
真夏。
35℃近い日々が続きます。
客観的に判断すると、ハッキリ言ってクルマの作業とかそのものが危険ではありますが、何だかんだ無茶を敢行してきた割に熱中症になったことがないだ い 。
元々本能に忠実過ぎるくらい忠実に生きているので、自然と危険な領域まで無茶をしていないんでしょうね。
きちんと水分補給を欠かさず、定期的にサボって(休憩して)いるので平気なのでしょう。
ただ重整備は、多少ブランクがあると身体が付いてこないので、適度に程々の作業をこなして身体を慣らしておかないと、エンジンの積み替えみたいなガチ目のミッションが厳しくなる。
スポーツでも何でもそうだが、勝負の前にはトレーニングが必要なのである。
そんな訳で、久々に時間が取れたので、エブリイのサスペンションに手を入れたいと思います。

我が家のエブリイには三つの使命があり、それらの使命をバランスよく全うする為に適度なチューニングやカスタマイズを施す事が初めから決まっている。
と言うか、ヲレが決めたのであるw
ひとつは妻の通勤の足としての使命。
これだけならチューニング云々は全く必要ないのだが、その他の使命の為のカスタマイズが、元来のシティーコミューターとしての性能を、遜色しない程度に留めるということが重要である。
もう一つは、子供たちの送迎の足である。
まだ下の子は保育園通いだし、上の子の空手の送り迎えもある。
MTが良かったこともあってバンモデルを選んだのだが、しっかり四人乗れるワゴンと同一内装のJOINターボはチープな感じも無く、GOOD。
そして最後に、野山や不整地をものともせず大量の荷物と家族を運ぶキャンピングエクスプレスとしての使命である。
インプレッサではあまりにも無理があった家族キャンプ。
必要ないものはなるべく端折って漸く積み込めていた荷物も、エブリイでは、クラス最大レベルの貨物室で何でもかんでも余裕の積み込みである。
迷ったら持っていけばいいのだ。
河原や悪路、急勾配で頓挫しないように四駆ターボを選んでいる。
それだけでもキャンプ用としては充分だとは思うが、未舗装で凸凹の不整地を想定しての大径のオールテレーンタイヤや若干のリフトアップなどで限界性能を底上げし、更なる走破性の為の機械式LSDの装着や、環境に溶け込むナチュラルカラーへのオールペイントなども計画している。
「過ぎたるは及ばざるがごとし」とはよく言ったもので、何かに特化し過ぎると、必ず反対側で何かがおろそかになってしまう。
見た目重視の5インチリフトアップとか、燃費極悪の巨大タイヤなど、乗る事そのものが億劫になってしまうような極端な仕様は避け、あらゆるシチュエーションをソツなくこなすオールラウンドな仕様に留めたいと思う。
まあ要するに純正プラスアルファでいいという事だ。
向こう10年20年乗ろうと思ったらここはかなり重要な部分である。
弄ると決めると色々やりたくなるけどね、極端な仕様は結局飽きるし、そのあとはいろいろ面倒になる。
本当に必要だなと思う部分だけはしっかりやって、後はノーマルってくらいがいいのである。

話は戻るが、エブリイのリフトアップ。
なのだが、どちらかというと油圧ダンパーを新品交換する事の方が重要だったりする。
12万キロ近い個体なので、純正ショックもヘタっていて乗り心地はお世辞にもいいとは言えないし、左前からコツコツ音も出ている。
バンは本来営業用貨物ユースがメイン、スプリングなどもワゴンより硬いようなので、ダンパーがヘタるとバネ勝ちしてバタバタと跳ねるサスペンションになってしまうのだ。
今回の作業は、ショックをカヤバのニューSRスペシャルに入れ換えるついでに、リフトアップもしてしまおうという内容である。

昨年の購入直後から右コーナーでだけコツコツと音がしていた足回り。
手始めにスタビリンクを交換してみたが、改善はしなかった・・・ショック本体なのだろうか。

4WDモデルなので、前後のタイヤの減りに差は殆どありませんが、舵を切る分だけ角が取れるので、前後の入れ替えをしておこう。
折角のゴツゴツ風タイヤですが、残念ながら舗装路での使用が殆どですね。。。
年に数回のキャンプや登山道までのアクセスで活躍するかどうかといった程度。
ま、ぶっちゃけ見た目ですね。
外径も少し大きくなっていますが、加減速での違和感は殆ど感じません。

