この日はインサイトでいつものテストコースを走行しました。本来はいつもの友人と私の会社の人を交え、交互に乗って比較をするところだったのですが、欠席者がいた関係で、当社の人もう一人と私とで、二台で行きました。スケジュールは以下の通りです。
午前8時 レンタカー店を出発
午前9時ごろ 守谷サービスエリアで待ち合わせ、出発
午前11時ごろ いわき勿来インターチェンジ着
午後0時ごろ 白河市街
午後1時ごろ 289号線に出来たトンネルを抜けたところの道の駅(?)で食事
午後2時ごろ 尾瀬の北側着
午後3時ごろ 小出インターチェンジ付近
午後5時半ごろ 津南
午後7時ごろ 志賀高原
午後8時ごろ 草津温泉
午後10時ごろ 草津温泉発
午前1時ごろ 自宅着
今回は二台二名という初めての体制で、問題が発生しました。まず、それぞれに「ペース」があり、それに双方があわせなければならないので、非常に疲れを感じたこと、それから燃料残量と相互の確認等のずれから、草津でインサイトが燃料切れ(実際には、残量警告灯が点灯し、残り走行距離が16kmになった)になり、中之条まで燃料を買いに行ったことです。もしかしたらそんなことをせずに中の上まで到着できたのかもしれませんが、途中でエンストしてもねえ。そんなわけで、ちょっと後味が悪い試験走行となってしまいました。なお、次回以降は2名なら1台にします。
参照記事
アクセラ試乗
プリウスGグレードを調べる
プリウス試乗
フィット試乗
シビックハイブリッド試乗
インサイトについて
エンジン
シビックハイブリッドで試した、LDA 1300cc SOHC気筒休止VTECです。ただし、シビックにはある「高速VTECモード」が、この車のエンジンにはありません。印象としては、やはり昨年乗ったフィットのL13Aに近いもので、低回転域ではややざらついた感じがして、高回転になると気にならなくなるというものです。この車ではモーターはアシストしてもタカが知れている(?)のですが、それでもフィットよりは力強い感じがしました。ホンダの最近のエンジンは官能的な回り方はしませんが、それでも他社のエンジンに比べると良く回ります。問題は、回ったときの印象が安っぽいというところかなあ。軽快といえば軽快ですが、「ウニョー」という感じの音がどうも気持ちよくありません。
トランスミッション
ホンダとしてはトラブルが多くてやめたいはずだけど、構造上ハイブリッド車ではやめられない「電子制御油圧多板クラッチ式CVT」です。このフルードは無交換というわけにはいかなくて、ユーザー向けにメーター内に交換時期をお知らせする表示」を設けたとのことです。車自体はまだそれほど走行していないものでしたので表示もなければ不快なクラッチ接続時のジャダもありませんでした。ただ、一般的なトルクコンバーターに慣れてしまっていると、減速時にクリープ力が弱くなるため、目標よりも手前で停車しそうになってしまいます。なお、発進時はモーターがアシストをするため、いかにもトルクコンバーターが付いているかのような発進が可能です。
変速スケジュール自体は概ね適切でした。走った印象はハイブリッド車というよりは、全くのCVT車といえます。
乗り心地
フィットで感じた、自分の尻でショックを吸収するような感じは薄らぎました。とはいうものの、それでも良い乗り心地とはいえません。軽快なハンドリングではありますが、やはり尻が痛くなってきます。
操縦性
非常に軽快で、楽しい部類であると思います。シビックハイブリッドはノーズの重さを、フィットは重心の高さを感じましたが、そのどちらもありません。シビックハイブリッドとは、基本的にシステムが一緒のはずなんだけどなあ???
