「コロナのクソッタレ!」と思いました。
ここでかよ!
しかし、強行で帰ろうとは思いませんでしたね。
実家は優しく受け入れてくれたでしょうが、親子含めて4人からが東京都から来たなどとなったら、ほんの数時間で狭い集落に知れ渡ることだろう。
田舎の情報の伝播速度はマッハの勢いである。
さすがに嫌がらせまではされないだろうけど、地方は封建的ですからね・・
ご実家に迷惑はかけられないよなぁ・・・。
そんな訳で、断腸の思いで妻の実家帰省は見送りまして(結構ギリギリまで悩みましたが)近場でのキャンプにとどめることに。
日にちがあるから二泊できるな!
なんて思いつつあちこちのキャンプ場に電話をかけまくるが、お盆休みに近県のメジャーな所での空きがある訳も無く、遠出もやむなしかと思っていましたが・・・
以前利用したことがある道志山塊のちょっとマイナーなキャンプ場に問い合わせると、区画のテントサイトは全て埋まっていますが、バンガローなら連泊でも空きがあるとの事で速攻で予約。
バンガローとは、最低限の簡易設備だけを有した宿泊施設で、キッチンや入浴設備はない。寝泊りだけすることが出来る小さい山小屋と言えばいいかな。
六畳間と小さめのバンガローですが、家族4人寝るには充分。
きれいなトイレと電気まであるというので、これは快適ですね。
家族キャンプにそれ程ストイックさは求めていないので、設営と撤収のラクさや、天候不順への不安のなさ、トイレの問題などキャンプに付きまとう煩わしい問題の殆どが一挙に解消されているバンガロー泊。
たまにはいいではないか。
それにしても凄まじい酷暑。
場所によっては気温40℃という恐るべき熱波である。

クルマを走らせれば、たちまち水温や油温が跳ね上がり、エンジンオイルなど110℃に届こうとしている。
街中を、時折混雑に巻き込まれながら普通に走っているだけである。
低速サーキットでまあまあ踏んでる時の針だよ・・。
路面に近い所は50℃くらいあるでしょうからね・・
バンパーやグリルから取り込む空気の温度が普段より20℃も30℃も高いわけだからしょうがないんだけど、普通に走るだけで危険に感じてしまうコンディションである。

山あいに入り標高が増してくると、段々計器類の針が下がってくる。
近県とは言え、道志山塊もなかなかの山奥です。
高原とまでは言いませんが、日中の気温でも10℃近く違います。
近場の避暑地として、みんながキャンプをしたがるのも判りますね。

現地到着。
キャンプ場までは結構な未舗装林道を上がっていくので、以前来た時には腹下を擦らないかとかなり気を使って走りましたが、GDBスプリングにしてからはそんな心配は皆無。
5センチ上がった車体で、砂埃をあげながらガシガシ登坂していきました。
今回はテントやタープの設営もないし、二泊なので中一日はゆっくり出来る。
週末一泊キャンプだと、どうしても移動に設営にと初日はあわただしく過ごしてくたびれてしまい、翌日もチェックアウトまでに撤収して道が混む前に帰ろうとなってしまう。
つくづくキャンプは二泊以上しないとだなぁ、と思うのだがなかなかね。

隣のバンガローに泊まっていた家族も、丁度ウチのような構成で7歳と5歳の男の子が居まして、子供たちはすぐに仲良くなってました。

一緒に花火したり追いかけっこしたり、静かなキャンプ場ではちょっとうるさかったかも知れないけれど、チビどもは早い時間に寝てしまうからね、少しくらいはいいでしょう。
その日にあったお友達と、まるで数年来の幼馴染かのようにふざけ合って、笑って、楽しそうにしてました。
子供ってのは誰とでもすぐ仲良くなるんだな。
右も左も、小さな子供がいるような家族ばかりでしたので、就寝も早かったですね・・夜9時で誰も起きていないw

