※愛車レビューの詳細版です。
<導入経緯>
実は全くの筋違いから始まっていますw
とあるみん友さんの4輪サーキット走行動画をyoutubeで拝見し、セミプロの腕前に感銘を受け、4輪でのサーキット走行に興味が湧きました。
過去にルーテシア3RSで鈴鹿南、鈴鹿東、岡山国際など経験しましたが、とにかくFFでの走行はほぼ面白みを感じませんでした。アンダー以外何にも起こらなさすぎて、スポーツ感が感じられないのです。
現在のメガーヌ4RSなら、比較的リヤハッピーだしハイパワーだし何よりもオモシロメカ満載なので相当刺激があるだろうと思うものの、鈴鹿の登りS字でハイパワーFFがトラクションするイメージがどうしても持てない…。
やっぱ後輪駆動がいいよね!マニュアルだよね!ハイパワーも欲しいね!サイズ感はコンパクトが好み!
でロックオンしたのがF世代のM2。この時は6気筒に対して想い入れは無くオマケ程度でした。中古で600万円代という価格帯、メガーヌもしくはALPINAと入れ替える必要がありますので、ここでなかなか踏ん切りがつかない。どちらも最終モデル故に、入手したときは喜びましたが手放すときは心理的ハードルが高い。
思い切って借金地獄に浸りつつ増車しようかとも考えたのは、「50歳代の今、サーキット走行に限らず、今興味のあることで事情が許すならなんでも手を出してみるべき」という、後半人生の過ごし方への理念です。
とはいえ、借金をすることで「事情が許す」と解釈するのはあまり適切ではないとも思え、逡巡していたところ、「M2って6気筒だよね~、あ、そういや1年ほど前にK1600で6気筒に感動したなあ…」と思い出しました。
中古車検索すると、相場や球数、現在は試乗車もなく受注生産になっている状況などから、こなれた中古車でもそれなりの資産価値が見込めそうだと見込んで、一気に購入と相成りました。
<インプレッション~取り回し>
「シルキーシックスNAを腹下に抱える、2輪4輪どれを見渡してもこれ以上にダイレクトに味わえるものはない」という愉悦こそが至上でしたから、とにかく後先(
車重のネガ)はあまり考えていませんでした。
なので、納車説明時にサポートしてもらいながら初めて取り回しの練習をしたときに、カルく後悔が…w
バックギア付いてるけど、それでもコリャあ想像以上に大変だな…と。
①ニュートラルに入れる②バックギアボタンを押す③セルボタンで後進する
訳ですが、駆動の繋がりが思いのほか唐突で、ハンドルを曲げた状態でスタートするのは本当に恐ろしい。よって、「真っ直ぐ後進してから、切り返すためにハンドルを曲げて前進、またハンドルを真っ直ぐに戻して後進」を何度か繰り返すので、非常に時間が掛かる。
おのずと、コンビニなど立ち寄り場所など、切り返ししなくてもUターンできる広いスペースを見つける必要があります。また路肩の砂なんかにも要注意で、停車して片足付いた先でズルッと少しでも滑るだけでもとんでもない恐怖感w。また、今まで軽くこなしてきた赴くままのルート開拓なんて、もしその先で道幅が狭くなろうもんなら地獄を見ますから、おいそれとできません。
<インプレッション~エンジン>
下記再掲しますが、
PWRは最下位、TWRは次点です。
参考~PWRとTWR比較一覧
DAYTONA675R(2012) PWR1.48 TWR2.57
TRACER900-GT(2018) PWR1.84 TWR2.46
R1250R(2023) PWR1.75 TWR1.67
K1600GT(2018) PWR2.15 TWR1.91
ただ、weight-ratioはあくまでもピーク値であって、出力カーブの視点としては
評価は豹変し、パワーは1位、トルクはアイドリング回転数では1位ながら、常用域では最下位です。
5速アイドリングでも咳き込まないほどの驚異のトルクですが、いざアクセルオンしても非常にかったるく、5速巡行からであれば2速まで落として初めて「大型バイク」レベルのトルク感を出します。