フロントはストラット、リヤはコイルスプリングリジッドなので、昔乗ってたハチロクと一緒ですね。
ウマで車体を固定したら、前後ショックは直ぐに外れます。

ただ、調子に乗ってバラしていたら、ブレーキ周りの事を忘れていて、二つ目のリヤショックのボルトを取った瞬間にホーシングがブレーキホースだけでぶら下がる羽目に・・・(汗
ブチ切れなくて良かったぜ。

組む際にも高さ合わせなどで必要になるので、パンタジャッキなどで調整しながら作業しましょう。

外れてきた純正ショック群。
スプリングは再使用。
リフトアップのキットに調整式ラテラルロッドが付いているので、一緒に交換します。

ガスが抜けて自力で戻らなくなっているリヤショック。
走行中リヤのバタバタ感があるのはこれが原因か。。

KYBニューSRスペシャル前後セットと、メーカー不明個人出品の30ミリだか40ミリだかリフトアップさせるスペーサーキットです。
メンバーダウンブロックと調整式ラテラルロッド付属。
リフトアップキットには、取説の類は一切ついてこない。
「見ただけで判んねーなら、危ねーから触んなよ」という男らしい割り切り感が伝わってくる。
・・・大丈夫、判ると思うw
ただ問題なのは、メンバーを下げることによって届かなくなるステアリングシャフト・・・
「溶接して付けてね♡」という感じでキットには延長用のカラーが無造作に付属されているが、ぶった切って溶接付けがバレると陸事によっては車検に通らない可能性もあるのでどうしようかなって感じ。
取り敢えず組みながら考えよう。。

延長ブラケットやスペーサーなどを取り付けしながら組んでいく事自体は造作もないのだが、一つ気になった調整式ラテラルロッドのピローボール。
グリスを充填して取り付けするのはいいんですが、メタルピローがむき出しである。
こんなのを普段の足で使ってたら、2~3年でガタガタになってしまうのは目に見えている。
ので、何かないかな・・・と部屋をごそごそして見つけてきたインプのナックルジョイントブーツ。。

穴だけ中軸のカラー外径にピッタリ合わせてやれば、あとは狭いブラケットの中に一緒に押し込んでしまうだけなので、外周をバンドで固定出来なくても大丈夫でしょ。

ブーツ自体の反力でしっかり押し付けられているから、ゴミや水も入りにくそう・・・これなら、何もしないよりはかなり持ちそうです。
あとはグリスの充填用の口をちゃんと下側に向けて組むことが重要ですね。
因みにラテラルロッドはピロボールヘッドとウレタンブッシュ側のどちらをどちらにしても組めますが、泥水の影響を受けにくい車体側をピロボールヘッドとしました。

リヤ廻りはコレで完成ですが、最後にラテラルロッドの調整。
純正1Gで水平のラテラルロッドは、車高を上げても下げても弧を描いてスイングする関係上ホーシングが左に寄ってしまいます。
寄ってしまった分だけターンバックルで調整して補正してしまおうというパーツですが、どういう訳かもともと随分右寄りだなぁ・・・。
修復歴などはない筈なのですが、なんだろうブラケットが曲がってるのかな・・・。
伸ばして調整する積りでいたんですが、純正と同じ長さで調整してもまだ若干右寄りという結果に・・・。
どういう訳か判りませんが、若干短く調整して漸く左右の出面が丁度位の感じになりました。

色々考えても仕方がないので、フロントも組みます。
スプリングの付け替えにはスプリングコンプレッサーを使いました。

スペーサーをアッパーマウントの上に予めしっかり固定し、車体に取り付けしてみます。
ロアアームが限界まで逆バンザイ状態なのでナックルのボルトが入れづらいですが、何とか取り付けは出来ました。
この状態だと、短い右側のドライブシャフトはサスペンションメンバーに当たってしまっていますね。
ジャッキから降ろして1G状態になれば問題ありませんが、凸凹道などでサスが伸び切るような状態になったらドラシャはメンバーに届いてしまうという事です。

