
養老の・・・なんて言うと居酒屋を先に連想してしまうもんだけど、自分らが今回訪れたのは千葉県に実際にある渓谷。
居酒屋のモチーフは岐阜の「養老の滝」だけどね。
メジャーでもマイナーでもない独特のスポットである。
聞いたことはあるけど、実際に行ったことはない。
なんて人が殆どだと思う。
いつもの春の桜旅の相棒だが、
今期は舞台公演でなかなか自由にならず、今年は異例の早咲きだったこともあって桜を断念。
例年通りくらいだったら、東北にでも行けば丁度いいハズだったんだけどね・・・
ちょっとどっか行きたいな~という事で、前夜まで案を出し合って・・
ゴールデンウィークの最中、もっとも渋滞の影響が少なそうなアクアラインで千葉県へ行くことに。
木更津から一時間も走らないくらいの山の中に、突如現れる不思議空間
それが「養老渓谷」である。

道すがら、立派な御神木を抱える神社に足を止めてみる。
幹の太いケヤキであった。
樹齢数百年であろうか、左右に大きく張り出した梢が強い日差しを遮ってくれている。
暫しの静謐に時間が止まったようだった。
千葉ってのは不思議なところだ。
祖母の家が千葉市にあり、小さい頃によく連れて行ってもらったもので、ゆかりも深いのだけど、
一言で言うととっても田舎。
行けども行けども同じ風景で標高の高い山が殆どなく、小高い丘陵地がずっと内陸まで続いている。
郊外の里山と田んぼ・畑が延々とどこまでも続いているといった感じで、
山深いと言えば山深いんだけど、大自然といった趣はない。
どこまで行っても、「いや~、来たなぁ~」といった感慨は押し寄せてこない。
まぁ、DISってばかりのように聞こえるかも知れないけど、自分はこの風土がとても好きで、
等身大の郷土感みたいなものがとても気持ちがいいのだ。
ホタルにカエルにキリギリス。
みたいなね。
茂原にあるサーキットにもよく行ったもんだけど、行くまでの道のりが楽しかったりする。
「千葉」って感じなんだよなw

可愛らしい養老渓谷駅。
小湊鉄道ではやはりというか、suicaやPASMOなどは使えないみたいです。
今回も当然ヴィッツで来てるんだけど、電車で来たら遠いんだろうなぁ・・・
最近はやってないけど、鈍行でトコトコ行く旅も好きなんで、悪くないかもなぁ。
お座敷列車とかで駅弁とか食いながら旅したいな~。
旅館街の合間にあるキャンプ場の駐車場に駐めて、
2時間程度で廻れるというハイキングコースを散策してみることに。
いま思えば散歩コースといった感じかw

養老温泉があるということだったんだけど、温泉???
と少々疑問だったんだ。
それなりの山もないのに火山や温泉など出るものか。
湯けむりもうもうといったイメージは千葉には皆無ではないか。
湧水をチョロチョロながしている手洗い場のような所があって、それは確信に変わった。
薄い泥水のような茶色く濁った水が出ている。
「これは鉱泉だ。。。」
山梨の増冨だってちゃんと温泉とは言わず、鉱泉と謳っているではないか。
沸かしの鉱泉だってちゃんと効能はあるのだから、
正々堂々正直に勝負してもらいたいと、堅いことを思ってしまっただ い である。

とても天気が良かった。
真夏日と言える気候で、裸で川遊びをしている子供がたくさんいました。
川面が谷の深いところにあり、
川の流れも緩やかなこともあって波立ちが殆どない。
鏡のようになった水面に対岸の新緑が映り込みとても美しかった。
藤やヤマツツジが五月の日差しに映えている。

何だか独特の渓谷美であった。
普通であれば、深山幽谷に清冽な沢水が迸り、半袖では肌寒いような透き通った風が吹き抜けているのが渓谷のイメージであるが・・・
関東ローム層を侵食しながらゆっくり流れてくる溜池のかんがい用水には、鯉や小鮒がゆっくりたゆたい、新緑の広葉樹林の光る枝葉が水面に乱反射して汗ばむほどである。
ここは既に初夏であった。

不思議な形をした素掘りのトンネルを一瞥すると、ちょうど折り返しと言った感じで、山向こうをぐるりと回って帰ってくる塩梅だった。
そこから先は殆どが只の車道で、特に見所もなくハイキングコースと言った趣はない。
今となっては、同じ道を引き返すくらいがちょうど良かったように思う。
温泉街のハイキングコースを後にして、最大の見所といえる粟又の滝へ。
通称「養老大滝」である。
そして、異世界への入口はこんな所に存在した。

滝入口の門のような所があるんですが・・・何だかおかしい。
初めて来て足を止めない人は居ないんじゃないだろうか。

奇妙な手彫りの木像群
手彫りというよりも、流木の形状をそのまま生かした彫刻とでも言うのかな、
やたらとおっぱいを強調していたり、鮮やかに着色がなされていたり、薄気味の悪い艶めかしさの誇張にひたすら目を奪われる。。。
なんだかこわい。
これは一体何なんだろう・・・あまり見ていると毒気にやられそうです。

肝心の滝はこのていたらく・・・。
渇水期で溜池から水を流していないんだろうか。
書き入れ時なんだから、連休くらいダムから流せばいいのに・・・なんて余計な心配までしてしまいます。
やっぱり紅葉シーズンがメインなのかな~。

楓の大木が両岸にせり出している所を見ると、恐らく紅葉シーズンは壮観でしょうね。
きっと凄まじい人出でごった返しているのに違いありませんが、
真っ赤に染まる養老渓谷が、水鏡に燃え上がるように反射するのでしょう。
関東でも最も遅い11月下旬が紅葉の最盛期ということでした。

最後に相棒に撮ってもらった写真がきれいで、
リバーランズスルーイットみたいで何か良かったな。
そして帰り道、またまたちょっとした巨樹に寄り道。

「賀恵渕」のシイと言って、君津市の天然記念物です。
樹齢は5~600年というスダジイは、太く隆々横に伸び、独特の樹様を呈している。
見た瞬間に、
「ああ、神様なんだな。」そう納得せざるを得ない存在感がそこにはあった。
桜のオフシーズンは、こういった巨樹を巡って回るのもいいなと思ってしまいました。
魅惑の房総紀行