
ヤベエな・・・もう7月になっちまった。
あとはシリンダーヘッドだけなんだけど、ヘッドなんて、オーバーホールって言ったって、ガイドやシートが駄目になってる事なんて殆ど無いので、きれいに洗ってバルブのカーボン落として組み直すだけだから、擦り合わせやバルブクリアランスの調整が面倒くさいなって位のもの。
実際に大きな意味がある事は、バルブステムシールを新品に交換してオイル下がりをリセットするって事くらいで、掃除だのシム調整だのなんて、本当は出来ればやった方が良いよ位の話で、やらなくたって問題なく走るクルマにはなる。
だから予算を限って消去法で絞って行ったら、絶対やらないといけない事なんてそれほどないのである。
結局自分で出来ないからって言ってお店に頼むから、あれもこれもやった方がいいよ、ここは強化品があるから取り換えた方が良いよとか言って、必要ないのにバルブガイド交換だのシートカットやってついでにポンカムもいいよとか言って無駄にフルコースで見積り作られちゃって、何十万円も掛かっちゃう訳。
殆どの人がそんなの必要ないのである。
シムを交換するようなタペット調整が高価だったり面倒ならば、見えてる所だけ軽く掃除して、バルブシールだけ交換すればクリアランス調整だってしなくてもいいくらいだよ。
だから「だい」は、本当に最低限の事しかやらない。
ヘッドは掃除して、シールパッキン替えて、微調整して、それで組み戻す。
腰下だったら、洗浄して、ベアリングとガスケット類交換、場合によってはピストンリングを交換する事もあるけれど殆どの場合はそれも必要ないのでは?ってくらい傷んだりはしていないのである。
基本的には掃除して点検して問題なければ消耗品だけ交換して戻す。
これだけで充分にオーバーホールと言えるのである。
これでまた10万キロ20万キロと乗り続けることが出来るのだから。
充分なのである。

やや汚れてはいるが、確か8万キロ程度使用のエンジンだったと聞いている。
綺麗な方なのではないかな?
自分のように日頃から8千回転常用みたいな使い方だと、何万キロ使おうがスラッジのこびり付きなどは殆ど無いのだが、一般的なドライバーであればこんなものだと思う。
どれだけ3千キロ毎とかコマメにオイル交換をしていても、エンジン内の汚れというのは、日頃の使い方の蓄積であって、チョイノリが多いとか回しても3千回転4千回転みたいな乗り方だと、カム周りやクランクケース内にどんどんオイルスラッジが付着していってしまう。
オイル交換だけでは防げないのである。
回せるときはしっかり回し切るという事が、エンジンの日常的メンテナンスであるという事を知っている人は少ない。

相変わらず1000円のT字ハンドルと改造ソケットで外すバルブ周り。
何ならちゃんとした専用コンプレッサーより使いやすいんじゃないかと思っている。

分解した部品は何がどこに付いていたかきちんと判るように管理する事。
バルブスプリングなんかはINとEXの違いはないが、上下はある。
バルブはできれば元位置に戻せれば、クリアランス調整が微調整で済むとか、最低限のルールを決めて自分でしっかり管理する事。

バルブステムシールプライヤー。
アストロで1000円位のものだが、これがあるかないかで、随分変わってくる。
ラジペンとかだと中々手こずって、周りを傷にしたりしやすくなる。

メタルクリーンでのドブ漬け洗浄で綺麗になったシリンダーブロック。
バルブリフターとシム以外は洗浄液に漬けて洗いました。
自分はいつも、メタルクリーンかサンエスKのどちらかを使っていますが、通っている工具屋で安売りしてる時に買い込んでるので、まちまちですが、どっちも大して変わらんです。
メタルクリーンの方が高いですが、同量での有効水量が多いので、結局同じかなと思います。

