
10月のキャンプの直前に納車され、色々計画はしているものの取るものも取り敢えず運用が始まったDA64Vエブリイ。
妻の通勤用車両ではありますが、ヲレの今のお気に入りである。
見た目はどこにでも走っているありふれた軽貨物ながら、
パンチのあるターボエンジンに走りの5速マニュアル、悪路に強いフルタイム4WD。
普段使いに全く遜色のない居住性に、業務レベルの積載性能。
パーツも豊富でアレンジの拡張性も高い。
コンパクトな中に全てが詰まった夢の宝箱のようなクルマだ。
カワサキのKSRなんかもそうなんだけど、
ヲレは基本的に小さく纏まったものが好きなのである。
根っからの狭い島国日本人なので、路地裏ですれ違いも出来ないような余白ばかりの無駄にデカいクルマは好きではないのだ。
そんなお気に入りのエブリイではあるが、
近所をちょろちょろ走り回っていると、コンビメーターの中でボヤ~と何かの警告灯が光った。
油圧警告灯(赤)である。
赤いランプは、そのまま乗ってたらヤバイですよ~という最後通告である。
マジか・・・
点きっ放しという訳でもないので帰ってからオイルレベルを確認すると、
ゲージの先っぽにも付いてこない。
油圧警告灯は大体、エンジンオイルパンの中のオイルストレーナーが安定してオイルを吸い上げられなくなると点灯する。
規定量3L位のエンジンでは、半分になった位ではまず点灯しない。
1/3位の1Lあるかないか位になると、走行中にGでオイルが偏った時などにストレーナーが吸えない瞬間があったりして、オイルポンプ以降の油圧系統にあるプレッシャーセンサーがそれを感知して知らせてくれる。
要するに相当無くならないと点灯しないのだ。
うーむ・・・これだからスズキは・・・と思いながら、
GC8からエマージェンシー用の安いオイルを引っ張り出してエブリイに補充。
2L近く入ってしまった。
納車されてから3週間程度の出来事である。
納車準備の時にエンジンオイルの交換はしてくれているという事だったんで、割と安心してゲージの確認などはしていなかったんだけど、これは一体どういう事だ?

即座にクルマの下からオイル漏れなどがないか点検するが、怪しそうな所を仔細に確認するものの、サラッとしていてきれいなものである。
タペットカバーやオイルパン周りも乾いていて滲みもないですし、ベルハウジングの繋ぎ目辺りもそんな痕跡はない。
絶対に外側には漏れていない。
手違いで元々殆ど入っていなかったか、中で食っちゃってるかどちらかしかないだろう。
うーむ・・・こちらがクルマにかなり詳しいのは購入時のやり取りでバレている筈なので、オイル交換をさぼるような真似は恐らくしないだろう。
オイルフィルターも新しいものが付いている。
作業者の手違いで元々オイルが少ししか入っていなかった・・・とかの方がこちらとしては嬉しいが、そういう不手際ではないような気がしている。
「エブリイのエンジン幾らくらいかなぁ・・・」
自分の持つ乗り物に対して、こんな感情を抱くのは何回目なんだろう。。
もう両手では足りない気がします。
取り敢えず、判断を確定するのも尚早なので、
一週間ほど今の状態で乗ってみて、オイルの減り具合をチェック。
その時点で粗方の判断は出来るが・・・
そこから更に一度、インプ用に買ってある20W-60のオイルに全量交換し、再び一週間ほど様子を見る事にしよう。
オイル下がりなんかだと、硬いオイルにするだけでかなり減少を抑えることが出来たりする。
気になる程減らなければ、それはそれでいいや思える。
どの道、数年乗ったらどこかでオーバーホールする算段ではあったのだ。
ただ、これも程度問題の話で、
例えば二週間で1.5L減っちゃうところが1Lになりましたよ!
という結果では、そもそも不具合が振り切ってしまっているので、エンジンはNGであろう。
10万キロ超の中古車なんでね、多少のオイルの減りなんてのは元々見込んではいますが・・・それだってね、次のオイル交換までに500㏄とか、多いクルマで1L近く減ってしまったりとかはまだ仕方がないかなと思えるレベル。
3000キロとか5000キロとかの交換サイクルの中で、継ぎ足しなんかしなくても乗れていれば気にはならないが、月に二度三度足さないとヤバイなんて状態では流石に落ち着いて乗っていられない。
このようなクルマでは、オーナーがクルマや機械に疎いひとなら、路上でエンジン焼き付いて不動が目に見えている。
高速道路でコンロッドが折れて事故・・などになったら目も当てられないが、全然無い話ではないのだ。
一週間後。

