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2010年08月16日

御巣鷹の尾根 訪問記

御巣鷹の尾根 訪問記 群馬県上野村の、日本航空123便墜落現場である御巣鷹の尾根を訪問した。先に墜落の原因について記事にしたので一度現地を見ておきたかったのと、救助の可能性について考えるために墜落時刻頃の様子を知りたかったからである。

まずは写真の慰霊の園を訪れる。ここには、身元が判明せず荼毘に付された遺体片、四百数十が納められている。上野村のほぼ中央、国道299号線の近くにある。慰霊の旅の出発点である。遺体の損傷の激しさについては、群馬県警の身元確認責任者、飯塚訓氏の『墜落遺体』が詳しい。数字だけ記すと、検屍総数は2,065体、うち五体満足な遺体は177体、身体の部位が特定出来たものは680体である。

慰霊の園から御巣鷹の尾根登山口までの距離が、事前には分からなかった。今、Googleマップで見ると、約20kmと結構離れている。動画では制限速度通りに走って約30分で到着しているが、これはカプチーノだからであって普通車であればもう少し時間がかかると思う。動画を掲載するのは、どれだけ奥まったところかを知るためである。私自身、これ程奥まっていたとは想像もしていなかった。



登山口から御巣鷹の尾根までは、案内図の通り道程800m、高度差180mある。数字だけだと大したことないように感じるが、実際はかなりきつい。案内図の右上までが沢に沿った緩やかな上りで、そこから尾根まで急傾斜を這うように登っていく。
案内図の水飲み場付近。この沢がスゲノ沢で、この沢の奥で生存者4名が発見された。
沢を離れて登る頃から、周囲に写真のような小さなお墓が目につくようになる。各遺体の発見場所である。ちなみにこの写真は特定の人のものではなく、航空安全祈願の地蔵である。
途中に古びた案内板があった。図で左に突出したところが御巣鷹の尾根の昇魂の碑、右下の橙色の部分が生存者の発見されたスゲノ沢である。
遺体発見場所には記号(座席番号)が付され、このような道標があちこちに立っていた。
急な傾斜を登り切って、御巣鷹の尾根の昇魂の碑に辿り着く。この辺りに機体の胴体部分が激突した。フライトレコーダーによると、機体の傾斜は右に131.5度、下に42.2度、速度は約488km/hである。
このような激しい衝突だったため、機体前方から中央にかけての乗客は、写真のHからBの範囲に広く散らばって発見された。また、この範囲は激しく炎上しており、遺体の損傷は凄惨を極めた。一方機体後部は写真のAの部分を谷に添うように樹木をなぎ倒しながらS地点(スゲノ沢)まで落下した。このため激突の衝撃が吸収され、スゲノ沢で4名の生存者が救出された。なお生存者の証言から、墜落直後はこの辺りに更に数名の生存者がいた事が分かっている。

昇魂の碑に辿り着いたのは19時11分。墜落時刻18時56分の約15分後である。この日は半月に近い月が出ていて、周囲の地形がかろうじて判別出来た。なお、墜落した昭和60年8月12日は日没が18時48分、月の出が0時12分だったから、月明かりもなく周囲はもっと暗かった筈である。

航空自衛隊の救難ヘリV-107が現場に到着したのは20時42分。現場は23時頃まで炎上していたようだから、スゲノ沢は陰となって見えず、仮に自衛隊員が救助に降下したとしても、生存者は発見出来なかったと思う。実際、翌日夜が明けて周囲が明るくなってからでも、最初に生存者が発見されるまで6時間かかっている。まして闇夜ではまず不可能であろう。

また、炎上による激しい上昇気流の中、ヘリから隊員を降下させる事も不可能だったと思う。炎の上に降ろす訳にはいかないから周囲の燃えていない所となるが、どこも急な傾斜で、前後に2つのローターを持つ大型のV-107では、接近するのも危険である。実際、生存者を収容したのは墜落の翌日、焼け野原となった後の尾根であり、発見されたスゲノ沢ではない。沢から尾根まで生存者を運び上げている。つまり、日中であっても沢に降下することは出来なかったのである。

事故を扱う多くの書籍が、自衛隊が事故直後に救助活動を行っていればスゲノ沢の生存者をもっと救出できた筈、と記しているが、現場を墜落時刻頃に訪れた私の考えとしては、残念ながらそれは不可能だったと言わざるを得ない。

ただし、21時頃に米軍座間基地のUH-1ヘリが降下しようとしている。UH-1はV-107に比べて遥かに小さいから、危険ではあるが燃えていないスゲノ沢の斜面に降下出来た可能性はある。米軍ヘリに救助中止、帰還の要請をしたのは日本側だが、恐らく現場を見た自衛隊ヘリが生存者なしと判断し、二次災害の恐れのある米軍の救助活動をやめさせたのではないかと思う(実際、現場を最も早く視認した米軍C-130輸送機の副操縦士は「生存者がいるかどうかは疑問」と横田基地の管制に報告している)。

事故現場は多くの方が亡くなった場所であり安易に立ち入るべきではないが、現場に行って初めて分かること、教えられることも多い。今回、時間が遅いこともあって昇魂の碑から上やスゲノ沢には行かなかったが、いつかもう一度訪れることができればまた教えられる事もあるのではないか、と考えている。
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Posted at 2010/08/24 11:13:34

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