整備手帳にて既報の通り、Technixにて実施頂きました。
2年10ヶ月で34,000kmのマイTRACER、明らかにサスがヘタってきていたので、
前回のブログの通り乗り換えも検討していましたが、乗り換え候補が無いという結論になったので、テコ入れすることにしました。
TRACERを購入したショップさんがTechnixと懇意なようで、導入実績多数、自信をもっておススメ頂きました。
偶然それがインストールされたXSRがあって、「押し引きしてもらったら違いが分かるのでどうぞ」と言われたけど、スタッフが運んでくるのを見るだけで違いが分かっちゃいましたw
押し込むスピードの3倍ぐらい戻るスピードが遅い…!あんなサスペンションは初めて見ました。有難くも試乗もさせてもらったのですが、見た目よりはエキセントリックな挙動ではなく、「しっとりしてるな」程度の感想に過ぎませんでした。
いずれにせよ、全ての機構に慣れ親しんで熟知している個体が、サスペンションだけのリニューアルでどのような変化をするのかを知る(純粋にサスペンションだけについて体感をもって学べる)のはまたとないチャンスだと思い、それなりの費用は掛かりますが決断しました。
ステッカーが大きすぎてちょっと恥ずかしい…w
仕上がってまずビビッたのは、ストロークセンサーが入れられていて、なんか試されている感じが…(笑)
実走した瞬間にニヤけました。
普通の交差点の左折やUターンの際に、細かな挙動が抑えられていて安心感がかなり増しています。
さて、ワインディングに到着しダンパーセッティングに入ります。
まずは出荷時のセッティングのまま試します。フロントは伸び圧共に最弱の1段階から最強の24段階まであり、リヤは伸びのみ同じく24段階。推奨セットとしてワインディングとストリートの2種がありましたが、それぞれ1~2段の差しかなく、僕にとっては誤差範囲。確か20段ぐらいが出荷時セットでした。
サスペンションの伸縮において、初期は早くて終期でゆっくり、そんなプログレッシブな特性がとても素晴らしいのですが、速度域が上がってギャップに遭遇すると、一瞬宙に浮くような離陸感があって怖さが出てきます。サーキットのような平滑路面だと前後ピッチングスピードの抑制としては良いのでしょうが、ギャップや大きなアンジュレーション満載の公道路面だと不向き。
(でも、サスペンションのプロがこのセッティングを推奨しているのだから、おそらく僕の乗り方や感じ方、趣向性が間違っているのだと思われます)
一度全抜きにするとギャップ吸収は良好なんですが今度はピッチングコントロールに難が出てきたり、通常巡行時の何でもないアクセルオンオフでのピッチングが大きくなって疲労に繋がったりと、バランスが悪くなりました。
2段階→5段階と試してみて、最終的に3段階でベストバランスに。
つまり、ワインディングセットなのに24段階あるうちの3段階しか締めていないユルユルセッティングになったのです。
そして逆に、ワインディングへの行き帰りのストリートセットの方が、15段締めるカッチリセッティングに…ww。
ギャップ吸収は比較的悪化するけど、速度調整のピッチングをほぼ出さない方向。そもそもの基本特性がプログレッシブなのでアタリはそれなりに柔らかくて、奥の方ででギュウゥッとストロークを抑え込んでくれる。疲労も少なくかつすごく気持ちいい乗り心地です。
ギャップの初期入力吸収と最後の収束のさせ方が、本質的にはトレードオフなはずです。ギャップの初期入力吸収を良くしようとすれば緩めないといけない、最後の収束を良くしようとすれば締めないといけないので、セッティングとしては真反対。
そこを両立させられる基本特性が何よりも素晴らしいと評価します。
尚、リヤについてはフロントの調整と概ね同調させました。オーバーホールのみだったにもかかわらず、謹製フォークオイルのお陰かこれまた素晴らしい特性。
この先の課題としては、「公道ワインディングで前後サスに求められる要素を分解して、どうしてもトレードオフになる部分については操作によってコントロールして解消する」ことです。
例えば、それなりに締めたセットで、マンホールなどが直前にありトレイルブレーキをリリースする必要があってバンクした後に、更に凹があったら、サスに早く伸びて凹に追従してほしいけど早く伸びない訳です。そこはブレーキで与えたフロント荷重によって自ら押し付ける、とか。
僕の場合は緩いセットでハイスピードステージに入るので、サスの伸びスピードが速くて困る状況があります。Rの大きなコーナーのバンキングですね。ここもブレーキリリースのスピードをゆっくりにすることでサスの伸びスピードをコントロールしたい。
★疑問★
「ダンパーはストロークスピードを調整する機構であり、ストローク量は緩めても締めても変化しない」というのが定説ですが、今回DAYTONAではなくバネレートが低いTRACERでセッティングドリルを熟しているうちに、そうではなく「変化する」と思いました。
その定説は、ダンパーの機構を原理的に理解するというか、誤解なく機能について理解させるための説なんじゃないかと。
ダンパー内をオイルが通過する際に、締めるとシムによる抵抗が高まりストロークスピードを落とします。「抵抗が発生する」ということは、慣性力はそこで減衰されるわけで、ならばストロークトラベルも減ると考えるのが普通では?確かに、長い時間かけて荷重すれば、ストロークトラベルは同じに行き着くでしょうが。
自分の体感的にはどうしてもそうなので、個人的にはそう理解することにしました。
昔、初対面で最初の会話が、「いや~あのねぇ~、やりましたよ!フォトシートでダストシール(SKF)の隙間にスィーっと〇△×・・・(以下理解不能)」で、そのブッ飛びぶりに目を丸めつつ細めた微笑ましいコンフェイトさんの記憶が、このSKFの代名詞のカラーを見ると蘇ります(笑)
嗚呼、これから休日の前夜は毎回、ALPINAでドライブに行くかTRACERでツーリングに行くか、選ぶに選べない嬉しい悩みに悶々とするのだろう…w
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TRACER900-GT | 日記
Posted at
2022/11/02 21:25:20