
KK3ヴィヴィオ、初年度登録が平成4年の富士重工業の軽自動車だ。
25年も前の軽自動車である。
元々は自分の職場の知り合いが乗っていたのを把握していて、クルマの買い替えの話を聞いてもっと親しい知り合いに斡旋、その人が手放す際にも更なるクルマ仲間に斡旋。
ポンさんの元に落ち着いたという訳だ。
FFでECVTなのが残念ではあるが、スーパーチャージャーなのが幸いして、
今時分としてはこのようなホットな足グルマは存在しないので、存命の権利を与えられている。
10年くらい前なら逆に捨てられていた可能性が高い。
ここ5年くらいの動向をずっとヲレが伺っていたお陰で、
今も車両番号標が与えられている訳だw
自分で乗る訳でもないのに、つまらぬお節介ではあるが・・・
貴重な資源が誰にも見出されることもなく、埋もれて消えていくのは何とも忍びない。。。
そんな風に考えてしまうのだ。
まぁ、何だかんだで結局触れる範囲にある
四半世紀ヴィヴィオ。
距離も8万キロ後半位で異様に乗ってないんだけど、流石にあちこち調子が悪いので本腰入れて直していくことになりました。
GCに乗ってるヲレが言うのもなんだけど・・・
そもそもヲレが中学生位の頃に作られた軽自動車で、修理というよりレストアの域に入ってきている改修内容に・・・ハッキリ言って外装もダサいし、内装もダサい。
ダッシュ上の
丸型アナログ時計何だよこれ・・・
同時期ならアルトワークスの方がずっとカッコイイなと思っていた訳ではありますが・・・
スーチャーの比類なき瞬発力と、4輪独立懸架装置に基づく車体の安定感。
これがヴィヴィオの代え難い魅力なのだという。

元々オイル漏れがひどく、タペットカバーやデスビのパッキンを交換し、切れているロアボールジョイントやタイロッドエンドのブーツを交換。
つい先日車検だけは継続してきたのだが、アクセル煽らないと
ヘッドランプの光量は足りないは、
フットブレーキは二回×(パッド交換以外はフルOH済)。
オマケに、ブーツ損傷の見逃しで
ビニールテープで誤魔化していた部分が下回り検査で発覚。
まぁ、これも予想はしていたので・・・
2段階で仕掛けていた策(罠)が発動し、検査は無事合格したのだが、それにしてもギリギリだったな・・・な車検。
次回車検までの課題としては、フロントブレーキのパッドとディスク交換。
オルタネーターの交換などが挙げられます。
車検の逸話はどうでもいいのだが、それでも止めど無くオイルが漏れてくる。
カムとクランクシール交換をやるまで完封はないだろう。
距離も距離なのでタイミングベルト交換と同時に実施することになりました。
普通はこの年式の軽自動車には実施されない作業である。
それは何故か。
車両の査定額を超えてしまうからである。
簡単に言うと、今売ったときの価格を修理代が超えてはいけないという判断基準である。
クルマも資産という考え方が根深い日本では、どうせ手放すクルマを直してもその分を回収できないという事なんだろう。
確かに査定額5万円のクルマに、
15万円分修理代掛けても20万円にはならないのが実際のところ。
ヲレに言わせれば何とも不思議な算定方法だと思ってしまう。
軽自動車も今や新車で買えば200万円の時代。
大卒の初任給が25年間で2万円も上がっていないのに、軽自動車は50万円近く高くなってしまった。
これだけ割高感半端ない軽自動車と比較してしまえば、
もう普通車の方が価格も安いし、ぶっちゃけ燃費もいいし広いしでいいことずくめなのに、
未だに自動車税が勿体無いとか言って200万円の軽自動車に乗りたがる。
小さくて小回りがきき、軽くて燃費のいい軽自動車のメリットは否定しない。
免許取り立てのウチの奥さんも、古いR2のバンパーを擦りながら乗っている。
だがそれは、安く仕入れて低予算で維持していけると踏んだからであって、金額を見ずにDで新車をポンと買うような真似はウチではしない。
簡単にウチのR2で計算したら20万で仕入れてナビやら色々付けて10万でも30万円。
ここから年間のメンテ費用を多めに計上して10万円で見込んだとして、
10年で130万円車検入れたら160万円てとこか。
頑張って15年乗ったら220万円位かな。
今の新車買ったら、乗り出しで同じくらいだろう。
新型車の魅力と燃費の良さ、税制の優遇措置を鑑みて何十年乗ったらこの差額を回収できるのか誰か説明して欲しい。
どこかで結果的にひっくり返るなら、すぐにでも新車を買おうと思いますw
実際は、安全面まで考慮すると軽自動車に乗って欲しくはないというのが本当だ。
軽自動車の規格目一杯のキャビンスペースで設計された外板は極限まで薄板化され樹脂化され、ノーズも短縮、乗り降りがし易いとか言ってBピラーのないモノコックすら存在する。
これでは、軽自動車が走る棺桶と揶揄されるのも致し方ないだろう。
燃費に関しても、小排気量だと燃費がいいという考え方は前時代的なもので、今の1000㏄~1500㏄クラスのレシプロエンジンの燃費性能には目を見張るものがある。
新型のヴィッツなどはハイブリッドなどを搭載してしまったためにリッター当たり34kmも走るそうだ。
ハイブリッド無しの1KR搭載モデルでもJC08でリッター24km。
軽自動車というのは、車格以外にも排気量の制限があり、シリンダー容積が660mlを超えてはならないとあります。

