
山形には漸く遅い春が訪れる。
米沢から見たらちょうど北側、
南陽市から長井、白鷹町にかけて、
多くの老桜が点在する地域があるんです。
最上川に沿って展開される古典桜の里。
「置賜(おきたま)さくら回廊」と言われています。
置賜は山形の県南内陸の古い呼び名。
いにしえの時代からの生き証人ともいうべき桜たち。
今年は彼らに逢う事が、春のメインイベントだったのです。
やっと休みが取れた旅の相棒と愛機ヴィッツ。
東北道を北上する片道400キロの旅路。
先ず最初に訪れた
「釜の越桜」といわれる樹齢800年のエドヒガン。
沢山の花見客の訪れる、有名な桜です。
崩れるはずだった天気も予定が倒れたようで、花霞ながら青空でした。
残雪の朝日連峰を背に堂々とそびえる大きな樹に、
しばし時間を忘れてしまいました。
釜の越桜から5分も歩くと、
「薬師桜」はあります。
1200年という幾星霜を越えてきたその幹は、ぼこぼことうねって
どっしりと構えていました。
県指定の天然記念物。
たくさんのツクシを横目に、次の桜の近くでお昼にしようと歩みを進めると、、
お墓の桜でしたか・・・。
それでも、お寺に一本だけ生える見事なエドヒガンはとても立派で、
お堂が小さく見えるようでした。
桜並木のある川沿いの土手で適当に買い込んだ弁当を平らげて、軽く休憩。
春の日差しと花吹雪のなかでうつらうつらと過ごしました。
午後の陽光のなか次に訪れたのが、学校跡地に植えられている
「山口奨学桜」
短命とされるソメイヨシノの100年の古木です。
別のところでは老桜として名を馳せそうですが、諸先輩方のなかではまだまだ若造なのかも知れません。
そしてこちらは、種まき桜とも称される
「十二の桜」
木が十二本あるという意味ではなくて、十二薬師堂があるというこの地から来ているらしい。
樹齢400年の古株から芽が出て再生した3代目が大木になっている。
桜が、田圃や畑に植えられる事が多いのは、
丁度田植えや播種する時期に桜が咲くからなんですね。
農耕のバロメーターなのです。
幹の内部は殆ど朽ち落ちて、皮だけで生きているという
「赤坂の薬師桜」
樹齢は970年。
その生命力には驚かされる。
お堂を護るように入口の斜面に生える
「子守り堂の桜」
これも1020年と言われている老木です。
友人と比べても、その大きさがわかるでしょう?
子守り堂から程近い所にある名もなき桜とヴィッツ。
花吹雪が風に舞い上がります。
何だろう・・・どこもかしこも絵になります。
初日の最後は、樹高16メートル・幹まわり6.8メートルの大桜
「殿入り桜」樹齢は680年。
その名の通り、藩主(お殿様)が立ち寄って花見をした言い伝えからついた名前だそうです。
朝日連山に沈む夕日。
桜の旅では初めての、宿を取った二日間の旅。
相棒のコウヘイとキャンプではない宿の宿泊というものはいつ位ぶりだろうか・・・
と考えてみたが、もう七、八年前に山梨の増富温泉での民宿が最後だった気がする。
あの頃も相棒のクルマで、NA6ユーノスロードスターだった。
僕の爆音のハチロクでは旅の趣が壊れるし、
燃費もユーノスのが圧倒的に良かったからね・・・。
そんなことを思い出しながら、一日目は終わる。
後編へ。
Posted at 2011/05/11 03:12:47 | |
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