
週明け月曜の日中に着信アリ。
嫌な予感がするな・・・。
仕事の合間に掛け返すと、
「今日の朝、走ってる最中に急にエンストしてエンジンが掛からなくなっちゃったんだ・・・悪いんだけど、夜にでもちょっと見てくれないか?」
この間、タービンブローで車検が取りやめになってバタバタしたアルトワークスのオーナー、ウッチーからの入電であった。
「立て続けだな・・・。」
通勤でほぼ毎日乗っているから、一日でも乗れないと不便なのは判るが、直ぐに走れるようになるかは判らんぞ。
そう言って、夜にちょっと点検に行く事にしました。
詳しく状況を聞くと、朝の通勤で鎌倉街道を走行中に、急にパパンと軽いアフターバーナー音と共に、エンジンストール。
そのまま息を吹き返すことは無かったという。
セルモーターは勢いよく回るが、エンジンが掛かる気配すらない模様。
仕方なく出勤を取りやめにし、レッカー車を呼んで家路に着いたという。
うーん・・・話を聞く限りだと電気系統っぽいけれど、バッテリー上がりとかオルタネーター不良のような感じじゃないな。
セルは勢いよく回る。
最後にアフターバーナーがあった事から推察できるのは、燃料は最後まで送っていたという事だろう。
恐らくフューエルポンプでもないだろうな。
そうなると、点火かメカニカルだ。
デスビの先は3気筒ある訳だから、プラグにしろコードにしろ三つ同時に死ぬことはない。
点火系ならデスビ本体か、イグニッションコイル不良が怪しい。
メカニカルなら、タイベル切れか・・・バルブが割れるなんて事もある。
でもタイミングベルトが切れたら全バルブが全閉だから、まともにクランキング出来ないよなぁ。
コマ飛びでタイミングがずれて圧縮が掛からなくなるなんて事も無くはないけど・・・二つ三つ飛ぶくらいならエンジンは掛かるんだよな。
バルブもイッコ欠けた位なら、残りの2気筒でちょっと頑張ろうとはしてくれる。
とにかく初爆すらなく、全く掛かる気配が無いってのは・・・
燃料が来てないか、点火に係わる中枢が何か停止しているか・・・このどちらかである事が殆どである。
取り敢えず、タイミングベルト周りの点検と燃ポンの動作確認、イグニッションコイルとデスビの点検が出来る道具だけ持って夜半に診察となりました。
残業や休日出勤続きのヲレにとって、月曜日の晩からの緊急出動は身体に堪えるな・・・。

タイベルカバーの上側をめくってちょっと覗いてみるものの、トラブってる様子はない。
ベルト自体は2~3年位しか使ってないから、まだ全然新しいんだよね。
自然に切れる訳はないんだよ。
F6Aシングルカムは基本的にバルブクラッシュはしない構造らしいので、切れても張り替えるだけで済みますが、取り敢えず最悪のケースは免れた模様。
クランキング時の吸排気の音を聞く限りでは、動弁系の破損なども無さそうな感じです。
機械的には全く正常という感じ。
次に、6.3のロングエクステンションを聴診器にしてフューエルポンプの作動音を聞いてみる。
レガシィターボ用のポンプを付けてるんで、聞こえない訳はないw
イグニッションONで燃圧が安定するまでの数秒間、ギュー・・・っと派手な音が聞こえます。
やはりポンプも違う。
あとは点火系かなあと、タイミングライトで点火時期でも見てみるかと、ライトのクリップをコードに接続するものの、セルを回しても一向に光らない。
おかしいな・・・確かにエンジンが掛かって回転が安定しないと正常な点火時期は判らないけれど、点火に合わせてストロボは光るはず。
それが全く点灯しない。
「点火してないな。。。」
イグニッションコイルが飛んだか、ポイントが折れたか割れたか・・・。
大分絞れてきたな。
点火系ならダイアグに残っているかも知れないと思い、点検コネクターを短絡。
42番、クランク角センサー不良と出ました。
デスビ点火車両は、信号をECUで制御してないので、クランク角センサーという物自体は無い。
この場合はカムシャフトからタイミングを得ているデストリビューター内部にあるピックアップコイルから送られる信号の事である。
この信号を元にイグニッションコイルで高電圧を発生させ、それを再びデスビに送ってポイントで分配しているのである。

デスビキャップを外してみると、明らかに事件が起きている事が判った。
ポイントの軸に銅線みたいなものが巻き付いてしまっている。
「何なんだこれは・・・。」

ピックアップコイルのセンシング部分の蓋が吹っ飛んで、中のコイルがほどけてしまった様である。
これでは点火信号など送れる筈もない。

主軸のシール不良からのオイル漏れで一度中古交換しており、外した物をまだ持っていたので、それに付け替えます。
丸ごと交換するとまたオイル滲みが再発してしまうので、本体はこのまま使い、ピックアップコイルのみ移植する事にしました。

シクネスゲージを持ってきていなかったので、ローターとコイルの距離(エアギャップという)を測れませんで、適当にギリギリ接触しない程度で調整しましたが、問題なく無事エンジンは掛かるようになり、普通に走れるようにはなりました。(基準は0.2ミリ程度)
このまま同程度の中古品での運用ですと、またいつか近いうちに同じようなトラブルになることが想像に難くないので、リビルト品を直ちに手配して交換する事に。
リビルト品もね、こんな古いクルマの物がまだ出回っているだけでも有難い事。
それすらいつ買えなくなってもおかしくはないので、今回は迷わずに交換する事に決まりました。
リンク品で25000円程度ですね。
オイル漏れのコアと爆発コイルでお返ししましょうww

後日。
リビルト品が届いたと言うので、
夜に寄ってもらい、ウチの前の路上で交換作業。
しっかりタイミングライトも機能し、ハイオク仕様にしている事もあって、レギュラーガソリン仕様で-5度程度(アイドリング時)なのに対して、-9~-10度辺りまで進角させることによって無事完調となりました。
ふうっ・・・。
エンジン全損に繋がるような厄介な内容じゃなくて良かった。
どれだけ不具合が生じていても、全く走らなくなるっていう事は本当に稀。
このアルトワークスに於いても、
登録より24年目になるネオヒストリックに分類されるような車両だが、事故以外でのレッカー運搬は今回が初ではないだろうか。
それくらい、全く走らなくなるという事はなかなか無い、という事である。
取り敢えず、
再び不具合を解消し、走れるようになりました。
エバポレーター&エキスパンションバルブと、社外ラジエターへの交換の予定があったのですが、直近での限られた作業枠を使い切ってしまったので、またずれ込みますね。
夏も終わってエアコンの必要性も無くなってきたので、当分は平気でしょうけど。
時間があれば・・年内に出来るといいな位の話ですw
滑り込みでオリンピック応援の白ナンバーを取得してきたそうですw