今回も発掘した文章からです。もうそろそろネタが尽きてきたのですが、これも当時は衝撃的でした。というか旧車道楽をやっていると必ず遭遇する都市伝説のひとつでしょうな。読み返すと2000年12月3日の出来事と書いてある(笑)
で、この顛末ですが、私は転勤でこの地方に行く機会が減ってしまい、そうしているうちに数年後近隣の愛好家に引き取られたと聞いています。
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驚きの発掘
(2000年の日記から、2018年再編集)
7月から週2回電車で移動している。8月ごろ車窓から気になるものを発見した。それは線路脇の農家の畑の片隅で朽ち果てているライトバンだった。トタンが被せてあって車種は分からない。気になって毎回目を皿のようにするのだが電車は時速90キロ近くで飛ばすので時間にして約1秒しか見えない。しかし何回か見るうちにそれが30年以上昔のものに思えてきた。そして色などからホンダLM700ではないか?と疑うようになった。説明すると初期ホンダの小型商用車でエンジンはDOHC。このブロックを流用するとS600のボアアップが可能というエンジンである。手持ちにS600のエンジンもあるので、もしそれがLM700なら、、、、、とか考えるようになった。

Wikipediaより借用 ホンダL(M)700
近畿某N県在住のこの道の先輩氏と電話する機会があって、確信は持てないけれど怪しいバンが車窓から見えると話したところ、二つ返事で見に行く!という話しになった。ちなみに彼は3台のS600の不動車を所有する、<車の発掘>の達人、本業は整備士さん。
さて12月3日。私は現場最寄の駅にいて到着を待つ。彼は6時起床でやってきた。トラックで(笑)。別にこの日に積んで帰るつもりではなく燃費と運転の楽さでそうしたらしい。近所の喫茶店で朝食をとり私の偵察用ジムニー360(LJ20)で現地に向かう。
現場は農家であるのだが古い家屋と電車の高架下の間で容易に近づけない。勇気をふりしぼって半ば不法侵入のように侵入し、そこの近所の人に強引に事情を説明して持ち主を聞いた。私一人なら到底できない勇気であるが、そこは達人、持ち主を割り出した。(本人もこのときの空気で難航を直感したらしいがN県まで手ぶらでは帰れんとおもったらしい)そのときあたりを見回し我々は異様な光景に目を丸くした!
注)写真はイメージです
畑には放置された軽トラのフレームやら残骸が、、、AKや!と直感。ホンダT360かT500の残骸が無造作に朽ち果てている。ちなみにわが国初のDOHC車といわれたホンダ初の4輪車だ。そしてライトバンは、、、LM800。これはS800と同じエンジンを積むLM700の後継車。そしてその後ろの蔦のかたまりの中に何かが、、、朽ち果てたS800だ!
注》感じ方には個人差があります
そうこうしているうちに持ち主が現われた。気難しそうな方が小さな声で話をはじめた。あまり詳細に書けないが、何か事情があって彼の中で四半世紀時間が止まっているかのようであった。話によると以前はここで自動車整備の店を開いていて、ホンダSやNを整備していたらしい。ある日側面をこわしたS800(リジット)を買ってきて整備にかかったらしい。この車はお気に入りであったがロータリーを積んでやろうと10Aエンジンも買ったらしい(現役当時ロータリー搭載の競技車あり)。そして板金をするべく分解したあたりで突然作業はストップ、一切の興味を失ったらしい。そして仕事もやめてしまったらしい。それが何時ごろかはわからないが(おそらく25年以上前)ぽつりぽつりと昨日のことのように話が続く。 腰を据えてお話しを聞くことにした。話は続く。隣の土蔵にはそういえば新品部品がまだあったはず。整備関係の資料とかいろいろ、、、、もう長年忘れていたけれどどこかにあるはず、、、、。20年以上は誰も足を踏み入れていないような建物を指差す、、、、。畑の真ん中で話は続く。良く見ると足元にパーツが散乱している。LMのホイルキャップやらS800のセルモーターやら4連キャブやらが畑に埋まって芽を出している、、、、めまいがしてきた。
注》写真はイメージです。
一時間ほどして寒くなってきたので、双方の住所のメモを渡す。私達は14.5年エスを持っていいて趣味でやっているけれど一人は整備士だとわかると、ちゃんと自分で直せるのなら全部譲っても良いとのこと。何度か連絡をとりつつ雪がなくなるころに作業をしましょうということになった。
というわけでこの話はそれ以降進展していない。現物は最近電車から見る限りはそのままのようである。とにもかくにも異様な体験でした。本当に四半世紀誰の目にもとまらずに忘れ去られていたのだろうか?今後どのように進展するかは全く未知数であるが謎は深まるばかりである。
それにしても興味を失うということは趣味の大敵なのかもしれない。
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当時はこういうものが宝の山に見えていたし、物欲のため「だれかに取られてなるものか!」なんて思ったりしておりました(笑)。いまなら、眺めて侘び寂びにひたるという選択肢もあります。
興味を突然失うというのは恐ろしいものだと当時思いましたが、自分の身にいつふりかかるのか?
この歳になるともうすぐかもしれませんね。
Posted at 2018/12/02 19:34:59 | |
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