30ミリって勝手に思ってたけど、これ40ミリはあるな。。
取説も無いし、時間が経ちすぎててネットの購入履歴も消えてるので内容が確認できない・・・w

スタビリンクの位置も完全にズレます。
無理やり付けてもスタビのコの字が真下に向いちゃうね。
ステアリングシャフト延長の問題があるので、弊害が少なそうだったら、ブロックによるメンバーダウンは今回は見送ろうかとか考えていたんですが、そういう訳にはいかなそうです。
中には自由長がやたら長いバネだけを使って車高を上げるというやり方もあるみたいですが、それだとショックの伸び側のストロークを使い切ってしまいますし、バネも硬いので乗り心地が悪くなる方向。
それでもそこんとこ上手く作りましたよ!みたいな商品は多いですが、
ま、結局なんちゃってですよね・・・。
ショックの長さだけで車高を下げたり上げたりすると、1Gでのロアアームやフロントドライブシャフトがバンザイもしくは逆バンザイ状態となり、サスペンションの性能が極端に悪化してしまう他、耐久性などにも問題が出てくる
やはりここはしっかりやろう。

下げるのはフロントのサスペンションメンバー。
ジャッキをあてがい乍ら、留まっている6本のボルトを外していきます。
メンバーにはロアアームやスタビライザーのブラケット、ステアリングギヤボックスを有しており、4WDだとフロントデファレンシャルギヤを搭載している。
詰まり、車体からメンバーを離して下げていくと直結しているステアリングシャフトが届かなくなってしまうのである。

ステアリングコラムは4つのボルトで固定されていて、多少長穴で調整できるようにはなっていますが、全然足りません。

シャフトがユニバーサルに刺さる部分も、かなりの調整幅がありますが、それでも4センチダウンには追いつきません。
ボルトを抜くとシャフトは完全に抜けてしまいました。
この分をぶった切ってカラーで延長しろということです。
うーむ・・・やるしかないか。

取り敢えずダウンブロックをしっかり挟み込んで付属のロングボルトで取り付けしていきます。
メンバーダウンブロックと言ったって、ただのアルミニウムのインゴットに穴あけしてあるだけの物。

全てのブロックを取り付けしました。
ロアアームの角度はしっかり適正化され、ドラシャの干渉もなくなりました。
スタビライザーも下がったので、リンクは元通り無理なく取り付け出来ましたね。
「今日は疲れたな・・・」大した作業もしてませんが、35℃近い気温での久々のクルマの作業でぐったり。。
翌日も時間を取ってあるので、足回りだけ完全に決めてあとは明日にしよう。
翌朝、ていうか・・疲れが抜けなくて午前中動けなかったんですけどねw
色々考えてみたんですけどね、メンバーの下げ幅40ミリ程度なら、シャフト切断溶接は大袈裟かなぁという事。
数か所の小加工と調整でイケそうな気がしてきました。

取り敢えずステアリングコラムの取り外し。
ヲレが考えたのは、ステアリングコラムそのものも少し下げてしまいつつ、ユニバーサルでへの字に曲がっているシャフトを角度調整でショートカットすれば結構伸ばせるので、あとは絶妙な長穴加工の合わせ技で計算上は届きそうです。

コラム側の加工は、取付穴の長穴加工と、スプラインシャフトのボルト溝の拡大。
長穴加工だけでは大して下がらないので、ワッシャーなどを重ねて挟んでスペーサーにし、角度を調整しながら2~3センチ程度下げる作戦。

ステアリング側のスプラインシャフト。
抜け止めのボルトの溝を、伸ばせる方向に少し削ります。
5ミリくらいイケるかな?

