環境性能や衝突安全、電子制御などの要素が自動車に盛り込まれはじめた15年ほど前から、プリミティブなクルマの愉しさというのはどんどん失われてきました。
ダイレクトな操作感は色々なフィルターが挟まったお陰で違和感ばかり。増えた車重は様々なデバイスでお化粧してきたけど、物理法則から超越できるはずもなくやはりどこかバーチャルなテイストに。そんな時代の変遷の中、「最後の徒花」を探し求めて彷徨う諸兄も多かろうと思います。
奇しくも
先日の関東スペシャルマシン大試乗会では、その趨勢を改めて認識させられました。
至高の911GT3。
現代には色々な制約があるはずなのに、ここまでダイレクトでプリミティブな愉しさに溢れるクルマがまだ造れるのか?!ポルシェが何を捨てて、何を捨てなかったのか?その要素を分解していくと、普遍的価値に辿り着きました。「車重」
我がALPINAもBMW社に買収され最後の徒花。しかしながら911GT3と決定的な違いはやはり「車重」にあります。
動力面においては環境性能面で一定の制約を無視すれば、それなりの愉しさは創り出せます。車重が上がろうが、気筒数や排気量を増やせば「走る」はいくらでも増やせます。
しかし、比例して増大する「曲がる」「止まる」をどうマネジメントするか?むしろそこに作り手の思想や工夫が存在し、それを読み解いてドライブする愉しさこそがドライビングプレジャーだと思っています。
いくらお化粧したとしてもそこに必ず悪影響を及ぼすのが「車重」。マジックを擁するALPINAでさえもこれを乗り越えられなかったことを、乗り越えるためには浮世離れしたGT3にまで到達しなければならないことを、これでもかと突き付けられました。
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時間的に最後の試乗枠に、順当なら「ポルシェボクスター・スパイダー」を選ぶはずのところ、なんなんでしょうね、何の因果かw菱形マークが鈍く輝くキーを握りしめていました。
メガーヌ4RSトロフィー。
現実的には「コイツが
ベストオブ最後の徒花」だと確信しました。
「現実的には」と言ってしまうと、「妥協」的ニュアンスな場合もありますが、そうではありません。サーキットや高速道路などでないと愉しめないのではなく、日常空間でも100%愉しさを引き出せることが重要、そういう意味です。
先代からは10%排気量は削減されており、先述した「安易なfun」とは距離を置いています。方やルーテシア4RSでは採用中断された、僕が崇拝するDASSも健在。
HCCも贅沢にダンパー前後4本すべてに採用(ルーテシア4RSはフロントのみ)、路面状況を考えればラリー技術の方が一般道には相性が良いのは自明の理。(メカニックさんから教わったのですが、なんと実は、「ダンパーイinダンパーinダンパー」、トリプルコーンとのこと!!)
バンプラバーだけだとどうしても反発が強く出るところ、この機能によりかなりマイルドに衝撃緩和ができる。ストリートでの快適性を大きく損なわないためにバネレートを弱めても、底付きからの挙動破綻を減らすことができるという、ルノーらしい技術選択!
一般道で必要なロングストロークソフトダンピングを確保しつつ、高いロールレートを両立させるために採用したリアステア。(余談ですが、RSにはブレーキLSD、所謂疑似LSDがインストールされていますが、RSトロフィーにはホンモノのLSD、トルセンタイプがインストールされているという、スキモノには堪らない配慮アリ)
まさにメカニカルドライブの玉手箱!!現代でこんな手法でドライビングプレジャーを実現している実用車って、僕は他には知りません。これが500万円台って、なんなんだよ…!
先述しましたが、馬力やグリップや電子制御はカネを積めばいくらでも手に入る世界、そんなのは面白くない!知恵や工夫で積み上げたメカでもこれだけ愉しいクルマが造れるんだぜ!という気概がヒシヒシと伝わってくる。
でも、そんな素晴らしいルノースポール部門も、このメガーヌを最後に解体されるので、つまりALPINAと同様の徒花…。
ALPINAという最後の徒花を入手してからたったの7ヶ月しか経っていないのに、溺愛しつつも不運な別れ方をしてしまい未練タラタラなルノースポールの徒花までこのタイミングで出会ってしまうなんて…!
ああ…
ああああ…
ああああああああ!!!
こんな苦悩にハマるきっかけを与えてくれたwan-kohさん、どう責任取ってくれるのよぉ~!w
Posted at 2023/04/30 18:32:54 | |
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Renault Megane4-R.S. | 日記