つまり、この排気量の範囲で一生懸命ターボ付けたり可変バルタイやバルブリフト(軽では本田だけ)を付けたりして頑張っているんだけど、絶対的な排気量の小ささはどうしても埋めきれないので、高回転まで回すことになる訳。
結局実用域がJC08モードなどとは大きく外れた所になるので、
普通車に混じってブンブン走ってると平気でリッター10kmとかになるのが軽自動車。
新しいクルマはどんどん重くなってるので新型車のそれは尚更の事だろう。
クルマというのは排気量が大きいほど、カタログ燃費に近い走りをする傾向がある。
トルクがあって回さなくてもいいからだろうね、低回転で走れるから結果的に燃費がいい。
つまり何が言いたいのかと言うと・・・
家計を考えて軽自動車を選ぶなら、相当安く仕入れて長く乗る積りでないと、軽に乗ることによる税制の優遇は効果を発揮しないという事と、最早燃費性能や車両価格なども上のクラスと逆転しているんだよ、という話。(軽の税金も上がってきているしね・・・)
因みにS660のようなスポーツカーは費用度外視だろうからこの図式には当て嵌まらないだろう。
・・話が大きく逸れた様で実は逸れてないのだが、
こんな25年も前のヴィヴィオを何で直してまで乗るかって話ですが、車両価値が5万だ10万だと半ばバカにした訳だけど、実勢価格はこれからどんどん上がっていくと思われている。
実際MTのヴィヴィオに関しては60万とか70万で取引されている事例がある。
見方を変えれば、MT化して構変取れば一気に回収できるポテンシャルがあるのだw
まぁ、このオーナーはそんな無粋な損得勘定でクルマを買う男ではないので、
ただ気に入ったクルマをずっと維持して乗っていきたいだけなんだろう。
能書きはこのくらいにして作業内容です。
タイミングベルト交換なので、右前のタイヤは外してクランクプーリーアクセス用のメクラを出します。

恐らく、ヲレが中学校で授業を受けてる最中に締められたであろうクランクプーリーのボルトは、
インパクトではビクともせず、セルクランキングによって撃破。

エアクリーナーとドッキング構造の面倒なスロットルボディーをうまい事バルクヘッド側に逃がし、漸く作業スペースを確保。
寝る前のわずかな時間、寒い中でやっているので早くも帰りたくなっています・・・

補器類ベルトも特殊な取り回しのアイドラーブラケットASSYを取り外して漸く撤去。
一回やってるから判るけれど、初めて見たら悩むような構造だよ。

カバーを外して中を見ると案の定ドロドロの状態。
オイルだけでなく水も漏れている雰囲気。
こういうものは距離よりも年月で管理すべきではないかなぁ・・・と思います。
でも最上位モデルのRX-Rとかは、タイミングベルト交換を車検2回毎に交換とメーカーの指示があるようです。(それはそれで頻繁だなぁ・・・)

