
「SS?んじゃ一応apriliaも乗っとけ!」という師匠のお言葉を頂き、RSV4の試乗をしてきました。
このRSV4、APRC(aprilia performance ride contorol)は付いていませんので、より素の状態のapriliaを体感できそうです。でも、電子制御好き(バイクに限る)の僕は少し寂しい・・・。
65°狭角V4エンジン、発進時にはツインのような“トルクの谷”(トルクが無いわけではない)があって、慎重なクラッチミートを要します。その後は、ツインの鼓動感を少しマルチよりにしたフィーリングで回転数が上がっていきます。サスペンション、特にフロントは硬めに感じました。
と、印象に残ったのは、これぐらいしかありませんでした・・・。強いて言うなら、左足を炙り焼きにされたことでしょうか。
コックピットは無味乾燥で殺伐としています。タコメーターに「V4」というグラフィッックが入っていますが、それも含めてここにはなんら高揚感を感じません。速度や回転数をチラ見するその一瞬、表面加工処理の美しいトップブリッジが視界に入ったりするその恍惚、それを邪魔しないようにヘッドライト裏側の配線などが見えないようにカバーリングしてあるのがbimotaあたりの巧みなところ。
コックピットに心配りをするかどうか、大切だと思います。他者に見られる外観に重点が置かれるのは勿論ですが、
主人公であるライダーがどのような視野で何を感じているのか、これもまた重要です。手を抜くなら他の部分でやってほしいな~。
普段2輪を所有していない身としては、一度得たフィーリングが風化しないうちにそれをベースとして比較対象に臨むのがセオリー(なんてセオリーは聞いたことが無いので自作ですが)。ということでそのままtriumphへGO。ハシゴ酒ならぬ“
ハシゴバイク”、サイコーです。これまた師匠から「ここの3気筒はなかなかオモロイ」と聞かされていたので、以前から狙っていました。
ディーラーHPの試乗車ラインナップで見る限りは、3気筒はSSではなくストリートファイターのみだったのですが、まじまじとSSの675を舐めまわすように見ていると、これ以上放っておくと本当に
ペロッと舐められるかも、と危険を感じた店員さんが「試乗できますよ」とお声掛け下さいました。
コックピット。
これもあまりいい部類のものではありませんが、メーターべゼルがシルバーでアクセントされていたり、タコメーター上辺部に青色LEDのシフトアップインジケーターが配されており、まあそれなりのものです。このシフトアップインジケーターが“なかなかの役者”です。「全部点灯、全部消灯」ではなく「回転数に合わせて点灯数が増減」し、最高レベルでは「全部フラッシュ」します。また、点灯時期を自分でセッティングすることも可能とのこと。
リヤ回りデザイン。
マフラーエンドがリヤシート下部に配されており、そのボリュームがリヤフィニッシュラインをバランスよくさせています。最近のSSはリヤエンドを「短く、平べったく、尖らせる」のが傾向で、僕にはどうしてもデザインバランス悪く映ります。リヤタイヤ後端ぐらいまではリヤエンドがあってほしいのです。このバイクは合格です。
サイレンサーをリヤシート下部に逃がすことにより、スイングアームからリヤタイヤまでがすっきりします。ネイキッドなどはサイレンサー(もしくはそこにあるマフラーメーカーのロゴマーク)で主張する部分もありますが、SSではこの方がカッコイイ。大流行後鳴りを潜めました片持ちスイングアーム同様、「いつでもソッコーでリヤホイール脱着するぜよ!」的な、“
機能美”が宿ります。パッセンジャーのお尻すぐ下に熱源を配置するというのも、「えっ、僕SSだよ?パッセンジャーなんて乗せることしないよね、フツー・・・」というメッセージがあるようで、これもある意味“機能美”。
ではようやくRide On。
お店を出て走りだした瞬間から、「おっわー、なんじゃこりゃ~!楽しい~!!(原文ママ)」と、叫んでしまいました。
リアルに、声に出てしまいました。
3気筒675ccエンジン。そーだったのか、こういうテイストなのね。想像していたのは、「ツインの鼓動感が弱まり、トルクは薄いが軽く吹け上がる特性」という、あくまでも“ツインをベースとして1気筒増えた”というイメージでした。では、“マルチをベースとして1気筒減らした”「マルチほどのスムースさは無いが少しだけ鼓動感がある特性」なのかというと、そうでもないのです。まったくどれにも似ていない
独創的なフィーリングです。
まるでモーターのようなエンジン音。クラッチミートになんら不安を感じさせない低速トルク(&軽量車重)。アクセルを開けていくとマルチのように綺麗な加速曲線(直線)を描きます。アクセルオフ時にかかるエンジンブレーキ、その立ち上がりが激しくてアクセルオフに神経を使いますが、そうですね、ここがなければ2ストエンジンに近似とされるやもしれません。
ちょこっと慣れてきた後、計器類に目をやる余裕が出てきましたので、タコメーターをチェック。
全っ然回していませんでした。回転数の1/3程度だったことを知り、またもう一度リアルに叫んでしまいました、「どないなっとんね~ん!!(原文ママ)」。
エンジン音、回転上昇のフィーリングなどから、勝手にピークトルクを想定してシフトアップ(インジケーターは無視)していたのですが、お恥ずかしながらカタログ値との差はなんと8000(=12500-4500)!
