
修理をお願いしていたレンズが帰ってきました。
キヤノン初の一眼レフcanonflex(1959)用の標準レンズです。ごく一部のレンズマニアの間でこのレンズが盛り上がっているのは、新製品発売に伴う大混乱と初期モデルにありがちな頻回な手直し、特にこのレンズの初期モデルはレンズ構成、設計自体が全く異なるという点です。私は詳しくないので良くわかりませんが、50mmレンズではありますがこれはレトロフォーカスタイプなんだそうです。(以下略w)
この件について自分としてはカメラ趣味というより、旧車好きとしてホンダスポーツ500辺りのエピソードに通じるものを感じていて、故に興味を持ったというわけです。
シリアルナンバーは10745。アサヒカメラ1959年8月号ニューフェース診断室で分解された10736と同時期製造の初期型です。
ボディの方は10773。恐らく寄せ集めではなく新品の頃からのペアなんでしょう。
絞りは2つあって、目盛りが入っている先っちょの環はプリセット絞り。奥のもう一つの絞り環は手動絞りです。この2つの環を別々に動かすのは、その間隔が狭すぎて非常に困難。明らかな設計ミス。キヤノンはそれを認めて何度かに分けて使い勝手が改善されていきます。1型とされるシリアルナンバーのものでも、少し後の物は外観が異なります。具体的にいうとヘリコイドリングの高さが薄くなり2つの絞り環の間隔を広くしたものが存在します。この辺りの
見分け方を詳細に調べたサイトが存在します。また、
公式サイトであるキヤノンミュージアムにすら誤った記述があるんだそうです。(私見ですが、ここが無茶苦茶なので立ち上がった人達がいるのだ!と今は推測します。ミュージアムのII型の写真は実は発売前の試作品。1型の写真はII型ではないかと)
今回新しい発見(らしきもの)もありました。旧いキヤノン独特のブリーチロックのマウント。カプラーリングの赤目印があるのですが、この赤点が小さい。手持ちのシリアルナンバー6万代、9万代の同レンズより小さくて見え難いです。
今のところはここまで。
先人の研究者の記述を見てもこれより若い番号のモノについては試作品によるカタログ写真の検討の域でしかなく、ネットにアップする意義ありと判断しました。誰かが調べたら辿り着くようにね。
故にマニアック過ぎてごめんなさい(笑)。
作例数枚
あらすじ)色々なサイトの研究成果をまとめると
キヤノンは一眼レフの開発に遅れをとって焦っていた。ニコンがNikonFなる一眼レフを新発売するにあたりCanonflex 発表を急ぐ危険な決断をした。が、急いだ故に製品として煮詰めが甘かった。このため発売直後のカメラ雑誌にて酷評を受けた。とりあえず使い勝手を良くする為に小変更を数回繰り返し、その後光学系の設計をこっそりやり直して中身は別レンズとなった(II型)。以上の経緯からさまざまなバージョンや謎が存在する。今回紹介したレンズは発表後の社外評価を聴く前に作られたレンズである。
追記20241117)

左が10745初期型右がII型と呼ばれるもの。
I型もすぐに外見が手直しされたようで、ヘリコイドリングが狭く(薄く)なり、二つの絞りリングの間隔を広く改良されたようです。スピゴットリングの赤ポチの大きさも異なります。
Posted at 2023/10/15 18:13:23 | |
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