みな寝静まったあと、しつこく飲みながら焚火を弄ったりしてましたが、ひとりで耽るようなもの想いも特にない。。
最近は飲むにしても何をするにしても、誰かと一緒でないと詰まらないな。
子供が出来てからは特に自己満足や自己完結に直結するような行為に意味を感じなくなってしまったので、一人で悦に浸るような事が無くなってしまった。
そんな時間は無くなってしまったという方が正しいか。
まぁ、一人でいろいろとやらないのは昔もそうなんだけど、どうせなら誰かと一緒に遊びたいって性格なんだね。
自分は、今はゲームなどもしない。
ファミコンを小4の時に自分の意志で辞めた位です。
どれだけ没入しても、どれだけ時間を投入してスキルアップしても、指先とテレビ画面の中だけの事・・・と思ったら、恐ろしいほどの逸失感があったんですよね。
だから、子供には買ってやったが、任天堂スイッチもやらないしスマホゲームもやらない。
別に食わず嫌いということでもなく、初めはちょっとやってみたりするのだが、すぐに飽きてやめてしまう(スマブラやマリオカートくらいはたまに子供とやってフルボッコにされているw)。
単純に詰まらないだけなのかも知れない。
アニメを見たり読書したりするのは好きだけど、2次元で満足できるのはパッシブな娯楽のみのことだけで、自分が何かをするのは現実の事でありたいのかも知れない。
「自分で何かをする」事より面白い事なんてないんだよね。
今は友達と遊ぶ時間なんて殆どないけれど、もう少し子供が大きくなって手が掛からなくなったら、また遊ぼうね・・みんな。

朝はレトルトのカレーとかパスタとかで簡便に済ませてゆっくり過ごす。
頑張る父さんなどは、いっぱい肉や野菜を持ってきて鍋とかスキレットでカッコイイ料理を作ったりするのだろうが、そんな面倒な事はしない。
料理をしっかりやろうとすると調味料や器具など、持参品がかなりの量になってしまって、GC8で成立するぎりぎりのコンパクトパッケージングが崩れてしまう。
頑張ってもせいぜいホットサンドか鉄板焼肉だなぁ。

場内を流れる小さな沢。
涼しい風とフィトンチッドに溢れている。
空気がうまいな。

こんな冷たい水に良く入るなぁ・・・と感心するが、子供にとってはそんなことは関係ないんだろうな。
水たまりがあれば入る、川があれば入る。
現代の子供達がどこかに置いてきてしまったような「子供らしさ」をこいつらはちゃんと持ってくれているようでヨカッタ。

楽しそうだなww
沢遊びでも涼しさは充分ですが、流石にちょっと物足りないかな?
と思い、少しクルマを走らせて本流へ。

道志川でもかなり上流域なので水がきれいですが、
水量は充分にあります。
淵になっていて深い所もありますが、透明度が高いので安心感がある。
うっかり水没してもすぐにサルベージ出来るな。
落ち込みの深い所から川幅が広くなり、
子供でも立てるような平瀬になるので遊ばせやすそう。

きれいな所だなぁ。

取り敢えず浅瀬でばちゃばちゃやらせながら、段階を踏んで水に入らせてみよう。

二人とも、水を怖がるという事はない。
毎年、事あるごとに川遊びに連れて行っているからね。
危ないから気を付けてね・・なんてお袋なんかにはよく言われる。
危ないのは百も承知だけどね、その危険の懐に飛び込んで手なずけるのが「遊び」の原点だからね・・・不謹慎と思われるかもしれないけれど、川遊びひとつ出来ないような子供にはなって欲しくない。
都会では危ないからあれはやっちゃダメ!ここには入っちゃダメ!
川や空き地はフェンスで遮られ、道路では遊ぶなと怒られる。
じゃあ、と公園で遊んでたって、ボール遊びやラジコンはダメ、自転車は乗り入れるな、大声を出すなと詰まらない規則やクレームでがんじがらめ。
そりゃあ、家に閉じこもってゲームしかやることがなくなるよな。
そんな馬鹿馬鹿しい世の中でも、ちゃんと自分の「遊び」を見つけて欲しいと思うのだ。
二次元に閉じ籠らなくたって、野山には面白い事や美しいものが沢山ある。
そういう事を、子供の頃のかけがえのない記憶の中に擦り込むことは大事だと思うのだ。