取り敢えずで継ぎ足してフルレベルにしておいたエンジンオイルは、ゲージの幅で半分より下にまで減っていました。
約500㏄強減少と言った所か。
10W-30とかの安いオイルだけど・・ちょっと早えな。

入っているオイルは一度全て捨てて、新しいオイルに入れ換えます。
ていうか、汚ねぇなオイル。。
エンジン内部が恐ろしい程スラッジだらけなんだろうと判ります。
多分、2万キロも3万キロも交換されないような期間がどこかであったんだろうと推測する。
基本的なメンテナンスサイクルを無視して長い期間エンジンオイルが交換されないでいると、どんどん汚れが蓄積し、オイルもヘドロのように濃縮されてまともに循環しなくなる。
まともな油膜が形成されなくなり、ピストンやピストンリングの異常摩耗に、ベアリングの損傷などが起きやすくなる。
タービンオイルラインが閉塞し、タービンが終了するなど、致命的な損傷を被ることになる。
スズキのF6AやK6Aといったエンジンは、ターボNAに限らず、一度でもこういったオイルメンテナンスの不備があるとたちどころに損傷し、オイル大食いのエンジンになりやすい傾向にあると思う。
基本的には丈夫で、乗り方や回し過ぎたからと言って壊れることは殆ど無いと思うのだが、メンテナンス不足で壊してしまっているケースが殆どなのではないでしょうか。

BPのバービスクラシックが廃盤になり、フルミネラルの高粘度オイルが市場に無い状態が続いていましたが、近年再びそれに代わるオイルが出始めましたね。
チャンピオンのクラシックルーブか、ガルフのブレイズレトロがそれ。
性能表示は微妙に違ったりしてますが、テストごとの誤差の範囲って位の違いなので、元は同じかも知れんねw
GCにも使っていますが、距離使っても油圧の低下が少なくてとてもいいです。
これはフルミネラル特有の性能なのかな?
と言うより、ベースオイルの硬さで決まってくるんでしょう。
低粘度フルシンセオイルなんかはいいのは最初だけで、一回熱を入れると一気に性能が低下してしまいますからね。
取り敢えずコイツに交換して、また減り具合を見てみよう。

