本物の拳銃

日本では、銃器の不法所持は厳しく取り締まられる。この間も、俳優がテレビ番組で6秒間猟銃を手に持ったために書類送検されたくらいである。普段、銃の存在を気にせずに暮らすことが出来るのは、大いに良いことだと思う。

そんな日本でも、銃器を実際に手にする機会もある。米軍基地のオープンベース（基地祭）である。米軍基地内には日本の法律は及ばないので、銃器を手にしても問題ない。そんな訳で、実際の銃器に触れるために、キャンプ富士フレンドシップフェスティバルへ行ってきた。
写真は、米軍制式M9拳銃。というより、ベレッタM92と言った方が通りが良いだろう。見ての通りマガジンはなく、スライドを引いて引き金を引いてパチンパチンと遊ばせていた。手に持つとずっしりと重く、モデルガンにはない、金属の冷たさが印象的だった。
こっそりテイクダウンレバーを回してスライドを外して見たが、撃針を含む機関部も取り外されていた。傷まないようにするのと、万が一誰かが弾薬を装填しても、発射出来ないようにするためだろう。

機関部が外されていたこともそうだが、「安全」に対する意識水準がまるで違う、とはっきり感じたことがあった。4歳の男の子が迷子になったのだが、迷子になったことが知れた瞬間から無事に保護されるまでの間、基地への入退場が禁止されたのである。何故なのか少し考えてしまったが、恐らく誘拐されて連れ去られるのを防ぐためなのではないかと思う。
これが自衛隊の基地公開だったら、そこまで神経質にはならない。これが、日本と世界の「安全」に対する意識水準の違いなのだと思う。

同じことが銃器に関しても言える。ほとんどの日本人は銃器に関する基礎知識がない。日本で暮らす限りそれで問題はないのだが、海外に出た途端、銃に対する常識の無さが問題になりかねない。

例えば警官の職務質問を受けてパスボートを上着の内ポケットから出すとする。この時、日本でのように上着を閉じたままポケットから出してはいけない。銃を取り出すものと誤解されて射殺される可能性すらある。必ず上着を開いて相手に見せながらポケットから出さなければならない。
逆に何かのはずみで銃を向けられた時、免疫がないためパニックに陥りかねない。そのような時は、相手の人差し指が引き金に掛かっているかどうかを見極める必要がある。十中八九、引き金に指は掛かっていない。指を掛けていない場合、それは只の警告なのである。
万が一指が掛かっていたら、次の瞬間には射殺されるものと観念するより仕方がない。