
3歳になった上の息子。
今年もきかんしゃトーマスのSL乗車券が当選したので、シルバーウィークは再び大井川鉄道への旅行となりました。
このプラチナチケットは非常に倍率が高く、数か月前からネットでの抽選が始まるのですが、初回抽選では見事落選。キャンセル待ちの二次選考で奇跡の当選を果たしたのでした。
今年から運行が開始したバスのバーティーとのセットチケットで、倍率はさらに跳ね上がりました。
よく当たったなというのが正直なところ。。

新金谷からトーマスSLで千頭(せんず)まで行き、バスのバーティーで新金谷へ戻ってくるピストン切符です。
去年の戻りはぎゅうぎゅう詰めの普通電車で辟易していたので、何とも快適な旅である。

去年にはまだ生まれていなかった弟との旅。
顔つきも何だか大人びてきたかな。

レトロな車内、古い客車を大改修せずにそのまま使用しているのがいい。
一応一眼を持ってきてはいるんだけど、最近の携帯の内蔵カメラの性能が凄まじく、
F値は小さいわ、イメージセンサーは一眼レフのものを使っているわで・・・
K10からK20へ機体更新したものの出番は少ない。
まぁ、明るいレンズを持っていないんで、社内や室内は使いにくい事もありますが。。。

前回同様、汽車に乗る前に購入した「大井川ふるさと弁当」
頭まで食べられる鮎の佃煮が絶品である。
美味しい駅弁というのはスゴイ技術なんだと思う。
冷めても美味しいという事は、冷めた時に美味しくなるように作らなければいけない訳で、普通に料理するのとは全く別の技術なんだと思うのだ。
「温かいうちにお召し上がりください」何て気弱な事は言わず、「いつでも好きな時に食いなよ」って感じが何とも、男前でいいではないか。

機関車トーマスは無事「千頭」駅に到着。
乗っていた乗客や構内で待っていた見学客がすぐに機関車を取り囲んで撮影でごった返してしまう。
実際乗ってしまえば、機関車トーマスも煤煙と汽笛の吹鳴でしか蒸気機関車を感じられないので、やはり外から見たいんだね。
たまに眼がクリクリと動いたりして、とても芸の細かい造りになっている。
蒸気機関車としての機械的な迫力をそのままに、煙室ドアのエアロパーツと塗装だけで見事にトーマスを再現したその完成度の高さこそが、子供には勿論のこと、大人にも感動を与える圧巻の出来栄えと言えるだろう。

重厚な金属のレバーやチェーン、バルブなどで艤装された運転席が美しい。
蒸気機関車の運転者は運転士ではなく機関士と呼ばれ、動力車操縦者運転免許の他、ボイラー技士の資格が必要になるらしい。
起動すら難しいとされるアナログで緻密な操作、煤煙と熱気との闘い、ブレーキの難しさのなどは想像に難くないですね・・・まさに戦いの部屋な訳です。
スマホ操作しながらよそ見運転出来るような代物ではなさそうです。

復路が普通電車ならコイツに乗ることになります。
これまたレトロな21000系という車両だそうです。
その昔、南海鉄道で使われていた車両を引き取って、ここで働かせているのだそう。
渋くてカッコいいけど、指定席じゃないんでぎゅうぎゅう詰めの満員電車なんだよな・・・
去年は子供を抱っこしてつり革で一時間・・・
きつかったです。

井川線(南アルプスあぷとライン)で昨年まで静態保存だったディーゼル機関車のラスティーが、構内だけですが客を乗せたトロッコを引いて走っていました。
あの姿のまま井川線の本線に出たらまた、一躍有名になるかも知れないが・・・
ディーゼル機関車の前面は大事なラジエターグリルであるから、
ラスティーのお面を付けた状態ではちょっと難しいのかも知れない。

帰りは「バーティー」で新金谷に戻れるのが嬉しい。
驚きなのは、日野の小型バスポンチョを新車で導入したことだ。
バーティーへの改装費込みで2000万円程度はした筈なので、トーマスイベントで注目されつつも、巨額な有利息債権の圧迫が深刻な大井川鉄道にとっては、大英断だったはず。
トーマス権者であるソニークリエイティブプロダクツとのライセンス契約は2013年から3年。
つまり今年までだったんです。
ラスティーの試運転ともとれる構内運行に、バーティーの運行開始などを鑑みると、ライセンスの続行を匂わせる雰囲気があります。
どこの地方自治体でもローカル路線会社でも、キャラクターなどのエンタメで町興しは強力な集客材料になります・・・でも、こういったものは、先行投資も大きいし、ライセンス料などを払うと、手残りは幾ばくも無いはず。
一時的なカンフル剤でしかないんですよね。
トーマスが好きで訪れるのではなくて、トーマスをきっかけにこの町・この村を知ってもらって好きになってもらう、また来たいと思ってもらう。
そういった再興の為の仕掛けなんです。
いまは関越の事故や、碓氷峠の一件のせいで、観光バス業界が厳しくなってしまい、ワンマン日帰りで折り返せない辺鄙なところにはツアーを組まれなくなってしまった。
大型の観光バスがガンガン来る方が、全然実入りがいいんです。
大井川鉄道の筆頭株主も変わったばかりのようで、今後のかじ取りが気になる所です。

小型バス「バーティー」は実際のトーマスのお話にあるように、抜きつ抜かれつしながら新金谷を目指します。
直線が長いと機関車が速く、峠区間では圧倒的にバスの方が速い。
長い並走区間では、ほぼ横並びで走ってくれるという気の利いた演出。
双方の運転士の裁量も加えつつ、絶妙なバランスでほぼ同着しました。
自分は殆ど寝てしまっていましたが・・・
田舎の県道だから出来る事ですね!

地方鉄道事業の世知辛い懐事情などを挟んでしまいましたが、自分はこの大井川沿線の風土がとても気に入り、訪れる際には、寸又峡の旅館に一泊することにしています。
寸又峡はかなり山奥で、すれ違いも厳しい感じの峠をそこそこ行かないと辿り着かないのですが、クルマの運転が好きな人ならそれなりの到達感と深山幽谷の趣を楽しむことができます。
山も川もきれいで、料理が美味しい!
今度はトーマス関係なく、紅葉シーズンにでもまた訪れたい珠玉の静養地と言えます。
トーマスは大井川を救うか!?