そこから2週間。
満を持しての20W-60だったが、オイルの減りはそれほど抑えることが出来ず、ロワレベルの少し下位まで減ってしまっていました。
ダメかぁ・・・。
その場で購入したクルマ屋に電話。
中古車として看過できる最低限のラインを逸脱した重大なトラブルを抱えている事を説明した。
「多分、そちらで把握していたらそのまま売れないだろうから寝耳に水だろうけど、十中八九中で食っちゃってますね。」
「マジですか・・・それは本当にスイマセン。。」
「ヲレも昔クルマ屋に居たから気持ちは判るし、余り厳しいことは言いたくないけどさ、中古車は基本現状販売なのでって言いたいだろうけど、販売時のアナウンスと違っちゃったらやっぱりね・・どうしようか。」
「いや~・・・はい、おっしゃる通りです。。逆にどうされたいですか?」
「選択肢は3つしかないんだけど、どれも費用が大体同じ。半分協力してくれればそれで手打ちって事であとはゴタゴタ言う積りは無いんだけど・・・」
「その選択肢というのは・・・?」
「一つは積んでるエンジンを降ろしてオーバーホールする。これは時間が掛かるし、代車も必要になるから協力して欲しい内容がやや複雑になります。もうひとつは、安い中古エンジンを買ってきてしっかりオーバーホールしてから載せ替える。エンジンを作ってる間は車が使えるので、不動時間が殆ど無いけれど、こちらにオーバーホール作業の手間や部品代が発生する。最後のひとつは少し高いけど、そのまま使える問題ないエンジンを買って載せ替える。こちらに手間が殆ど発生しないので最も短時間で改修が終了します。」
「※※※さんの方でやりやすいやつを選んでくださって結構です・・・こちらでは費用的な面で協力するくらいしか出来ることがないので・・・。」
そんな訳で・・・
年末で時間も無いので、選択肢としては最後のヤツを前提に程度の良さそうなエンジンを探します。
でもまあ、クネには優しすぎると言われましたね。
心情的には全額でハナシしろよって感じなんだろうけど、まぁ・・もともと11万キロのエンジンなんでね、そもそも近い将来でのエンジンの作り直しは見込んでいたし・・・。
あんまりにも要求が高いと、クルマ屋側も逆に拒否反応が出たりしてゼロか100かみたいになって1円も取れなくなる可能性がある。
「基本は現状販売」を盾に逃げ切られる可能性も充分にあるのだ。
たかだか50万60万で販売の中古車のクレームで、20万も30万も保証してたらただの持ち出しなんで、通常それだけは避けたいだろう。
是が非でも突っぱねるクルマ屋なんて幾らでもある。
現状販売であるからこそしっかり現車を確認した積りでしたが、見抜けなかったこちらの落ち度もあるし・・・
でもね、それよりも何よりも・・小さいクルマ屋ながら責任をもって経営している親切な「いいクルマ屋さん」という印象だったので、「半分持ってあげよう」というのが正直な所です。
今回のオイル消費エンジンに関しても、それを疑えるほどの白煙などもないので仕入れや保有の段階で判断する事は難しく、前オーナーからの正直な告白なくしては知る由もないというのが本当の所だろう。
そうは言っても、それを含めても売る側の責任はあるものなので、
ここでの対応がしっかりしていたら、というのがヲレの中での信用失墜に対する執行猶予である。
今回の折半協力の提案にももごもご躊躇する事も無く、しっかり応じてくれるようなので、かなり真面目なクルマ屋さんです。
こういういいクルマ屋さんは寧ろ珍しい方なので、中古車を買う時は注意した方がいいですね。
販売時のアナウンスに嘘が無ければ、基本的にノークレームノーリターンが中古車屋の世界。あとは追い金で保証を付けたり付けなかったりという所ですが、オイルの減りがやや多いだけ、程度のトラブルだとそういった保証のパックの対応範囲かどうかはグレーな所。
それよりも、ちゃんと販売員に「エンジンミッションに大きな問題がなく、普通に乗れますか?」と聞いてしまった方がいい。
このエブリイの件も、「極端なオイル消費だとか、シンクロが悪くてギヤが入りにくいなどの重大な問題が無ければ、この値段で買います。」と確認し、問題ありませんとのアナウンスで購入を決めているので、エンジンへのクレームはそこの相違に対する修正措置である。
そこですら折半でいいよと提案しているのだから、
そこそこちゃんとやっているクルマ屋なら断る術を持たないであろう。
向こうは5万円とちょっとで決済済み成約の破談を回避できて、
こっちは5万円とちょっとの追い金で11万キロの過走行車がエンジン7万キロ台になる。
なんだよWINWINじゃねえかと言ったら、クネにバカかお前と言われたよww
やっぱり優しすぎるかw
でもね、ヲレはこの辺に応えてくれれば充分だよ。
下らない事でいつまでもゴタゴタやるのはセコイしよ、話の分からない奴に自分のクルマを任せたくないから全部自分でやってきた。
面倒な事は全部ヲレがやるからよ、金だけちょっと協力しろよ、みたいなね。
金どうこうより誠意が見たかっただけと言うのが本当の所かな。
なんかヲレカッコいいなww

座席の下にあるエブリイのエンジン。
オイルレベルの確認は運転席側、オイルフィラーは助手席側で若干面倒。
納車時の状態ではやや全体的に土埃で汚れているような状態だったので、一度高圧洗浄で洗い流して、ゴムや樹脂の部分はシリコンスプレーとウエスで拭きあげるなどして小ぎれいにしました。
エンジン廻りが汚いと触るのが億劫になるからね。