白眉はそこからですね。
パワーバンドに入ってからの加速“感”が最高なんです。2stみたいな極端な加速ではなく、野太い吸気音とともに息の長い加速が続き、それでもまだあと2~3千回転の余力を残している。エンジンの燃焼・慣性トルクが完全バランスしているお陰で、高回転時でもBrutalな感じがせずに非常にGentle。何度も言いますがそれを腹下数センチ先で感じられる。
実はここで、ネガであるはずの
重量がポジティブに効いてくるのです。
重量が安定感として感じられ、尚且つ「これだけの重量を軽々と加速させるパワー」の偉大さを意識させられる。ひょっとしたら敢えて重く設計したんじゃないか?とまで思わせられる。
<インプレッション~デュオレバー及びサスペンション>
デュオレバーについてはあまり理解が進んでいませんが、とにかくノーズダイブの少なさや、ダンピングとステアが分離されたハンドリングに未知の感覚を憶えます。
そんな状態でもはっきりと認識できることは、「GTかくあるべし」ということです。前後ピッチングをむしろ活用してアクティブに振り回すことが2輪の醍醐味ではありますが、疲労感やナーバスになりかねない前後ピッチングが少ないということで「まったりコーナーリングできてしまう」安楽さがあります。確かに旋回性能という点では他車に劣りますが、それでもコーナーリングの愉しさ爽快感はしっかりと表現されています。
つまり、あまり前後荷重を意識操作しなくても旋回軌跡が変わることも無いので、安楽なわけです。そしてここでも
重量というファクターがポジに転換していて、トラクションを能動的に作り出さなくても重量が勝手にトラクションを作ってくれているのです。
例えばR1250RやTRACERと比較して、
車重は1.5倍なのに、タイヤトレッドはリヤが5%増、フロントに至っては同サイズですから。
サスペンションの味も本当に稀有で、「こんなのが2輪であり得るんだ」と驚くようなカーペットライド。バネレートとダンパーの相関だけでは創り出せない味を、
重量というファクターがあるからこそ創り出せている。タイヤの指定空気圧が2.9であることからも、トータルコーディネートの妙を感じます。
そもそもこんなバイクですから、バンク角を捻出する必要はないものの、それでもバイクの愉しさが詰まったコーナーリングという過程の重要性は外しておらず、いやむしろ、ハーフバンクだからこそ1600ccもの大排気量を全開にできるわけで、そういう部分でもやっぱりGTらしさを体現しているのです。
アマリングたっぷりでもマー愉しい!!
<インプレッション~その他>
・フルパニア装備ですが、なんとボタン一つで集中ロック操作ができてしまいます。これは超便利だ!
・シートもフカフカながらコシはあって、申し分なし!
・オートシフターもウルトラシルキーです。MotoGPのシームレスミッションって、ひょっとしてこんな感じ?1速から2速に上げる際、車速10kmぐらいって、絶対にオートシフターに任せる気がしないじゃないですかフツー。でもそんな状況でもショックレス!
・ボクサーエンジンだとクランク回転との適性が高いシャフトドライブですが、横置きのコイツにもシャフトドライブが奢られていて、チェーン清掃が大嫌いな僕にとっては最高です!
・エンジン振動を感知してスタンバイになるエアバッグを着用していますが、信号待ちアイドリングになると、センサーが「エンジン停止」と誤解してスタンバイを解除してしまうほど、振動が少ないです。
※風切り音が盛大で折角のシルキーシックスサウンドはあまり録音できませんでした…(汗)
<総括>
長く乗るかどうかなんて全く考慮せず、とにかく手元に置いてじっくり体験することだけを意識しましたが、やっぱり沢山の刺激があって、清水の舞台から飛び降りた価値はありました。
人生初めてです、「流し続けられるバイク」に出会ったのは。
そしてなんなんでしょうね?このバイクに乗っている時だけはヤエー返しを確実にしてしまいます…ww