
昨日は不肖の兄が入院したということで、茨城の病院まで行ってきた。
会うのは随分久しぶりな気がする。
父親が違う15も歳が離れた兄なので、もう50過ぎになるはずだ。
不肖の兄と書き出すのも色々あるからで、悪い人ではないけれど、兎に角だらしがないんだ。
気持ちが少し弱いところがあるんだな、仕事もあまり続かないし、お金のことで何度も親や兄弟に迷惑をかけてきた。
[頑張る]という気持ちが人より足りないところがあった。
只でさえ母子家庭で経済的に豊かではないのに、
親に散々迷惑をかけながら6浪もして大学に行ったのに、
それを何一つ仕事に活かすことはなかった。
住んでるアパートはゴミの山。
飲む打つ買う じゃないけれど、帰れば酔ってない時間の方が短いってくらい、安酒の缶をあちこちに転がしていて、趣味は競馬とパチンコと読書。
読書が趣味はいいことだと思ったが、書籍の啓蒙性が一切現実世界に生かされていない。
とにかく、だらしないを絵に書いたような人だった。
ほぼ絶縁状態で、家族が兄にわざわざ会うようなことは殆ど無かった。
そんな兄が体調不良で入院。
末期ガンだった。
食道に単を発した癌は全身を駆け巡り、手の施しようがない状態ということだった。
こんな風になるまでにはかなり時間を要したはずだし、前兆や細かい違和感はあったはずだけど、
ぎりぎりまで医者には掛からなかったようだ。
姉と二人で行ったのだけど、別室に呼ばれた時点で悟ってはいました。
ただ、持って数週間というのが、とにかく急な話です。
意外と冷静でいる自分が、なんだか薄情だと感じました。
昔は釣りに連れて行ってくれたり、優しい兄だった。
でも、あとの30年間はほぼ絶縁状態。
たまに母親や姉に小銭を無心しにくる程度の関係性でした。
悪い人ではないけれど、どうしようもない人だった。
全てに甘く、自分すら大事にしていない30年間。
怠惰と不摂生の末に。
どこかで判っていた結末でした。
告知を自分たちで済ませ、
残された時間が少ない事を告げると不思議とこみ上げるものがありました。
「何でこんな終わり方なんだよ・・・」
「なんだよ泣くなよ・・」
「もっとやらなきゃいけないことがあっただろうよ!」
「済まない・・・。」
姉もうつむいて涙を流し、何か言える感じではありませんでした。
年末年始に面倒は御免だから、もう少し頑張れよと釘を刺して帰りました。
「今日はありがとうな・・・」
抗がん剤で朦朧としているであろう中、
特に驚くふうでもなく、「やっぱりそうか」といった感じでした。
彼はなんでもっと人生に喜びを求めなかったんだろう。
何でもっと自分を大事にしなかったんだろう。
客観的には判らない彼なりの貫くべき道があったんだろうか。
今となっては何故もどうしても意味などないが、
やっぱり、大事にしないと取り上げられちゃうんだと思います。
残された時間で今の兄に出来ることの範囲で、決着をつけたいこともあるかも知れない。
なので、全て教えてあげた方がいいなと思ったんです。
正確な残り時間がどれだけあるか判らないけれど、
兄なりの生の尊厳を、確認できるチャンスになればいい。
みつかるだろうか・・・
みつけてくれるといい。
筑波って意外と遠くなかった
Posted at 2014/12/31 20:30:34 | |
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