完全に二段ロケットです。
この先はリアルに念仏を唱えながらのロケット二段目点火です。防衛本能ですね、直線で呼吸を止めたのは今回が初めてかなー。だって、車重が軽いことも相まってホッピングが激しくて要らんアクセル開いちゃうんだもん。後から店員さんは、「そのあたりの回転数、スーパーカーみたいだったでしょ~!」と言ってましたが、憶えているのは
「ウグッ・・・」という呼吸を止める自分のうめき声だけです。
コーナーリングに関しては、軽量コンパクトさが如何なく発揮されていました。簡単にバンクしてくれるし、その恐怖感も無いし、立ち上がりのアクセルワイドオープンも気兼ねない。異常なほど素早い切れ込みをするでもなく、勝手にステアが切れる(bimotaはそうだった)でもなく、良い意味でイージー。切り返しもアクセルコントロール無しでいけるぐらい。ここ最近乗ったバイクの中で一番自分に合ったフィーリングでした。これは、メーカー特有のものか、3気筒特有のものか、リッター未満バイク特有のものか、そういう切り分けをこれからしていかねばなりません。
ブレーキは、あんまり効きませんね。特にリヤブレーキは無いも同然。軽量であることにもたれて手を抜いたか?もう一段上のグレードの675Rはブレンボ製キャリパー装備とのことで、どんなもんでしょうね?キャリパーだけの違いでどこまで変わるのか、体験してみたいものです。
スリッパークラッチはなかなかいいものですね。僕はエンジンブレーキは2速までしかしない(したくない)のですが、気付いたら1速に落ちていたほど、マイルドに制御してくれます。でも、機構としては「クラッチを滑らせている」ということで、クラッチプレート消耗が気になります。ご存知の方お教えくださいませ!
おでこ部分に逆三角形のグリルがありますが、ある回転数になるとここの裏側のフラップが開き、ラムエアインテークとなるようです。後から店員さんが教えてくれたのですが、確かに頻繁にキューンキューン音がしていたのは、このフラップ作動音だったのです。
あんまり目立たないところにこっそり主張を入れるのも、結構スキです。いや、「このネーミングが目立つぐらいバンクさせろ!」という“
機能美”なのかもしれません・・・!(笑)
675の試乗、総じて高評価に終わりまして、前回のBMW-S1000RRと“欲しいパッション”が拮抗することになりました。とにかくすべてにおいて“軽さ”(重量そのものやコンパクトさ、エンジン回転フィールなど)を武器とした、NSR250を彷彿とさせるバイクで、そこに排気量とトルクが上乗せされた
ロケットスプリンターという印象です。
実のところは675自体をターゲットとした訳ではありません。そもそも僕のバイク熱に火を付けたのは「MV-agusta-F3のインプレッション記事」に「3気筒軽量SSの魅力」が謳われていたことです。ですが、F3のほうは試乗車など無いですから、ほぼ同種の675でフィーリングだけでも掴みたいと思ったのです。そしてめでたく、3気筒軽量SSの魅力にヤラレました・・・。
さー、イタリアンが3気筒軽量SSを造るとどうなったのか?F3の試乗車が出てくるのがとっても楽しみになりました!
<番外>
「3気筒は真ん中だけ熱がこもりやすいから難しい。各社それで手を引いたが、triumphだけが成功した」とのこと。でもなぜ熱がこもりやすいのか?4気筒の真ん中2本とどう違うのか?また教えてもらいます。
※追記:同排気量なら気筒数が少なくなるとピストンが大型化し、その結果冷却しにくくなるとのこと、教えて頂きました。
車種別パワー・トルクカーブグラフが、4輪と違ってあまり無いんですよね~。カタログにも無記載。これで比較するのも車種選びに大変有効なんですけど・・・。