さて、今度はひとりで川の深い所に入って流され、自分で戻ってくる練習。

お、入った。

「おっ、ひとりでやれたじゃん」

別に教えてもいないけれど、足漕ぎがなかなかうまく、ある程度行きたい所へ行けるくらいにはコントロール出来ている。

下流の早瀬の前で待っているブラックウィドウみたいなのは妻。
スパッツにラッシュガードに腕カバーにつば広の帽子、歩くときには更に日傘が出てくる。
日焼けするのが嫌すぎて、最終的にあんな風になってしまうようだ・・・。

少し川から上がって休憩しよう。

小振りだけど甘い西瓜で良かった。
こいつら、少しでもイマイチだと思うと全然食べないからなぁ。
西瓜ってのは結構当たりは外れがあるから怖い。
因みに妻は全く食べないし、
全く泳げない。

今度は水中メガネを付けて。
「うおお!すげえ!」
川底が見えるという事に長男の「そう」が素直に感動すると、
「れん」がマジかよ・・という顔で覗き込んでいる。
こんな4歳のチビに自ら顔面を水没させるなど、非常にハードルの高い事だが、兄貴の背中に向けられた羨望と好奇心はその壁を乗り越える。

一瞬だが、眼鏡越しに水中を覗き込んだ「れん」。
「うおお!」
満面の笑みで長男と同じようなリアクションを取り、やってやった!というような嬉しそうな表情をしていた。
こうやって、些細ではあるが少しずつ色々な事を克服してゆく。
そうやって自分の自信に繋げていくのだ。
「もう一回やろうぜ!」
大人でも足が立たない淵から流れてきて、バチャバチャと早瀬の手前で岸に流れ着き、また陸に上がって上流から水に入る。
さすがにまだ目は離せないが、延々と繰り返している。
本当に楽しそう。

自分は五人兄弟の四人目で、
上に年の離れた異父兄弟と、下にも少し離れた妹がいたのが、物心ついたころには母子家庭だった事もあって、あまり親兄弟と遊んだ記憶がない。
こんな風に年の近い兄弟と、自然の中ではしゃいだ記憶というものがそもそもないので、共感こそないのだが非常に「健全」という気がする。
自分が小学生だった多感な頃など、世田谷の雑多な住宅街で育ったこともあって、美しい本当の自然というものに対して未だに耐性がない。
川の水がきれいだったり、単に山深かったり、平地では見られない動植物を見かけるだけで今でも感動してしまう。

僕が同じくらいの頃にこんな場所に連れてきてもらえてたら、狂気乱舞だったろうなぁ・・・
そう思うから、連れてくるのだ。
親として自分が彼らにしてやれることは、そう多くはないと思っている。
自分の居場所や自分の道は、結局自分でしか見つけられないからだ。
親が色々な力を駆使して道を引っ張ったって、そこに意志がなければ何にもならないし、乗せられているだけなら先々で必ず失敗する。
最も大切なのは、何が真実かを見失わない価値観と、
他者と共にあろうとする優しさだと思っている。
「正しさ」の訴求などでは決してない。
だからね、僕に出来るのはその根本になって欲しいと思うものを見せてやる事くらい。
この世界では何が美しくて何が尊いのか、
そこだけ間違わないでいてくれたら、あとの事は何だっていい。
自分で勝手に決めるだろうよ。
つまらないウンチクばかり詰め込んでYESとNOだけで判断していくような、東大生クイズ王みたいな奴にはなって欲しくない。
きちんとしたゴールドエクスペリエンスで物事を決めていって欲しい。
能書きでは生き残れない火事場をさらりと乗り切るような、
強くて優しい男になって欲しい。

