重大少年事件全記録廃棄 最高裁「不適切対応」を陳謝

平成９年に起きた神戸連続児童殺傷事件にピンと来なくても、「酒鬼薔薇聖斗」といえばすぐに思い出すだろう。

日本の犯罪史上凶悪な事件はほかにもあるが、中学３年生の少年が、人殺しだけにとどまらず、切断した頭部の口に犯行声明をはさみ自分の通う学校の正門に置くという猟奇的行動に世間は絶句した。

のちに、切断したご遺体で興奮し射精したことも明らかになるなど、常人には理解しがたい事件だ。

こんな特異な事件の裁判記録にあっては、特別な手続きを経ることなく当然に永久保存されるものというのが一般人の感覚であろう。

しかしだ。
昨年１０月、神戸家裁が「酒鬼薔薇事件」の全記録を廃棄していたことが明らかになった。

１０月２２日（令和４年）

主張
神戸家裁の不祥事　重大事件を闇に葬るのか

信じがたいことに、神戸家裁以外の家裁も重大事件の記録を捨てており、しかも廃棄理由を「不明」とか「調査中」としており、調査はしない方針と報じられていた。
いやいや、司法の浮世離れぶりは我々の想像が及ばない。

５月２４日

▼２２面
裁判所の記録廃棄「事実関係の解明を」神戸連続児童殺傷26年　土師淳君の父インタビュー
加害男性「問いに答えて」神戸連続児童殺傷26年、土師守さん手記全文

事件記録の廃棄問題　最高裁の有識者委が報告書案了承　近く公表へ

加害男性からは１６年以降、弁護士を通じて命日を前に毎年手紙が届いていたが、２９年を最後に途絶え、今年も届かなかった

本件を受けて少年法が改正されることとなったものの、加害者は既に娑婆に出てののうのうと暮らしているわけだ。結局、被害者並びに遺族に寄り添う法改正はなされていない。

５月２６日

▼２面
主張
裁判記録の廃棄　最高裁は「漫然」の一掃を

少年事件の捜査書類や審判記録は少年が２６歳になるまで保存すると規定。社会の耳目を集めたものなどについては事実上の永久保存に当たる「特別保存」とするよう定めている

にもかかわらず、

わけで、やはり、

▼３面
裁判記録の保存・廃棄、最高裁が報告書


▼２４面
非公開でも「共有財産」意識欠く　最高裁の記録廃棄

土師守さん「遺族への配慮 精査し検討」　最高裁の調査報告書公表でコメント

加害少年の更生をないがしろにするつもりはないが、中坊でこれだけの凶悪犯罪を引き起こす野郎が更生するだろうか。

何の罪もない子供が殺され、辱めを受け、己の欲求のため無残な姿で晒された。遺族は何年経ってもこの事実を忘れ去ることなどできるはずがない。そして、犯人に敵討ちしたくとも我が国では復讐が合法ではないので、国に処遇を委ねるしかないのだ。

この先は、裁判所も廃棄処理は慎重になるだろうが、くれぐれも遺族感情を逆なですることがないよう配慮して欲しいと願う。

まぁ、お隣の国みたいに「国民情緒法」を優先するのも困るけどね。