このタイトルでネット検索するとカメラが黒いのは何故か?とかたくさんヒットします。これなんか良くまとまっているのですがここでは金属ボディのカメラ、つまり1970年代後半より前のクラシックカメラに限定したいと思います。
その前に報告。
黒い
コルゲンコーワは修理に旅立つことになりました。本当にきれいなボディと作りの良さからは、戻ってきたらお気に入りのカメラになることは間違いないでしょう。
さて、
1)被写体への映り込みや照り返しを避ける2)撮影している姿が目立たないこと、この2点により昔からプロの現場では黒いカメラが好まれていた。という事実はあるようです。ただ、古い文献をたどってみると大昔(60年以上前)は新聞社への一括納入などでカタログには明記されていなかったり、値段も明示されていなかったようです。
かつて持っていた不動のPentax K(King)黒仕様。1958年発売。ガラケーの写真で不鮮明ですが、ほかにはミランダTやらペトリペンタ、もちろんNikonにもあったようです。しかし市場のほとんどのカメラはクロームメッキの銀仕様のみでありました。
次に少し古い文献を探してみました。
1)1968年Japan Camera Show
2)1970年9月号アサヒカメラ
3)1971年Japan Camera Show
この三冊を見ると興味深いことがわかります。
まずは1)1968年のJapan Camera Showから
コーワの製品紹介から。この3台はこの後すぐ3台とも黒仕様のカメラが売り出されますが1968年の時点ではどこにもこういう記述はありません。
この年の全社の製品紹介で「黒仕様があります」と明記したのはCanonの2台と中判のゼンザブロニカのみであります。(一番下の行に小さく書いてあります)
これが1970年のアサヒカメラになると約半数の広告に「ブラック仕様は1500円高」等の記述がみられるようになります。Nikonにはまだ見られません
そして1971年には、ほぼ総ての一眼レフカメラにブラックボディが用意されるようになります。Nikonも含めて。この年には
一般客が希望すれば誰でも黒いカメラを売ってもらえる状態になったわけです。
以上から大阪万博前後に状況が劇的に変化した、一気に流行ったことがわかります。背景にはアマチュアカメラマンのプロへの憧れ、「プロみたいでかっこいいじゃない!」的な心理をメーカーが販売促進に利用したのではないか、と。さらにこういうことを戦略的に仕掛けたのは(推測ですが)Canonではないか?なんてね。
1971年発売のF-1には銀ボディはありませんでした。ただ試作段階では存在したそうです。
金属製のブラックボディは使っているうちに角のペイントが薄くなり、地肌の真鍮の金色が見えてきます。これが履き古したジーンズのようで格好いい!などという副次効果もあるようです。
ここに挙げた黒いカメラ群についてはPentax K以外は「本当のプロ仕様ではない」ということが言えるかもしれませんが、まぁ、今となっては目くじらを立てることもないかと思います(笑)。
私より上手にブラック仕様の良さを語ってくれています。→
これなんかいいですね
Posted at 2022/10/27 21:17:13 | |
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