日も傾き、唇を紫色にした二人がようやく川から上がってくる。
ガタガタ震えながらも、
楽しさの方が勝っているからこういう事になるんだな。
「そう」にはそろそろ泳ぎを教えてやろうかな。
僕も泳ぎは上手なのである。
水泳を習っていた訳じゃないんだけどね、
水中の生物があまりにも見た過ぎて、長じてからはひとりで足しげく川や海に通って一日中水の中に居た。
流れの強い川底にへばりついて珍しいハゼの仲間をずっと観察したり、
伊豆の磯に一日潜って死滅回遊魚と呼ばれる熱帯魚を見釣りしたりしていたから、まるで水中生物のようになってしまっていた。
溺れるという概念が全く無くなる程、海や川と一体になっていた時期があるのだ。
何を極めるのも、理屈は同じである。
危険と言われているその懐に飛び込んで、手なずけ、理解し、そのものになる。
決して闇雲な話ではなく、
やはり、理論的な理解と実践の繰り返しでしかない。
そこに強い好奇心があると、難しい理屈に頭を悩ませることなくセンスでその高い障壁をいとも簡単に乗り越え、自分の物にしてしまう。
幼ければ幼いほどその跳躍力は凄まじく、
大人が何年も掛かるような技術を数週間で身につけたりしてしまう。
やはり早い方がいいのだ。

涼しげな神社の木陰に待たせたGC8を迎えに行く。
猛暑日の続く夏季での運用は、クルマへの負担は想像以上に大きく、
油圧系統のトラブルが出やすかったりする。
オイルクーラー配管の見直しや、ブレーキやクラッチのハイドロリックシステムの更新を行っておいたので、トラブルなく安心して乗れましたね。

今となっては、見かける台数も極端に減ったGC8インプレッサ。
GD系すら見かけなくなり、走り始めの小僧のターゲットは最早GV/GR系である。
ついこの間買ったばかりで、普通に維持して乗っているだけなのに・・・
時の移ろいは速いものだと目を細めてしまう。
この手のマシンは、本気で走らせたらほんの数年であちこちガタガタになる。
たった一回のサーキット走行でも、エンジンマウントはブチ切れ、ハブからは異音が出る。
クルマってのはそもそもそういう物だ。
ノーメンテで何年も乗れないんだったら、新車乗ったって中古車乗ったって変わらんのだ。
ベースボディをしょっちゅう買い直すのが無駄である。
ボディの劣化を気にする人も居る、
競技車両なら、ボディのヤレなどが1/1000秒に響くこともあるだろうが、趣味や私用で乗り回すだけのクルマにそこまで要求する人はごく僅かだろう。
少なくとも自分は全く気にならない。
だから、エンジンや足回りなどの改修が現実的に可能な限り直してしまうので、クルマ自体を買い替えてしまうことがない。
確かに、20年も前のスバルを無計画に乗り回すことは難しい。
ただ、自分を直接知っている人なら判ると思うが、
自分くらいぶっきら棒な、いい加減な人間が、
ここだけはヤバいかなって所をたまにチョコチョコ直しているだけで乗り続けられているんだから、決して難しい事ではないと思う。
自分なんかよりもクルマが好きで、情熱も知識もあって、技術もあって・・・
なんて人は世の中には腐るほど居るんだろうから、
それでも、GCやGDや、あれだけ沢山走っていた往年の名車たちの在りし日が数を減らしていくのは、単純に飽きて捨てられてしまうんだと思う。
やはりみんな新しいものの方がいいんだよね。
まぁ、それが日本人なのかなとも思う。
所詮機械なので、愛着だけで無理して乗り続ける必要はないと思うが、
隅々まで理解が深まった機械は逆に安心して使えるという側面がある。
いつ頃何がダメになって、次は何をやったらいいかがかなり正確にマネージメント出来るようになるので古いからと言って不安はない。

単純に・・・
歳を取ってくると使い慣れたものの方が安心できるという事なのだろう。
小さな5ナンバーセダンなのでね、家族でキャンプに使うにはやや狭いのだけれど・・・夏だけでもキャリヤ付けてジェットバッグでも乗せればもう少し余裕が出来るかな?
来季はそんな検討もしてみよう。
今年はコロナ禍で大変だけれど、そのぶん子供達と過ごす時間が増えた。
出掛けなければ詰まらないという性分ではあったが、家で楽しく過ごす時間も色々工夫するようになった。
なるようになるな。
2020年の夏の終わり。
台風はヤバそうだけど、漸く朝晩は涼しくなってきたな。