オイルの補充もキャビンの中での作業となるので慎重に・・・
オイルフィラーもやや奥まった所にあるので、オイルジョッキのノズルもやっと届くといった感じ。
ノズルの先端を押さえておかないと、注ぐときに外れてしまいそう。
ばいーんと外れて周りがオイルまみれとか最悪です。
やはり頻繁にオイルの補充をするような羽目は御免だな・・・。

40ミリリフトアップキットを買ってあるのだがまだ付けていない。
ので、ジャッキアップで40ミリアップを模倣してみる。

結構上がりますね。
キットはメンバーダウンブロック付属の物なのだが、ステアリングシャフトの延長に溶接が伴い正直面倒なのだ。
ウチの100Vのアークじゃ芯まで溶けないだろうしね、シャフト外してどこかで200Vの半自動かなんかを借りに行かないといけない。
40ミリ位なら、ショックスペーサーで上げるだけで、メンバーダウンが絶対必要という訳でもなさそうだけど・・・
やはり重心が上がってしまうし、ドライブシャフトもプロペラシャフトも角度が付いてしまうので長期的に見ると色々良くないだろう。

でも足回りとかを覗いてみると、ドラシャもアームも思った程逆バンザイしてないな、案外問題ないのかも知れない。
でも、メンバーの高さってのは操縦性や車両の安定性にかなり影響します。
何と言っても最重量物であるエンジンミッションの位置が変わる事は大きい。
ただショックやスペーサーで上げるだけだと、ボディーもエンジンも丸ごと持ち上げるだけなので重心が高くなってしまい転倒などもしやすくなってしまう。
ボディーを持ち上げた分だけエンジンミッションをメンバーごと下げてやれば、逆バンザイだったロアアームやドライブシャフトなどの角度も水平に是正され、モノコックは上げつつもロールセンターを下げてやることが出来る。
クロスカントリーでの限界挙動時などでの転倒するかしないかのギリギリのラインがかなり変わってくるだろう。
ま、極端なクロカンをやる積りはないんだけどね、
不慮の緊急回避などで、横転の可能性を下げる事が出来るのは大きい。
普通に乗るだけでも、重心が低いとどっしりして安定感があるからね。
やはり車高を上げたらメンバーダウンは実行したいものだ。

そうこうしている内にオクでポチったエンジンが到着。
平日にとっていた休みの日に合わせて配送してもらいました。
パレット積みの重量物なので、人力でトラックから降ろせないとヤバイと思ったので、エンジンクレーンを準備して待っていましたが、配達の兄ちゃんと二人で普通にひょいと持てましたね。
クレーン必要なかったw

78000キロの中古ですが、64最終型のきれいなエンジン。
実働外しの不良無し、内部きれいな写真ありで信用出来そうでしたので、
10万円で購入しました。
倉敷からで運送料は8000円。
もっと距離走ってても12~13万円位するものもあるので、割と安い方かも知れません。
エブリイのK6Aは、キャリートラック位しか互換性のある車両がなく、更に後期でターボとなるとタマ数が一気に無くなるので相場が高いです。
18万キロとか使われて要オーバーホールみたいなタマでも5万円位するので、感覚的にはアルトやワゴンRのK6Aの倍くらいするイメージですね。
前置きのエンジンと何が違うのか、品番調べながら展開図で比較して確認してみると、先ずシリンダーブロックが違いましたw
この時点で流用は既に致命的なんですが、エブリイのように鋭角斜め置き搭載みたいなエンジンですと、インマニやオイルパンなどが角度に合わせた形状になっているのは見たままですが、シリンダーブロックに関しては一体何が???
と思ったら、オイルレベルゲージのガイド穴が違うんですね・・・
まぁ・・そりゃそうか。。
同じエブリイでも前期後期でクランク角センサーが増えたり、カムシャフトが違ったりとそのまま行けない部分が結構あるので、兎に角同じエンジンを探さないと、バラシて色々付けかえる羽目になるので、ポンでイケる予定が崩れます。
やはり高くてもちゃんとエブリイ用を買うのが無難ですね。
AT用ですので、ドライブプレートをフライホイールに付け替えて、エンジンハーネスを付け替えればそのまま行けるかな?
付け替えの際の最低限の消耗部品を揃えたら、あとは載せ替えるだけ!
オールペイントもするんだぜ!!
そんな提案をされたのは初めてですと言われましたw