カムとクランクの1番気筒圧縮上死点の合いマーク。
クランク側が判りづらいですが、エンジン側の12分くらいの位置に突起がありますので、そことスプロケの丸印を合わせます。
同時に、カム側は正午の位置で背板の切り欠きと丸印が合っていればOK。
これらを合わせてから分解すれば組む時に楽なのです。

LLCを交換されない時代があったんだろうね・・・
痛々しく錆びているウォーターポンプ。
羽根の形状も見るからに古臭い感じがします。

取り外しに手こずったカムとクランクのシール。
カッチカチやぞ。
これじゃオイル止まらないわ・・・
取り敢えずバラすものをバラしたので、この日は就寝。。。

翌日早くからやろうかと思ったけど、子供の面倒とか見ながら家の事をやっていると自然と午後に・・・
3歳と1歳の男の子が家にいるという事は実はとんでもないことで、
その所業は凄まじく、言い方は悪いが悪魔を飼育しているようなものである。
可愛くてかわいくてと・・・幸せを運んでくる天使なのは間違いないと思うんだけど・・・
部屋なんかヲレがきれいに方付けても15分で大地震か空き巣にあったのではないかと思われるほど荒らされてしまうのだ。
流石に神経質を絵に描いたようなウチの奥さん一人で、二人見るのは厳しいのが現状。
普段は保育園だからね、実は日曜日が一番大変なのかも知れない。
そんな、家での仕事を一段落させてからのタイミングベルト組み付け。

ほぼほぼ社外品で揃ってしまうタイミングベルトセット。
ていうか全部かw
オイルシールは勿論、ウォーターポンプも絶対交換しましょう。
今回は補器類ベルトやハイテンションコード、スパークプラグも交換します。
もう完調の匂いしかしないw

ウォーターポンプも元がここまでボロいと交換が気持ちがいいですね。
ただ、交換は実は結構厄介で、とても手が入らないような位置で細いホースが一本接続されています。
ネジを全部取ったのになかなか外れてこないのでおかしいと思ったんだよ。

オルタとACコンプレッサーのブラケットの間だもんな・・・
外すのはなんとか無理やり引っ張り出してクランプを緩められたけど・・・
組めるか?これwww
こんな狭い所で先曲がりのプライヤーか何かでクランプを緩めたまま、ホースをニップルの根元まで押し込めるかどうかって話で・・・
おっしゃ組めたw
もう終わったようなもんだ!
何通りか試したけど正攻法で組めそうもなかったので、漏れ留めも兼ねてニップルに液ガスを塗布してぬるぬるにし、クランプを緩めることなく無理やり押し込みました。
ホースが5センチ位と短いのが幸いしましたね。

あとは、逆の手順でベルトを組み付けていき、プラグとプラグコードを交換。
これでうがいと水漏れ確認がてら、ただの水で暖機運転。
電動ファンが作動するまでアイドリングしてみます。
勿論エンジンは一発始動!

暖機している間にグズグズのスタビブッシュも全交換し、車検で指摘されたジョイントブーツも交換。
水漏れもオイル漏れも一切なかったので、新しいLLCを若干濃いめで作って入れ替え。
排出したうがいの水も凄い汚かったです。

絶好調になったEN07Z型エンジン。
空ぶかしでもヒュンヒュンといい音で回ります。
クルマの返却がてら上の子を乗せてブンブンしながら走ったりしましたが、
改めて思ったのは・・・
このクルマ速い!
ってこと。
これはヤバイね~。
久々に完調のビビオ乗ったけど速い速い。
スタビブッシュ換えたおかげでステアがちょっとカチッとしたこともあり、山陰の峠っぽい所で小刻みに切り返していくところでもツンツン向きを変えてくれるし、リヤがバタバタ跳ねない割に、粘り過ぎてアンダーって感じでもない、ホイールベースが丁度いいんだろうね。
スーチャーだから立ち遅れがないのでこういう狭い所は無敵っぽいな・・・
と思ったら、バイパスみたいな高速っぽい所でも余裕でメーター振り切るハイパワー。
トルクバンドがCVTの守備範囲と合っていて抜けてる所を感じなかったな。
うーむ、これは楽しいかも。
・・・これは確かに内装ダサくても手放さないかw
久々にヴィヴィオの凄さを思い知った修理でした。
そしてその疲れからかインフルエンザ罹患・・・子供二人が罹ってたら逃げられないか。