ボール盤のチャックにセットしてスコッチブライトやペーパーを押し当てて焼き付いているカーボンを落とします。
この辺のカチカチの燃焼生成物は、アルカリ洗剤では殆ど落ちないので、物理処理で綺麗にするしかありませんね。
バルブのステムシール。
径は一緒ですが、インテーク用とエキゾースト用では違います。
エキゾースト用の方が熱に強いとかでしょうか、ゴム製とシリコン製と、みたいな事なのかな。
全部シリコン製でいいじゃん、という訳にはいかないのが工業製品。

同寸法なので、IN/EX間違えないように取り付けます。
パチンと嵌る所から少しぐっと押し込んで止まる所まで嵌めましょう。
嵌りが緩いと、燃焼室側にオイルが吸われます。

さてバルブクリアランス調整のインナーシム。
全て厚みを計測してから、元あった位置に戻していきます。
インテーク/エキゾーストバルブは、しっかり磨いて擦り合わせまでやったら、バルブステムがカム側にせり上がってくるので、2~3/100㎜程度狭くなってしまいます。
ただまぁ、そもそも長期使用による摩耗でバルブクリアランスは組み込み時より広がっていた筈なので、結果的には丁度いい位になってるか、やや狭くなってしまったかと言った所。
最後に測って調整しますが、今のシムの厚みが判っていれば、百分の何ミリ薄くすればいいとか厚くしたいとか準備すべきシムが導き出せます。

あとはルブを使った仮組みに留めて、シリンダーブロックとのドッキングに備えます。

そして昨日、文字通り重い「腰」を上げてエンジンスタンドにシリンダーブロックをセットします。
これが億劫だったんだよね。
納戸からエンジンスタンド引っ張り出して組み立てて、スタンドにセットする。
結構な重労働である。

忘れないうちにオイルポンプのプリロード調整。
普通はあんまりやらないけどね、社外のオイルクーラー増設などをしている場合は効果はあると思います。
奥に入ってるM6ワッシャーみたいなのを一枚二枚と増やして吐出圧を上げます。
実際ワッシャー1枚追加でコンマ5キロ位上がる感じです。
以前はアイドリングで2キロは掛けたかったので、厚み1ミリのワッシャーを二枚追加していました。

フリクションも確実に増えるので、今回は1枚追加でいいかな。

GC8のEJ207は、ピストン自体は同寸法な筈なので、ヘッドガスケットは20Kの1.4ミリでいいでしょう。
これがGDBとかVABのシリンダーブロックだったりしたら、ピストン冠面の形状が全然違うので(リセスの掘り方が全然浅い)後期の0.8ミリガスケットがいいでしょう。
がっつりブーストを掛けたいのなら、圧縮比は上げない方が良いですね。

オイルストーンとダブルアクションサンダーで死ぬほど磨き込んだヘッドとシリンダーブロックのガスケット面。
まぁ、実際はそれほど神経質になる必要はないとは思います。
ヘッドガスケットが抜けるのは、熱によるヘッドの変形によるものなので、結局使い方と言うか、オーバーヒートをさせないか否かに掛かっているものなので、丁寧に組んだからとか、社外のスゲーガスケットを使ったからとかでは防げないと思うんだよね。
オールアルミエンジンというのは、軽くて冷却に優れてはいるが、駄目になる時は一瞬という・・そういう弱さがあるよね。

なので、高いガスケットは使わずに、今回も純正のヘッドガスケットで行きます。
上側の2か所に新品のストレートピンを打ち込んで、表裏を確認してガスケットをセット。
あとはヘッドを乗せて、手順通りヘッドボルトを締め付けてヘッドを取り付けます。
何キロで締めて、もう一度何キロで締めて、一回緩めてまた何キロで締めて・・・みたいなヤツです。
もう何度も何度もやってるんで、いちいち紹介はしませんが・・・
トルクレンチ使用時に大事なのは、ボルトのネジの摩擦係数が一定である事なので、ボルトのネジ山にモリブデングリスなどをしっかり付けてからトルク締めをします。

