
スバルの軽自動車が自社製造を終了して、ダイハツのOEMになったことは記憶に新しい。
過剰品質と揶揄された全車四輪独立懸架装置の歴史に幕を閉じた。
サンバーはハイゼット。
ステラはムーブ
プレオはミラに取って代わられた。
このクラスの速いとか遅いとかの話は、単にエンジンのパワーとかトルク感でしか語られないので話すだけ野暮というものだけど、スバルの軽自動車だけは、乗ってすぐ「おっ」と感じられる程に足が良かった。
しっとりと足が路面を掴む。
特にリヤサスの追従がいいんだ。
アンダーが強いという感覚ではない、ハナがスーッと入った後にリヤがズルズルと来ないのだ。
軽とは思えないオンザレール感。
そんなしなやかな足の動きに対して、
スーパーチャージャー過給の凹凸のない加速が合っている。
いろんなクルマでそこそこ走ってきた人が乗ると直ぐに判る。
「マジか~、凄く足がいいな。」
誰もが口を揃えて言ってしまう。
四輪インディペンデントサスペンションの偉大さを特にはっきり感じる好例が、
スバルの軽自動車なのではないだろうか。
ヲレはそんな風に思ったけどね。

そんな訳で、スバル最後の軽ラインナップであるR2の板金である。
免許取り立てのレーサーのカミさんの通勤用マシン。
どうせぶつけるからと、もともと左側面ボコボコの距離の割に安い個体を買ってきてたんだけど、そろそろぶつけなくなってきたようなので、直したいということだった。
あっちゃこっちゃ凹みや小傷は増えたが、まぁ何とか直しましょうか・・・。
最近の軽自動車の板金というのは、一般に思われているより厄介で、
派手に凹ませるとまともに板金できないものが多い。
とにかく鉄板が薄いということと、それでも剛性を出すために複雑なプレスラインを入れながら強い張りを与えることでパンパンに造形している。
超高張力鋼板と言って、軽に限らずだが今の小型車はこういった施工方法を用いて薄い鉄板で軽量化を図りながら、剛性も両立しようとしている。
この鉄板が厄介で、
大きめに凹んだりすると、絶妙なバランスで保たれていた張りが崩れ、全体的に歪んでしまう。
板が薄すぎるので、叩いても引っ張っても周囲も大きく釣られてしまい、部分的にしっかり修正することが難しい。
板金不可能とは言わないけれど、とにかく面倒だし時間が掛かる。
ので、中古パーツが明日には届く今宵昨今は、さっさと部品交換で済ませてしまうのが得策と言える時代になってしまったわけだ。
このR2の鬼門は、「左側ドアパネル」「左側サイドシル」「右クォーターパネル」の三点であったが、交換できないサイドシルとクォーターパネルは叩くとして、左リヤドアは交換で判定。
ドアもちょっと軽く叩いてみたけど・・・こりゃダメだす。
サイドシルも厳しいんだけど、
溶接パネルは何としても板金しないといけないんで、溶着機とか出してきて引っ張ってみたけどワッシャー切れちゃって出る気配ねーな・・・。

それで、急遽えげつない冶具を作成し、タッピングで食いつかせてスライディングハンマー使って強引に引っ張り出すことに。

流石に出ましたねw
ここは粗方引っ張ってカタチ作れないと、ドアと競っちゃうので決まらない。
大体ツラが出たら、あとはパテで形を整形して元の形を復元していきます。

鬼門箇所の修正をなんとか終えてサフェーサー塗布。
リヤドアも形にしようと思って頑張って板金してみたけど・・・やはりちょっと納得いかない。
写真では判りにくいんだけど、広範囲に渡る歪みが残ってしまう。
やはり、リヤドアだけは、後ほど交換である。

同色部品で交換しておけば、ドア内(うち)を塗らなくて済む。
それでも、表は通しで塗らないと色が全然違うのだ。

データカラーでは絶対合わないので、それなりに色合わせをします。
黄色や黒、青を増やしたりして元色に近づけていきます。
前後バンパー、ボンネット、左側面全部、右クォーター、左ミラー。
半分以上塗り直しである。
バンパーなどは形が複雑なので、外して塗装します。

久々のレンタルガレージ。
ここのブースは開放型なので正直ゴミがつきやすい。
磨きで誤魔化せるソリッドカラーであればここで充分なのだが、メタやパールとなるとちょっとイチかバチかなんだよね・・・
明るいパールとかちょっとヤなんだけど、選択肢はない。
今日バラして、今日貼って、今日塗って、今日剥がして、今日組んで帰らないといけないのである。
時間的にのんびりしている時間はない。

塗り始めが結構遅くなってしまった・・・。
ミスは全く許されない状況での塗装である。
ちょいちょい付着するホコリやゴミを、中間処理しながら一時間ほどかけて塗装します。

本当はドアを締め切って塗装したい所なんだけど、
サイドシルの板金が結構ドア内にまで影響しています。
ウェザストリップの当たり面まで塗装するようなので、いっぺんに終わらせるには半開閉で塗るしかありません。

後日キチンとゴミ取って磨いて肌(塗装表面のボコボコの感じ)を合わせます。
漸くきれいになったなぁ。
20万円分くらいの査定を取り戻したと思いますw
最後にバンパーの下部塗装。
最近は直しついでにと、結構定番になってきたねぇ。
もうぶつけませんように。