若干削り過ぎたか?(汗
ま・・・ここは保険でして、
フルに伸ばし切る必要は無いハズなので、最後の遊びの範囲で目一杯差し込む方向で調整すれば安全ですね。

この位咥えていれば問題ないでしょう。
少しは伸ばせましたね。

あとはコラム取り付け穴の長穴加工。
ここもプッシュグラインダーというリューターのお兄ちゃんみたいな工具に超硬刃をつけてガリガリ削ります。

なんかエアが弱くなってきたな・・・と思ったら、熱がこもり過ぎて物置の中のエアコンプレッサーがオーバーヒート気味。。
サーキットブレーカーみたいなのが働いてなかなか動いてくれません。
扉を開けている位ではダメみたいで、扇風機で強制冷却します。
5分程で再び動き出しましたが、やはり設定圧に達する前にブレーカーが働いてしまいます。
サブタンクで55Lにまで増やしているせいもあるでしょうけど、30℃超えの真夏の日中は、こういった機械ものは限界がありますね。
ま、あとちょっとなのでね、人間もアイスなんかを食いながらクールダウンしながら、圧が溜まった所で残りの加工をやり切ります。

加工が終わったステアリングコラム。
メインシャフトの方は、加工代が元々無いので触りません。
ボルト固定する足元側(逆さまに置いているので上側のブラケット部分)は加工代も少なく薄板だったので、Z状に曲げてより下側にオフセット出来るようにしました。

下側はナットを三つ重ねて30ミリ程度、上側はワッシャーで微調整しながら、20ミリ程度のオフセット量に。
上側を薄くする事で、きつく曲がっていたユニバーサルジョイントを少し立ててストレートに近くなるので、よりシャフトがコラムに届くようになります。

これで合わせてみると、シャフトはユニバーサルジョイントにしっかり刺さり込み、元々ある切り欠きの調整幅の範囲でボルト留めする事が出来ました。
勝ったなw
誰もやっていないようなイレギュラーな方法を思いつきで試してみましたが、こう上手くいくと、勝ったという気分になりますww

若干削り過ぎで心配だったコラム側のスプラインシャフトも、目いっぱい使うことなく、余裕を持って咥えることが出来ました。

カット延長などすることなく、長穴加工とスペーサーによる調整だけで無事ステアリングシャフトを届かせることが出来ました。
これなら何らかの不都合でリフトアップを止めて、ノーマルに戻すときにも簡単に戻すことが出来ます。

コラムが丸ごと下がったのでメーターフードとの間に若干の隙間が出来ますが、下げるだけでなく少し立ててるので、思った程ではありませんでした。

座って操作してみますが、
足などへの干渉もありませんし何の違和感もありません。
寧ろハンドルが気持ち手前になった分だけ操作が楽に感じます。
そもそも何かが心配になるほど取り回しが大きく変わった訳ではないので、何の問題も無いですね。
逆に、この程度の工夫だけで解決してしまう問題だったという事です。

あとは、メンバーが車体から下がって離れるので、アンダーカバーなどが所々届かなくなります。
穴を開け直したり、長ボルトや有り合わせのスペーサーでオフセット固定しておきましょう。

ひとつだけ残念だったのは、左前の足回りから出ているゴトゴト音がショックではなく、ナックルジョイントだったという事。。
良く見たらブーツも切れてるし、強く揺すったらガタガタでした。。
前回の足回りチェックの時に何故気付かない!(汗
ここは走行中に外れてしまう危険性もある(ミニカトッポの時に外れたことがある)部分なので、直ぐに部品を注文しました。
兎にも角にも、リフトアップとショックの交換は無事終了。
ステアリングシャフトもカット延長溶接などすることなく届かせることができました。
あとは、ネガキャン用偏芯ストラットボルトもセット内容にありましたが、特にポジキャンに変化する事も無いので使用しません。
若干変化したトーインの調整だけしっかりしてやれば、ナックルジョイントのガタはさておいても、非常に滑らかで落ち着きのある乗り心地になりました。
やっぱりショックなんて10万キロも走ってると抜けててダメだな。
リフトアップ自体も操縦性に問題を残すことは一切なく、目線が高くなった分見通しが良くなりましたね。
だんだん楽しいクルマになってきましたよ。
ド素人のウチの妻でも判る程、乗り心地が良くなったみたいです。