ブレーキ
真空式のサーボであり、回生ブレーキとの強調はしないことになっています。しかし、回生時間が長くなるようにブレーキペダルを踏みつつもダラダラと減速するよりは、ある程度「キュー」っとペダルを踏んだ方が回生メーターの振り具合が良くなります。かといってブレーキが利きすぎるかというと、そういうこともありません。実際には、回生電流と時間の掛け算をしないとわかりませんが、ダラダラ減速は回生動力が少ないように感じました。
普通の摩擦ブレーキ自体は可もなく不可もなく、というところです。
ボデー
しっかりしています。プリウスの15インチタイヤ仕様で感じる「リヤが突起を乗り越えたときのブルブル感」は、同じサイズ(?)のタイヤを履くこの車にはありません。リヤのしっかり感は秀逸ですね。ただ、このAピラーの位置には、最後までなれることが出来ませんでした。山道を走ると、ちょうど自分の行き先がこのピラー隠れ、運転しづらいのです。斜め後ろの視界は、良いとは思えませでした。後方視界は、プリウスと同等か、それよりやや劣る程度です。
クーラー
この車のクーラーコンプレッサーはエンジン駆動であり、アイドルストップ時は作動しません。メーカーいわく、エバポレーターが冷えているからこれでも十分とのことですが、実際には生ぬるい風が出てきて、良い気持ちはしません。十分というのは、「室内が暑くならない」という話で、スポットクーラー的な位置づけでもあるカーエアコンでは、不快を感じることがあります。
ハイブリッドシステムについて
モーターはエンジンのアシストであるという、ホンダ方式のパラレルハイブリッドです。シビックハイブリッドが144Vであったのに対し、こちらは100Vに下がっています。数値上はシビックに劣りますが、より積極的にモーター走行にしようと努力するようになっています。従来が時速40kmからのアクセル踏み直し時だけに限られていましたが、時速100kmでのアクセル踏み直しでも、一瞬モーター走行をしようと努力しています。
また、シビックハイブリッドのときは下り坂で回生ブレーキが止まり、摩擦ブレーキがやけ気味になることがありましたが、この車ではそれを感じさせません。
なお、一定速度で走行中に、なぜか発電が始まることがあります。その際に結構エンジン出力を使いますので、走りが鈍くなります。シビックハイブリッドでは見られなかった状況ですね。
室内について
うーん、安っぽい。フィットとほぼ同等かなあ??180万円台でアリオンが買えることを考えると、この内装はさびしいなあ。私は体に触れるところに気になる点がある車は、いつまでもそのことが気になってしまうたちなので、この内装はちょっと買えません。
まとめとプリウスとの比較
燃費は次の通りです。
総走行距離 735km 使用した燃料 50リットル 735÷50=14.7km/リットル
まあ、もう一人のドライバーが、先日の友人以上にアクセルを踏む人だったのでこういう成績になったのでしょう。私一人なら、17kmは走れたと思います。
プリウスからこの車に乗り換えると、まず感じるのが「軽快」であることです。アクセルを踏んだときの走り出しも軽ければ、ステアリングを操作したときの向きの変わりも速いです。踏み込んでいけば確かにプリウスのほうが速くなるのですが、低中速ではこの車の方が速さと軽快さで勝ります。ボデーのしっかり感はほぼ同等かなあ?やはりこの車は、ガソリンエンジンのCVT車が基本なんですね。プリウスは、電気自動車が基本にあるシリーズハイブリッド的な性格を強めています。乗って気持ちが良いのはインサイトですが、乗り続けるとちょっと疲れ(?)を感じます。いつでもコーナーを攻めるわけではなく、ゆったり乗りたいこともありますからねえ。燃費の上でも、インサイトはプリウスにかないません。そんなわけで、走りが良くないと気持ちが悪くて仕方がない人はインサイトを、燃費がよければ走らなくても良いとまでいえる人はプリウスを選ぶと良いでしょう。ただ、どちらの車も内装が安っぽいこと、プリウスのLは乗り心地が悪いことなどは、しっかり試乗をして後悔がないようにしてください。
私としては、この2日後に試乗したアクセラの乗り心地が非常に良く感じられて、この二台の印象がかすんでしまいました。気分が良くない走行時間が続くのは、職業ドライバーではありませんので、いくら燃費が良くても絶えられません。もし使える燃料が「配給制」になったとしたら、プリウスやインサイトで目いっぱい走るよりも、満足感が高い印象の車を少しだけ乗りたいと思います。
追記
注意!
ガソリンタンクの容量は40リットルです。燃料警告灯が点灯した時点で15リットルを補給すると、針は中ほどを示しました。そこから走行し、35リットルを給油した時点での針の位置は、下から1/4でした。したがって、1/4を下回ると急速に針が落ちていくことになります。給油は1/4時点で行わなければ危険です。
Posted at 2009/09/22 23:13:16 | |
トラックバック(0) |
試乗 | クルマ