反対側のバンクも同様に作業します。
昔は廃タイヤの上でボヨンボヨンしながら組んでたけど、やっぱり水平対向エンジンだけは、エンジンスタンドがあった方が良いね。
ぐるぐる回してヘッドを乗せる面を真上に持ってこないと、作業しづらいというのもあるけれど、ヘッドなんか横向きのままはカムを外すとエキゾースト側のバルブリフターがスー・・とかいって落っこちてくるんだよね。
タイヤの上なんかで良くやってたな・・・と今となっては思うけれども、
結局やる気の問題だよね、若い頃は金も準備も整ってないけど、やる気だけはあるみたいな感じだったから、工具も設備もないんだけど勢いでやれちゃうんだよね。
こうした方が良いとかああした方がいいというのはあるけれど、こうしなきゃダメだ!ってのは意外とないのが自動車整備。
「やるかやらないか」だけだよなw
やってやれない事は無い。

反対側も手順通りヘッドを取り付けして、一度カムキャップの締め付けまでしっかりやります。
そうしたら、シクネスゲージでバルブクリアランスの計測。
各々、カムとバルブリフターの隙間を測って数値を出します。
自分のバルブクリアランスの目標値はインテーク0.20ミリ、エキゾースト0.25ミリ(広い方へは1/100ミリまで許容)というもので、それよりも狭ければシムを薄くし、広ければシムを厚くして目標値を追い込むというもの。

何度も何度もやってるので手持ちのシムが結構ある。

DOHCなので、再びカムシャフトを外し、シムの計算表を元にシムを交換していきます。
インテークのクリアランスが0.18ミリでシム2.52の所があったら、2.50のシムに取り換えれば、0.20ミリになる。
エキゾーストで0.31ミリのクリアランスでシム2.43だとしたら、0.06減らしたいのでシムは逆に増やして2.49のものと置き換えれば目標の0.25ミリになるというもの。
これを16バルブ全部で実施する訳だが、うまいこと無調整で行ける所が3~4か所はあるので、まぁ12~3箇所を入れ替えと交換でどこまで行けるかみたいな話です。
ここを潔癖でやると手持ちのシムじゃ絶対足りなくて買う羽目になるんですが、1/100ミリ広い分にはOKとしているので、何とか手持ちの分で調整し切れましたね。
幾ら完璧に合わせたって、どうせ使ってるうちに狂っていきます。
最初くらいは合わせたいと思うのも判りますが、それほど結果に結びつく訳でもない重箱の隅をつつくような話なので、ほどほどでいいでしょう。

そういえば、わざわざ準備したGDBF型以降用のバルブリテーナーはバルブスプリングの径が違って使えませんでした。
よくよく考えたらそりゃそうだよなと。
そもそもGDBのシムレスリフターもEJ20Kには使えませんから、それが判ってる時点で気付けよって感じですけど・・・
GC8後期のEJ207から、シリンダーヘッド自体は全く異なっていて、バルブリフター径がひと回り大きくなっています。
バルブスプリングくらいは同じかなと思い込んでいたんですが、
違いましたよって話ですw
ただ、クリアランス調整用のインナーシムは、20Kも207(シムレスリフター以前の)も同じですので、20K用で検索して廃盤だ・・・\(^o^)/オワタ
ってなってる人も、GC8後期のシムが使えますので、まだ買えますので慌てないように。(”24.7現在)
イマドキEJ20Kをイチからしっかりやり直そうという奴も少ないとは思うが、まだギリギリ何とかなる状況。
のんびりしていると1、2年後にはもはや判らないので、調子悪いエンジンは今のうちに一発やっとこうぜ!
タイベルや、細かいホース類はひと通り揃えてあるので、あとは汚いインマニをどうするか~って所ですけど、もう結晶塗装は焼き付けが面倒くさいしまた剥がれてくるので、ウレタンで塗り直すだけでいいかなと思っています。
あ、エンジンマウントも買わないとだ。
くそ!エンジンの載せ替えが真夏になっちまった!