
異例の夏日を迎えた三月の日曜日。
昨春ぶりにクネと暴走半島へ。
以前から大昔の記憶を辿るべく「上総亀山湖(かずさかめやまこ)」という千葉県の湖に行こうぜという話をしていたのだ。
「カヌー犬ガク」で有名な、かの野田知祐さんがこの湖のほとりに住んでいた事があるというだけの理由から、その頃まだ小学校六年生だったかな・・朋友であるコウヘイと電車を乗り継いで訪れたことがある。
どんな所なのだろうという好奇心だけであった。
「上総亀山駅」破滅的に赤字路線である久留里線という鉄道の終点にあり、隣県とは思えない程の時間を掛けて到着した記憶がある。
駅から程近い「亀山湖」は、野田さんが見限っただけの事はあり、当時(35年前)の時点で既に、相当に魅力の少ない只のため池だなという印象だった。
小櫃川開発事業の一環で作られた人造湖で、ダムの竣工は1981年となっている。
僕より年下なのであるw
あれだけ辺境の地でありながら、感動するような大自然が待っている訳でもなく、中途半端に人の手が入りつつ、整備され切っていない不便さだけが際立つ千葉県の片田舎である。
ただ、ブラックバス釣りは昔から盛んなようで、遠方からも多くのバスアングラーが訪れるメッカ的な場所ではあるようです。
そんな上総亀山湖、35年の歳月を経て今どうなっているのか?
という程度の好奇心と、単車で行くならあっという間だなという手軽さが手伝って、ちょっと足を伸ばしてみようかと思った訳です。
裏切られる程期待もしていないので気楽ですw

冬限定のナックルシールド仕様のだ いのホーネット。
(真冬はこれがあるか無いかで全然違うんだよ・・)
相変わらず二人で走ると、ツーリングという生易しい物ではなくなります。
そして、イマドキうちらの単車(今は死語らしい)ほど煩いマフラーのバイクも殆ど居ないって言う・・w(ちなみにクネ太郎のマフラーの方が煩い)
90年代の高回転の4気筒の250㏄ですからね、とにかく音だけです。
音だけ200キロ!!実際は80キロ!!!みたいなバイク。
音はスゲーのに全然近づいてこないな・・・みたいな感じですねww
それでも自主規制幅いっぱいの40馬力は出ていますから、しっかり回せれば最近の2気筒とかシングルの250よりは力にかなりの余裕があります。
狭い峠じゃ扱い切れないな~と思う位のパフォーマンスはあるので、これで充分。
大排気量への憧れや乗り換えはまず無いですね。
バイクというものは、エンジンにしがみついてブン回す音を楽しむ乗り物だと思っているので速さや快適さは余り求めていない。
乗り物というより移動もできる楽器みたいなものかも知れない。
日本のバイクの250㏄のDOHC4気筒エンジンというのは、世界でも類を見ない精密機械の芸術作品である。
ヲレのホーネットのMC14Eでもレッドゾーンは16000rpmからで、意識していないと平気で18000rpmまで回ってしまいます。
バイクに乗るという事は、この「エンジンの咆哮を楽しむ」という趣味なのですよ。

程なくして到着。
上総亀山駅ホームで佇むクネ太郎。
終点にも関わらず、本当に何もない無人駅。
駅前に商店はおろか、ジュースの自販機ひとつないし、猫一匹居ない。
需要が全くないのか、正午を挟んだ昼間の4時間は電車が一本もありません。

バス釣りだけは盛んなようで、ボート乗り場だけはやや活気がある。
あとは、亀山湖を主張するかのようにカメが多いw
40年は生きているであろうアカミミガメがあちこちで甲羅干しをしていました。

こんな所だったかな。
昔来た時は歩いてひと通り回った筈だけど、何も思い出さない。
たしか真冬に来たのだが、湖畔にテントまで張って野営をした筈なのだけど、それがどの入り江だったのかさえ思い出すことは無かった。
それくらい当時から寂れていて、思い出に残るようなトピックスが無かったという事なんだろうか。
恐るべし千葉の片田舎。
ヲレの記憶の追体験が、ここまで寂しい物で終わるのは余りにも不憫だとクネは思ったのだろう。
帰りしなにちょっと足を伸ばして「農溝の滝」というスポットに連れて行ってくれた。

インスタグラムなどで紹介されて、千葉で最もバズったであろう映えスポットである。

千葉には、軟らかい砂岩の山をくり抜いて通している農耕利水の用水路が沢山あり、特に珍しい物ではないのだが、アマチュアの写真家などが日差しや朝霧を利用して「こんな幻想的な所があるのか!」と思わせるようなフォトジェニックな写真をSNSに投稿するので、多くの人が訪れるようになった。

まぁ、何も知らないで来たら「おや」と思うかも知れないが、過大な期待をしてくると「え?ここの事なの??」となってしまうような程度の場所である。
野田さんのエッセイには亀山の自然の中で過ごした日々などが綴られており、その中には、雨の日はこういった用水路のトンネルの中で釣りをしたり、本を読んだり昼寝をして過ごしたという一文がある。
きっと、もっと分け入った場所にあるこんな用水路のトンネルでの日々だったのだろう、と思うと感慨が深かった。
それでも、少なくとも亀山湖の1000倍は人が訪れていて、土産物屋さんが出て駐車場に警備員まで居る。
たった一枚の写真が、何百億円も掛けて作られたダムなどの利水事業よりも効率の良い経済効果を生んだりするから不思議である。

もう気が済んだので、いつものコースに戻ってきた。
千葉県全体が少し山に入ると峠しかないような土地柄で、何よりも一般車の絶対量が圧倒的に少ないというという所がバイカーにとっての魅力である。
どこの県道を走ったって、奥多摩や道志みち、箱根などよりもしっかり走れるのである。
わざわざ人が訪れるような観光地が千葉の山あいには殆ど無いからである。
「走る」事の為に来る人しかいない。
休日の真昼間にも拘らず、
滞在している間、殆どの時間8割位(250㏄位であれば)のポテンシャルを出して走っていられる。
それが千葉であるw
ただ、本当の100%を出し切れるのは「いつもの」コースだけなので、どこをどう巡っても、最後はここを走って帰ろうみたいな感じになります。
これまでの8割9割爆走ツーリングでは何とかなっていたホネ子ちゃんの履きっ放しのタイヤ(F:2016 R:2018製)がそろそろ音を上げだします。
腰をずらして思い切った荷重移動を起こし、極力タイヤに頼らないライディングに切り替えますが、進入では二輪ともロックしてしまうし、立ち上がりで開けすぎてもリヤが付いてこないのが判ります。
コーナーを抜ける度にクネのバイクがジリジリ離れて行く。
これ以上寝かすんじゃ膝擦らないと倒れちゃうよ・・。
タイヤが去年よりも確実に食わなくなってる。
バリ山なんだけどね・・・流石に7年落ち9年落ちじゃ限界か。
ホーネットのリヤタイヤ高いからな・・・
通勤と爆走8割ツーリングぐらいならこのままでいいけど、峠エクストリームで勝負できないのは悔しいな。
バイクは初心者で腕が無いので、最低でもタイヤがしっかりしていないと怖いな。
転びたくないので、もう少しマージンが欲しいです。
どうしようかな・・・勿体ないけど、普段から距離乗らないので、残山で判断してたらあと3年とか使うようだし、それは違うかな。
大事な場面で面白くないのは、バイクに乗る意味の半分を無駄にしているような気がするので、本末転倒。
死にたくないですしね、
タイヤはしっかり替えようか。
真夏も乗れないですからね・・・今がいい時期