大英帝国の地図に北方四島「日本領」

安政2年（1855年）12月21日、日本とロシアの間で日露和親条約が結ばれた。

樺太の領有は曖昧なままだが、この条約により、日本とロシアの国境を択捉島と得撫（ウルップ）島の間と定めた。

それよりだいぶ前の１８１１年、当時の覇権国「大英帝国」の公式文書である地図に北方領土が日本領であることが示されていた。


▼英国の地理学者兼地図製作者、アーロン・アロースミスが１８１１年に作成した「日本、クリル（千島）列島」。択捉島以南の北方四島が北海道と同じ青色で日本領とされている（英国立公文書館所蔵、岡部伸撮影）


▼英ビクトリア女王付き地理学者ジェームズ・ワイルドが１８４０年作成の「日本、クリル（千島）列島」地図。得撫島までが北海道と同じ赤色で描かれ、北方四島と得撫島までが日本領とされている（英国立公文書館所蔵、岡部伸撮影）


伊能忠敬の大日本沿海輿地全図（だいにほんえんかいよちぜんず）に比べて精度が低く、北海道の形が悪いが、明らかに北方領土は日本領であることを示している。

▼大日本沿海輿地全図


その後の明治8年（1875年）日露間で樺太・千島交換条約が結ばれ、日本は樺太を放棄し、千島列島全域を領土とした。

だが、ロシアは、敗戦後の日本の主権が回復したサンフランシスコ平和条約で、日本は千島列島を放棄したと主張し、現在まで占拠を続けている。当時のソ連が、米軍が駐留することに反対して署名しなかったにもかかわらずである。

４月１９日

日露和親条約以前から北方４島日本領　「大英帝国」作成地図で明示

５月１４日

【一筆多論】岡部伸

四島は日本固有の領土だ　

これは、日露和親条約以前から日本領であった証拠となり得る。
明らかに日本の領土であることは明白で、ロシアも否定はしていない。だが、ロシアにしてみれば、証拠があろうとなかろうとあまり関係はないようだ。

第二次大戦の終戦日を勝手に解釈し、「第二次世界大戦の結果ロシア領となった」と言っているのだ。
終戦前の日ソ中立条約を一方的に破って参戦したことや、日本の降伏後に北方領土に侵攻してきたことを考えると到底受け入れられるものではないが、ロシアはそう主張している。

先般、丸山穂高衆院議員が、戦争による北方領土返還を元島民に質問したとして日本維新の会から除名された。確かに、この発言はロシアに利用されるし、ロシアの主張が正しいと裏付けてしまう恐れのある不用意な発言だと思う。
元々酒癖が悪く、気が大きくなってしまうタイプのようだが、実際にはど正論でもある。

日露首脳会談を重ね領土交渉が進捗する一方で、ロシアは北方領土の実効支配を強める動きもしている。
返してもいいと思っているのはプーチン大統領一人だけというきらいがあるが、
＞＞３人に２人「旧ソ連時代に郷愁」
で述べたように、最新の調査で、プーチン政権に不満があり共産主義思想のソ連時代を懐かしむ国民が7割を超えたという。

ただし、クリミアの件で経済制裁を受けるロシアは金がない。
＞＞北方領土交渉～ラブロフ発言を読み解く

ロシアにしてみれば、例え火事場泥棒で得た領土であっても減らしたくはなく、うまいこと言って経済援助を引き出すだけで済まそうと考えているはずだ。
現在は歯舞・色丹の二島返還の方向で進んでいるような、いないようなはっきりしない状況だ。老獪なロシア外交に翻弄されないようにお願いしたい。