
「どうしても来年まで待てないな・・・。」
翌日よりクネは、
しきりに尚早の再アタックを希望していた。
無念の七号目撤退で終わった先週の富士登山。
時期的にもパーティの予定合わせ的にも、当然来年の積もりだったんだけど・・・元々はクネとの約束で発足した富士登山。
登山経験のない彼が、一から道具の準備。
数ヶ月前からの体重調整と、身体づくり。
プレ登山としての丹沢アタック。
人一倍カネと時間をかけて、長い準備をしてきた訳だが・・・
確かに・・・寒さと豪雨の中、数時間での終了では無念だろう。
この間のパーティには悪いけれど・・・
ペッタンコ組としてではなく、クネの友達として同伴することにしました。
クネはフィジカル万全にするために金曜日急遽休みを取って、
まさかの金夜アタックに。
ヲレは普通に仕事終わりでのアタック・・・。
まさかの5日後、翌週末のリベンジアタックとなりました。
気圧の谷が日本海に停滞する典型的な秋雨前線のさなか、まさかの満天の星空。
どうせ悪天候だろうと予想して、最短コースのスピードアタックにしようと、
最も高い標高から登る「富士宮口登山道」からのスタートにしましたが、ドピーカンじゃないですか。

ご来光アタックにつき、ふたたび深夜からの出発。
新五合目、2400メートルからの富士宮市を見下ろしながら最後の準備をします。

富士宮ルートから頂上までの標準時間は、約5.5時間。
自分達ならどれくらいで登れるだろうか。

雲が殆ど無く、21日目の月が思いのほか明るい。
霧も風も無く、寒くも暑くもなく、こんなに快適な富士山は初めてだ。

二人なので軽快に登り進められるかと思いきや、、、
ちょっとイイ所があると、すぐ写真撮影。
あ、もうちょっと左の方がいいんじゃない?とか、
ヘッドライトの角度が良くねーな・・・とか、何度も撮り直したりして全然登らないし・・・w
スピードアタックとかほざいていたクセに、撮影だけで一時間くらい費やしていそうな勢いだな・・・。

星降る登山道。
クリックで拡大できます。
富士市、富士宮市、御殿場市に、登り進めると山向こうの三島市までもが美しい夜景として見下ろすことが出来た。
夜間の登山というものはこんなにも美しかったのか。

邪魔になるのでコンデジでの撮影だけど、さすが夜景に強いニコン。
結構ちゃんと写るな。
クリックで拡大できます。
登ること約4時間、九号目を越えたあたりで東の空が明るみ始める。
この日の静岡の日の出は5:24分。山の上では数分早い筈だ。
あと一時間ほどで登らなければ!
九号五勺からの長くてほぼ垂直な、鬼の急登攀を根性でクリア。
山頂到着。
日の出およそ10分前でした。

孤高の頂より暁光を望む、ストイックな雰囲気な山ガール。

断崖の先端で日の出を待つカメラマン。
もう、あと一分というところだ。

疲労と高度障害で頭がぼーっとする。
適当な岩に身体を預けて、ご来光を待ちます。
「ああ・・・。」
感動だ。
本当の山頂からのご来光はヲレも初めてだよ。
クネ太郎も感無量といった感じだ。
長い準備が報われた瞬間だ。
よく頑張ったな・・・。
クネ曰く・・・長い時間をかけてつくり続けてきたクルマがやっと完成した感じ・・・だとかw
いまいちピンとこないけど・・・まぁ、なんとなく判らないでもないw

そして、本当の3776メートルを再び目指す・・・。
剣ヶ峰に一番近い富士宮口登山道ではあるけれど・・・もう50メートルって感じなんだよなぁ。
それなりの達成感の後なので、相当にキツイ。

自分には人生二度目の剣ヶ峰登頂。
前回は、また登る事があっても、再びここまで来ることはあるまいと思っていたが・・・。
しかしまぁ、ここの二等三角点こそが、日本で最も高い場所。
清々しい本当の達成感は、ここでしか味わえないものだ。

ちょっと痛いアタマをかかえながら・・・
お決まりの、山頂での湯沸しカップ麺朝食。
87度程度で沸騰してしまうお湯での、生煮えカップヌードルw
「気持ちが悪い・・・。」
何がツライって、疲労はそれほどでもないんだけど、短時間登頂による高度障害で頭や身体がぼーっとして気分が悪く鈍痛を伴うことだ。
風邪で熱があるような症状に近い。
酷い二日酔いと言ったほうがいいかな?
高山病症状が強く出る人は、頭痛薬や、酔い止めの薬なんかを飲むといいかも知れない。
一番いいのは、ある程度の高さを登るごとに、なるべく長い時間休憩して、身体を慣らしながら登ることだろう。
人によっては、八合目あたりの山小屋で二泊して漸く登れる身体になるという人も居るくらい。
無理は禁物なんだ。
自分たちは、クネのGDBで一気に2400メートルまで駆け上がり、
そこから遊びながらとは言え、5時間弱で登頂してしまった。
三半規管の強いとは言えない自分なんかには、少々酷な登攀ペースだったかも知れない。
バスとかタクシーでも未だに酔うもんな。
富士山でマラソンとか毎年やってるけれど・・・
体力だけで出来る事じゃないなと・・・思う。

こら、アタマん中もおかしくなるわ。

あんまりダレてるとカッコ悪いからな・・・写真くらいすがすがしいフリをすっか・・・。
ぬるいコーヒーを片手にダルさと格闘中。

富士山は何度登っても驚きの風景に満ちている。

日本で最も高い場所からパラグライダーで降りる人や・・・
これは気持ちがいいだろうな・・・。

結婚式のために登る人。
山の天気は変わりやすいケド、オメデトー!

MTBで下ろうと、必死で自転車を担ぐ人に・・・
これはマジキチー!!!
写真に撮れなかったケド、ウェットスーツで登る集団や、500mmlのペットボトル一つで登ってるひと・・・全国の様々な挑戦が集結する不思議な山、富士山。
ナメてるだけの準備不足での遭難は目も当てられないけれど、解った上での本当の覚悟が出来てる人の挑戦は、誰にも止められない。
それぞれの大切な思いを胸に、自分に課し、目標と登頂を重ね合わせて歯を食いしばる。
そんな最高の人たちに出会える場所だ。
登り5:00分 下り3:45分 (休憩込み)/富士宮口登山道
来年もちゃんと登るからペッタンコ組リベンジアタック隊は安心してよし。