これに乗って得心したのは、「YAMAHAのバイク造りの方向性が素晴らしい」ということでした。XSR900、MT-07、MT-09、トレーサーなどを試乗してきましたし、上記欧州車との比較をして俯瞰すると、「本来バイクの本質であるアジリティを大切にし、絶対にそこはハイレベルを維持する」コンセプトが見えてきました。1.5倍~2倍ほどの価格差がある欧州車たち、モデルによって違うかもしれないのですが、むやみなサスストロークがあったり、腹下で震えるエンジンの慣性が邪魔になったり、常に各部位にズレがあって一体感に欠ける。
他方でYAMAHAは首尾一貫してアスリート然。瞬間的にトップスピードまで達し、その勢いを利用して飛び跳ねて回転し、これまた瞬間的に寸分動揺することなくピタッと静止する。指先に至るまで遅れを取ることなく意志通りに動かせる、そんな器械体操の選手のようです。
私が16歳になった瞬間に免許を取得して、初めて所有したバイクはYAMAHAでした。
〇走族だった兄に安くで調達してもらったFZ400R、残念ながらカウルは外され丸目1灯、ヨシムラサイクロンがはまっていた武闘スタイルでしたが…(笑)
その後は主に川崎重工に惚れ込んでいましたが、これはこれでアジリティが低いわけではないし、各部位の締結度合や精密さはしっかりとしていて、とにかく「重厚感ある乗り味を力技で振り回す」というスタイルが最大の美点だと思います。YAMAHAはその重厚感を良い意味で取り払って軽快なコントロール性を美点とする。
嗚呼、
YAMAHAよ!
素晴らしいではないか!!
そして俺、
3気筒が2台もあるって、
どうなのよ??(爆)
Posted at 2019/11/29 22:02:57 | |
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TRACER900-GT | 日記