
HIKO君のBNR34。
以前より、サスペンションの著しい性能低下の報告を受けていた。
リヤがポンポン跳ねて攻められないし、乗り心地も悪いと。
そもそも、純正のダンパーにエスペリアという激安ダウンサス仕様だったので、初めから高が知れているのだが、まだダンパーが生きているうちは言う程悪くなかった。(と思う。)
世の中の大概のダウンサススプリングは、縮み側のストロークが減少する分底突きさせない為に、純正と比べればレートも高く設定されている。
硬めのバネで低く構えるので、初めの内は攻めても調子が良かったりするのだけど、スプリングという物はヘタってくるとどんどん車高が下がって来てしまい、事更にストロークが減っていってしまった挙句、サスペンションダンパーも同じようにヘタって抜けてくるので、硬いバネの振幅ばかり強調するような乗り心地になり、底付きも相まってポンポンと跳ねるようになるのだ。
このクルマをダウンサス仕様にしたのはヲレだが、それも最早10年近く前。
とっくにスプリングはヘタリ切り、ダンパーは抜けきって、今の状態に至る訳だ。
もう10年になるのか…早いものだな。
まぁ、兎に角サスを交換するしかないんだが、ストックで純正のほぼ新品ダンパーが一式あるのでそれを使いたいと言うのだが、使えるスプリングは純正か市販のダウンサスしか現状存在しない。
車高が下がり過ぎてしまったのでエスペリアはもう使いたくないんだけど、純正車高は嫌なんだと。
・・・今のヲレに言わせると、よもやそのまま純正を使う事がお勧めでしかないのだが、やはりまだ少しは下げたいという美意識があるようだ。
以前より何度も電話口で相談を受けていたのだが、モノをよく見ていないので、「その内容だともう純正サスを少しカットして使うっていう選択肢しかないんじゃないか?」と、安易に返答していた。
ヲレの世代の人間ならごく自然な流れである。
ただ、ダンパーも純正のままのバネカットなので、純正の縮み側のストロークが減っただけという仕様でしかない。
街乗りでの乗り心地はいいだろうが、攻めるには少し弱いかな。
減衰を調整できる社外ダンパーで使うか、スタビライザーなどでロールを抑制するかなどしないと物足りないかも知れないが・・・
とにかく現状が酷すぎるので、スプリングカットだけ履行して欲しいという話でした。

純正スプリングは2セット有り、そのまま使うことはないし切って使えなければそもそも要らないとの事だったので、躊躇なくカットに入ります。
先ずはひと巻き。
これくらいなら純正ダンパーでも遊ばないぎりぎりくらいかな。

カットしてみてからですが、ちょっと嫌な予感がします。
純正ショックは、ダンパー下側のお皿の外周の立ち上がりがなく、バネがぐるりと一周している部分で内掛けして外れない仕組みなので、ひと巻き切ってしまうと不安定になってしまいそう。

実際組んでみるとこんな感じ。
1G掛けてしまえば、潰れて対角がシートと接するので外れ止めが効くけれど、ジャンプしたりして伸び切った時に下に落ちてしまう可能性が否めない。
昔ハチロクに乗っていた頃は、車高調入れるまではよくバネがシートの下に落っこちて一ヶ所だけ超車高短とかになっていたな。
ボロハチロクならその都度よいしょ、とか言って直せばいいが、GT-Rでやることじゃないなw
流石にこれじゃヤバいかな・・・
HIKO君に連絡して、一周切ったら外れ止めが効かなくなるけど、一周以上切らないと車高が変わらなそうだから、どの道使えないかも・・・と。
しかし後日連絡があり、「純正サスカットでもやり方があるみたいです」と。
HIKO君の知り合いで、GT-Rでレースをやってたひとに相談をしてみたらしいんだけど、その人は純正サスカットを色々試して、外れないギリギリで車高も下がるという切り方を見つけ出したというのである。
そのデータを聞いてきたので、残りのもう1セットで試してみたいというのだ。
話を聞いてる限りではやや半信半疑である。
純正形状のスプリングは、上も下も最初の一周は外れ止めでただの一周をしてから立ち上がっているので、車高を決めることに関与していないのでは?と思ってしまっていた。
でも、一周以上切ったら確実に外れ止めが無くなってしまう。
この時点で純正サスカットはナシかなと判断できる。
でも切り方があるだと???
聞けばレース屋とはいえ還暦も過ぎたおじいちゃんである。
ブラフや記憶違いもありそうだけど、それでもいいならとやることにしました。
それで聞いてきたカッティングデータが、
F 上側1/2巻き 下側3/4巻き
R 上側1/2巻き 下側1/2巻き
と言うことで、上と下も切るというデータです。
やはり、一周切ってしまうと外れ易いという事を警戒したデータですね。
基本的に半周なら外れない、そして線間の狭いフロント下側なら3/4まで行っちゃおうみたいな感じでしょうか。
かなりギリギリを攻めてると思います。
半周切るだけでも水平自立はしなくなるので、やはりショックに組み付ける際には少し注意が必要ですね。

アッパー側のラバーのバネの当たり位置が変わってしまうので収まりが悪いです。
車体に取り付けた後も、ジャッキを降ろして1Gを掛ける直前まではスプリングの上下が大きくずれていないか確認します。
当分使ってアッパーのゴムに癖がつけば、ズレにくくなるでしょう。

オート○ックス車検の整備で舐めさせられたというブレンボのエアニップル。
10ミリが入らないからって、12ミリで行こうとしたんだね・・・
違います。
ブレンボはミリ規格ではなくインチ規格で作られているので、7/16インチというサイズです。
ミリに換算すると11.113ミリとかになるので、一回でも使った事がある11ミリのボックスがあればほぼ間違いなく作業できます。
ブレンボキャリパーのネジ関係はかなりしっかり締めないといけないものが多いので非常に固く、適当な工具を使うと舐めてしまったり緩まなかったりと失敗が多いです。
エアニップル如きと舐めて掛かるとホントに舐めてしまいます。
12角ではなく、6角の工具を準備して作業しましょうね。
さて、遂にタイヤを付けてGT-R着地。

ほう、確かに適度に下がっている。
前が指3本、後ろが指2本半と言った感じか。
何故下がるのかと考えてみたけれど、線間の狭い1Gでの密着領域での総量が単純に減るからなのかも知れない。
スプリングは完全に潰してもゼロにはならないからね。
棒の直径×巻きの回数分の高さは残る。
だから、どう切っても切った巻き数分の高さは減るって事だね。
概念の理解の問題であった。
なるほどいい勉強になったなぁ。
いまどきノーマルスプリングをこんな風にちょっとづつ切っていく事ないからなぁ。